かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

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遺産争い

2008-09-27 | 事例
「兄貴、親父がわざわざ3室を区分所有にしたマンション1室づつ、
 俺たちに呉れてもいいじゃあない。」
三男は食い下がっています。

親父が永年の患いから永眠しました。
葬儀も終わった後、兄弟3人と母親を交えての話し合いです。
4棟のアパートを持った親父は10年前に倒産しました、
当然アパートは担保です。抵当権者は地銀一行。
しかし債務の方が時価の倍以上の額です。
母親と長男は全てを保証して居ります。

倒産の時、当然直ぐに任意売却、または競売の話が持ち上がりました。
此処で大奮闘したのは長男です。学校卒業以来親の元で働いて居ました。
競売になると住むところを失います。第一家賃が入らないと当座の
生活も出来ません。
長男は失意の親に代わり、全て任売で処分しますと地銀を
了解させたのです。その間、アパートの家賃は生活費を除き、
全額納めたのです。
そんな態度を見て地銀は好感を持ったらしいです。

任売で売ると云っても当人にその気は有りません。不動産も
下落して居ますから地銀は競売しても残債務は半分以上残ります。
長男が返している額は、17年くらいで元金は返済出来ます。
地銀も算盤を弾いたのか、今では売却のお話は遠ざかって居ます。

しかしもうとっくに期限の利益は喪失されていますし、担保と借入残が
見合うようになった時は、どのように地銀が動いてくるか解かりません。

地銀の支払いばかり気にして他の税金や固定資産税の遅延分はそのままです。
昨年は強く云われました。地銀に泣き込み、毎月150万返済していたものを、
公租公課の未払い残が減るまでと云う約束で120万にしてもらって居ます。

「なんたって兄貴、240万の家賃が入っても、120万返済していれば地銀も
 文句は言わないでしょう。兄貴、それで17年くらい払っていれば借金は
 消えて不動産は残るでしょう。そんな話、一口載せてくれても
 いいじゃあないだろうか。兄貴が親父の面倒をずうっと見てきたことは
 解かるよ。だから全部を公平に分配とは云わないよ。区分所有の処だけを
 一口づつ分けようや。勿論借金が法定相続分、かかって来ても文句は
 言わないよ。」

三男にはうまい処しか見えません。  
支払いして、その残から親父の入院費用や2所帯の生活費、
その他アパートの管理費・維持費も払って居るのです。
3男に分けるのは構わないが、折角地銀と話してうまくバランスを
取っている返済がどこか壊れると全部が駄目になると思うから
渋っているのです。
数字を挙げて幾ら説明しても2男は解かっても3男は解からず、
配分を要求して居ます。
ついには長男が生活費を家賃から抜いて居るのにも 
おかしいと言い出す騒ぎです。
ついに長男も要求どおり不動産を分けることを決意しました。

二人の弟は立派な会社に勤めており、既に自宅も持っています。
次男はもうローンは終わっているらしいです。3男も残りは僅かと
聞いております。地銀とすれば資産のある収入の多い相続人が
増える訳ですから歓迎でしょう。
3男の自宅と云う実質の担保が増え、給料と云う差押債権が
舞い込んで来るのです。

それでも長男は万一うまく行かないことを考えて、不動産の名義変更など、
1年くらい先に伸ばすことを提案しましたが3男は聞きません。
次男は相続を放棄し、3男はマンションの一つを貰い、法定相続分の
借金返済について責任を持つことにしました。
名義変更も直ちに済ませました。相続税は無税です。

地銀は相続方法については何も言いません。
3男の負の相続も長男と母親が保証していることを念押しした後、
返済は別途にする事を了承しました。

しかしこの話は始めてから2-3ヶ月で、あっけなく壊れそうになりました。
3男が毎月の返済を渋りだしたのです。3男は次男が相続放棄の為に、
4分の1の借金を引き受ける事になったのです。返済は20万以下では
地銀が承知しません。
しかし家賃は15万です。此れだけでも大きな持ち出しに加えて
そのほかに毎月他の負担分が有ります。家賃の半分は小遣いに残ると
踏んでいた3男の思惑は大きく狂っていたのです。

名義変更を先にお延ばそうかと云った長男の言葉は、
むしろ思いやりの言葉だったと漸く身に浸みて来ましたが遅すぎます。

払えなくなれば自宅まで危なくなると言う事が頭から離れません。
長男に泣きつきました。しかし今となっては遅すぎます。
長男も最初から一人だけの相続ならば、地銀の返済をもっと少なく
口説けたでしょうが、今更トータル返済が減るのは承知をしないでしょう。
しかし万一3男が返済できない場合は残の分は全てかぶらないとなりません。

最近、地銀に噂が立っています。
業績芳しき無く、近くの地銀に合併されるらしいです。
その時に3男の件で揉めたりしていれば、全部が競売に
おなってサービサーへ譲渡される公算も大と見ています。
あるいは3男の自宅まで担保と評価すると負債と資産が
見合うのはそんなに遠くでは有りません。

遺産争い。
其れは遺産だけでなく、自分たちが築いた財産まで
根底から覆すこともあります。





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