本のエピローグは夫、自悠人が以下のごとく書いた。真ん中にある本文は我々の旅行記、地球千鳥足269回分から特に面白そうな55話を編集部さんが選んでくれている。
エピローグ:「変化こそ人生、体験こそ財産なり!」 シニアは今何が出来て何をしているかがその人の価値だと思う。過去の履歴は関係ない。気力、体力、心意気があるかどうかだ。好奇心の退化で身体の反応が鈍くなった分、判断力は上がった筈だ。年齢を口にすることは自己弁護だ。筆者は個性と能力、ユニークな思考と行動力で精一杯生き、社会への還元を願うばかりだ。傘寿を優に過ぎても運転免許更新にアメリカに行く。カナダや南米、アイスランド等、使える国が多いからだ。平均年齢を越し健康年齢の坂を登りながら、気概をもつシニアとして海外バックパックの旅を楽しんでいる。近年はアイスランド、イラン、ガイアナ、スリナム等、あまり人が行かない国を旅してきたが、特にガイアナは個人旅の報告ブログぐらいしか情報が無い国、「そこに行くことが旅だ!」と冒険を試みた。若者の旅行者と異なり、「何でも見てやろう」の旅ではなく「世界遺産より人間遺産!」が夫婦の合言葉だ。特に途上国での出会いは貴重、生活環境の厳しさに努力の限界を感じる人々を知り、物質文明や平和慣れの危機感も自覚する。
健康で行動意欲さえあれば旅ほど楽しく収穫のあるものは少ないと思う。我々夫婦は旅が好きで、単独、別ルートで行動、目的地でドッキングを試みたり、逆に、夫婦一緒に出掛けて現地で別行動をとったりする。ある時期には夫婦の出発点がそれぞれアメリカと日本で、アメリカの各空港やサン・シスコ、ソルトレイク、デンバー、ラスベガス等で合流し、一緒に旅の目的地を訪ねた。南米チリ、サンチャゴ空港で待ち合わせをしたが、航空便の遅れやちょっとした油断から会えず事前に打ち合わせをしておいたホテルで会えた。旅の動機は心身の活性化、即ち自らを鍛えるためだ。人生の終焉に近づいて冒険的な旅をする夫婦も稀だろうが、年齢とは無関係に刺激、緊張感は必要だと思っている。松茸狩りや温泉は好奇心と興味を擽り、噂を耳にすれば旅先でも必ず探訪、体験する。まさかの珍遇、奇遇や再会で友好促進、という忘れ得ぬ出会いも多い。我々夫婦の旅は40年継続しているが、携帯電話やコンピューターの無い頃からで、待ち合わせが難しく不安が多かった。今でも最初の宿以外予約しない。航空券は起点となる地までの往復切符のみで国内線は現地調達。予約は変更が困難で時間に制約が生じるからだ。「変化こそ人生、体験こそ財産なり」、皆さまも時には未知の国に出かけて斬新な体験をなさるようお勧めしたい。心は年を取らないのだから年齢を意識せず出かけよう!地球上の異文化に触れ人間の存在感や生きるヒントも得られ、多文化共生について考えさせられる。
筆者の最近の旅、今後の旅には挑戦だけではなく、若者に手を貸すという課題を追加し、過去の体験も活かして地球千鳥足の旅の価値を拡大しようと心掛けている。(自悠人)