両親は運転免許証持っていません。昭和時代、ろう者に対する偏見がひどく、何をするのも様々な制約付き。ろう者に運転免許証を与えない、ろう者は最初から「準禁治産者」と決めつけるような宣告、旅行に出かけても宿泊施設はお断り。手話は手真似だから、社会に通用できるはずがない。手話を使うな!!など今の時代から見ると、本当にネガディブなことばっかりでした。手話は外国語と同じく立派な言語として認められているので、昔みたいに珍しがられることはなくなりました。どこに行っても堂々と手話で話しても、じろじろと見られることはあまりなくなりました。運転免許証も昭和48年、あるろう者が運動を起こしたため、補聴器を付けて、緊急時のサイレンの音が聞こえていれば、免許を与えるという法律改正。さらに2008(平成20)年に、補聴器を付けても全く聞こえない全聾の方でも、後ろの状況がはっきりわかるような大型バックミラーを取り付けること、「聴覚障害者マーク」をクルマの前後に取り付ける条件をつけ、免許取得が可能になりました。私も最初からついているオリジナルのミラーだと小さくて少し不安を感じるので、ぱっとわかるような細長くて大きなミラーを取り付けています。
運転免許証を持っていれば、悪質な当て逃げとかのとっさにナンバーを読み取れるのですが、免許を持っていない人だと、ナンバーの読み方はちょっと難しいようです。
父も数年前に信号が青になったのを確認し、自転車で渡ろうとしたら、左から左折してきた車と激突。父は運動神経がよかったのか、とっさに避けたため、被害は自転車かごの破壊。ぶつけたクルマのドライバーはいったん停車し、被害は自転車かごが壊れただけだとわかり、そそくさと立ち去り。
「相手のナンバーはわかりますか?」と確認すると、ナンバーの数字4ケタだけ記憶。
「あのね・・・4ケタだけだと、警察に言っても、取り合ってくれないんですよ」とナンバーの見方を特訓。
まず、地名の袖ヶ浦。袖ヶ浦はこの地域。千葉、柏、習志野もある。東京なら、品川、練馬、足立、多摩。神奈川は横浜、川崎、湘南。埼玉は大宮、所沢、春日部。まず、地名を見て、それに続く番号は3ケタ。500、501、502、503、530、531、300、301、330・・・。3ケタ全部見て、ひらがなの1文字も必要。それに続く4ケタの番号!!と教え込んだのが功を奏し、私が逃亡するナンバーをメモしたものと、父が目撃し、頭の中で記憶したナンバーと一致。
当て逃げはこれで2回目。1回目は、箱根のうなぎ屋さん。2001年なので、かなり昔の話。
うなぎ屋さんの駐車場に停め、食事。両親は駐車場の様子がよく見える席に座っていました。
「あのクルマ、怪しい。なんかぶつかっている感じ」と父が。特に気にすることはなく、食事を終え、駐車場に戻ると、ぬわーんと!!前面ランプが割れ、ランプ周辺の凹みも酷過ぎる。
「怪しい車のナンバー覚えている?」と聞きましたが・・・「地名は品川」「品川の何?4ケタの番号は?」「そこまでは覚えていない」現地に警察に通報し、警察官は来てくれましたが、相手のクルマが品川だけだと、特定できず。丹念な調査はせず迷宮入り。修理代は10万以上、自腹で泣き寝入り。
そんなこともあったから、父はナンバーの見方はマスターできたようです。外出時にいつも筆記道具を持ち歩き、悪い車の被害者になったら、ナンバーをメモするように。ナンバーがわかっていれば、逃げられても、後で私が警察に伝え、犯人を検挙し、告発もできますからと言い聞かせています。
11月11日。朝から両親の通院。ここは内陸の田舎町なので、段取りは午前中に1度まとめて2ケ所。父はA、母はBというところです。父は日本手話オンリーなので、お医者様とお話するのに私が付き添い。まず、Bのところへ母を送って、父のAで検査し、結果を聞いて投薬。昔はイエローゾーンだけど、今は糖分を食べ過ぎていないか私が常に監視しているので、「今回もイエローゾーンに達していません。血液もサラサラになっています。現状のままで維持してください」というお墨付きをもらい、今度は父を助手席に乗せたままBの駐車場へ。母はすでに診察を終え、お薬を受け取るところ。駐車場に戻ろうとしたら、父がすごい剣幕で「当て逃げだ!!あのクルマだ!!早くメモしろっ!!」と言うから、駐車場から出ようとする車のナンバーをメモ。ちょうど、片手に薬局とお話したときの筆談用メモを持っていたから、間一髪でナンバーをメモ。
「おまえが車をロックしやがったから、俺が車から出られなかった。降りて阻止するつもりだった!!犯人に向かって、止めろ!!とサインを出したのに、目が合って、まんまと逃亡」父は昭和の古い人間だから、真新しい車のロック解除方法を知らなかったわけだ。
