あけぼの

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人類の祖先に今を問い助言を仰ぐ女性と会って

2011-11-25 09:42:25 | アート・文化

Australia_new_caledonia_by_ayako_07 ニューカレドニア先住民、カナックの祖先の彫像と住居。
ここにマーゴさんが立っていた。

人類の祖先に今を問い助言を仰ぐ女性

 チバウ文化センターは美しいマジェンタ湾とマングローブの森林に囲まれた広大な土地に、ニューカレドニア先住民、カナックとオセアニア全地域の文化が紹介されている必見の場所だ。「カナックの道」にはカナックの精神世界や宗教観が表現されている。伝説上だが史上初の人間、テアカナケの誕生から死して再生するまでが関連ある植物や花々と共に5段階に造園され、歩きつつ人類の歴史を遡り過去と会話出来るしくみだ。入園時いた外国人夫婦とはぐれ、広大な敷地を歩くのは筆者のみだった。

 高台からふと眼下を見おろすと、「精神の国」辺りで人影がする。行ってみると…まだ30代に見える女性が先祖の木製彫像群に向きあい立っていた。たった一人で。近づいて自己紹介し、会話が盛り上がった。フランス語は勿論だが英語も話すインテリの若い女性がここでしていたことは…祖先との会話だった。その人、マーゴさん曰く、「ここは神聖な場所です。時々一人でここに来て祖先と意思の疎通を図り、質問します。祖先の価値観から見て現代人の私たちの生活が正しいかどうか判断し、助言を頂きます。ここに来ると地上の旅-“身体の旅”-と異なる旅が出来ます。カナックの人々、つまり人類の祖先に会う“精神の旅”です。我々の文化は毎日、毎月、毎年…変化しますね。我々は地球資源を奪い、消費社会を作り、エネルギーを乱用し、その上余り満足しません。何をしているかいつも忘れてしまいます。こんな生活をしていてよいのか。祖先は死んではいません。教会にも行きますが、ここでは祖先の価値観で返事を頂くので私はよくここに来るのです今までのところ『欲求に節度を持て!』『分けあえ!』という返事をいただいています。」

 マーゴさんはそんじょそこらの政治家やエコロジストよりも憂慮していた。筆者の思いも同じだった。広いチバウ文化センターの敷地内の一角、祖先の国行き列車乗り場で、ニューカレドニアの原住民の子孫、見目(みめ)麗しい若い女性と日本から来たおばさん(筆者)が同感しあい、現代人の生活を反省しあったひととき、決して忘れないだろう。(彩の渦輪)