恵比寿駅東口の動く歩道を、恵比寿ビールのグラスに目を細めて口をつけている役所広司さんの写真を見ながら乗り継ぐと恵比寿ガーデン・プレイスに出る。ゆったりとしてくつろげる欧米風の広場にはビアホールも三越もある。ここに来たのは3回目、いずれも東京都写真美術館へ、展示を見にぶらりと一人で来たのだ。過去、ロバート・キャパ、ユージン・スミスの報道写真を見に来ていずれも胸を打たれたが、今回は「ジョセフ・クーデルカ プラハ1968」を見た。今さら「プラハの春」でもないと思うお方もいらっしゃるかも知れないが、筆者の新聞切り抜きファイルには今でも戦車がプラハのバーツラフ大通りに侵攻し、身をもって抗議したヤン青年の記事と写真があるし、プラハはその後訪問して天国のように美しい街並みやプライド高き人々と触れ合ってきたこともあって、この写真展に出かけた。1968年、30歳のクーデルカは、ワルシャワ条約機構軍の戦車がプラハに侵攻した日プラハに戻っており、一連の写真を撮影し、この写真で匿名の写真家としてロバート・キャパ賞を受賞、撮影から40年を経て彼自身が選んだ250枚ほどが初公開されたものだそうだ。買い求めた写真集のカバーによると、「20世紀の歴史的実験であった<プラハの春>の圧殺と、言葉を武器とした抵抗の全てをとらえた画期的ドキュメント」とある。展示は7月18日まで、皆さまもお出かけになり、そのあとサン・ジェルマンのパン屋さんの中二階で美味しいパンと恵比寿・ビールでくつろがれたらいかが?(彩の渦輪)