自分の車に戻ってみたら、擦った傷がすご~~い!!私の隣に停めていた車もナンバーが剥がれ、擦りキズあり!!「逃げるなんて、これは事件だな~」と血が騒ぎ、私のとった行動は、近くに交番があるので、直接話をつけたほうが早い。ナンバーも控えている!!Bの受付嬢に電話を頼む方法もあったけど、手話を存じない聴者に電話を頼むのに、相手がわざわざ確認しなくてもいいように事前に伝えたい内容の要約を書かなければならない。もし、電話を頼む人に手話を堪能にできていれば、片手で同時通訳もできる。だから、とっさに交番に行って直接話をつけたほうが早いと思っていたかも知れません。なぜか、市内の消防署、分室、交番、警察署、郵便局などの位置はすべて頭の中にインプットし、ここからだと○○が近いだとおのずと、その行動をしてしまったかもしれません。
「○○で当て逃げされました。逃亡する車のナンバーを見ています」とナンバーを書いたメモを交番の警察官に見せると、本署へナンバー照会。無線でやりとりし、どうやら犯人は特定できたらしい。
私:「犯人って特定できましたか?」
警察官:「はい、○○に住んでいて、別の警察官がそこに向かっています。現場に私が行きますので、あなたも現場に行ってください」
現場で警察官と30、40分待ちぼうけ。
警察官:「犯人は、無免許運転のようです。ここに来るまで時間がかかりそうです。もう少し待っていてくださいね」
私:「犯人はもがきあがいているんですかね??」
警察官:「もがきあがいているっていうわけではないんですけど、とにかくここに向かうって連絡ありましたから・・・」
なんと現場で2時間待ち。無免許で悪質な当て逃げだから、ついに逮捕か!?と頭をよぎったところ、当て逃げされた車が警察官のバイクに誘導されながら駐車場へ。
私:「この人が犯人?ここまで運転して来れたのは、無免許運転じゃないですかね??」
犯人の家に伺った警察官:「調べたら、ありました」
聞いたらびっくり!!昭和4年生まれの84歳おじいさん。戦時中の苦しい時代を生き抜き、いろんな人生経験を積み重ねたというのに、当てたのを知りつつ、逃げたのは非常に卑怯。人間としてモラルを欠いている。84歳とはいえとも、この人を許せるはずがない。この人を逮捕して欲しいと言いましたが・・・「警察署で話し合いをしますので、この辺は私に任せてください」で終わり。その後の成り行きはわかりませんが、逃げずにその場で留まり、ぶつかったことを認め、素直に対応していれば、私の心証は変わるはずですよ。逃げたから、ますます許せなくなり、逮捕するなりして懲らしめたくなるのが心情。
加害者は2台分の賠償を認めるとのこと。
修理完了し、すべて解決できていれば、最後に加害者へ手紙で倍返しを予定。言いたいことはたくさんありますからな~!!
塗装がキラキラ光るメタリックタイプなので、これだけでも修理代は相当かかる。
加害者のクルマ。手に持っている紙は向かいにある薬局へ処方箋。
薬をもらおうと隣の薬局にクルマで移動するときに他人のクルマに当ててしまったからと、そのまま逃亡。
警察官に摘発され、同じ場所に戻ったからと薬を受け取ろうとする、84歳の卑怯者。クルマの止め方がめくちゃくちゃ。枠内に停めない。バックで駐車するのが苦手なのか?
当てた2台分のキズ。
ドライブレコーダーに駐車したあとでも3時間は自動録画する機能がついているのに気づき、さっき、調べてみたら・・・たとえ、目撃者がいなくても、ナンバー、ドライバ―の顔も映っています。逃亡されても自動録画した画像を丹念に調べれば、犯人特定は可能です。
1番奥の駐車スペースに無茶苦茶なやり方で前向き駐車。1番奥に駐車スペースが空いていれば、バックから駐車場に入り、バックで入庫したほうがスムーズ。バックが面倒くさいから1番奥でも前向き駐車。
私のクルマにどーんとぶつかる。さらにバックして、車内にいた父と目が合う。父が「止めろ!」とサイン。
画像を解析してみたら、クルマの中から一部始終を見ていた目撃者がいる。
とっさの出来事だから、誰もナンバーまでは細かく見ていない。
人が集まって、クリニックの窓からは衝突音に気づいた患者たちが覗き込む。
ドライブレコーダーは、駐車場での当て逃げでも犯人を特定できるし、運転中でも自分の運転をずーっと記録されるわけなので、たとえ、もらい事故などが起きても自分の正当を主張できる証拠品としての提出も可能です。もし、事故が起きたら、すぐにドライブレコーダーからSDカードを引き抜き、警察に提出。数日後だとしたら、編集ソフトで改ざんしたのではないかと潔白できないため。