かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

自宅の詐害行為

2009-06-08 | 事例
会社は間違いなく倒産します。
後、半年持てば良い方でしょう。専務のGは、社長の兄とともに、
5行からの銀行借入は全部連帯保証をして居ります。
ただ兄は自宅も担保にして居りますが専務は担保提供はしておりません。
敷地80坪の自宅は一寸専務の自慢です。

会社を守りようがない、倒産と兄とともに腹を決めた時、
Gの頭には「自宅」の事が一杯でした。
もっと早く覚悟して、自宅の事も手を打って置けばよかったですが、
なにせ倒産まで時間が有りません。半年の見込みは贔屓目の見込みです。

第三者に売却して実際に現金を動かし、暫く自分は引越しをしよう。
其れが一番確実の方法と解かっていますが5000万以上の物件、
そうたやすくお金がある協力者を探すことは不可能です。

そこでGが取った手は次の事です。
先ず半分を妻に贈与しました。
結婚20年以上経っていれば、配偶者に自宅を贈与しても2000万までは無税です。
其れが適用になります。
税務署も認めている贈与で有るから、まさか詐害行為にはならないだろう。
「何故今の時期」と聞かれれば、調度結婚30年目でかつ子供が結婚で
 自立した。子供が自立した時は家も譲るよと以前から約束していた。」
よい口実を考えました。

此れで、Gの権利は半分しか有りません。
差押などの行使はぐっとやり難くなった筈です。
其の後の半分が気になります。
調度其の頃、会社で3000万の支払いが発生しました。
「チャンス」とGは近くに住む叔父に3000万を実際に会社で
借りて自分の自宅の半分を担保提供したのです。
勿論叔父には、間もなく3000万を3回に別けて返済して居ります。
しかし担保の実績は立派な理由とともに、つける事が出来たのです。

4ヵ月後会社は不渡りを出しました。
社長は任意整理で仕入先とは話を付け、第2会社を作り工場の1部を
買い戻して事業再生に懸命です。

それでも、工場や社長の自宅など、担保が全て片付いたりしたのは、
倒産の日から2年近くたって居ました。
その間、金融機関からは兄にもGにも何回も呼び出しが有りました。
兄は其の都度出掛けて話し合って居た様子ですが、Gは徹底的の
放って居ました。自分の取った保全策に酔って居たのです。
自宅は守ったから後は何も出来ない。此れがGの読みです。
そして担保処分はもう全部済んだ。此れで銀行も手を引くだろう。

そう思った矢先、信金の代理人と云う弁護士から1通の書簡が届きました。
「自宅の登記は間違っています。元に戻して頂きたい。」
詐害行為取消しの要求です。
此れもGは相手にもせず、放って置いたのです。

結果は裁判になりました。
Gは主張しました。
「妻とは古くからの二人の約束を実行しただけである。
 子供の自立し丁度其の時期だった。会社の危機のことは
 妻には何も言って有りません。妻は知らなかったと思います。」
詰り、以前から決まったことをしただけで詐害行為の意志など全くないことを
強調したのです。後日、証人として呼ばれた妻も同じことを言いました。
主人は、日ごろから会社のことは喋らず、会社の危機は全然知りませんで
したと強調しました。

又3000万の方はお金の流れだけで説明できます。
そんな大金ですから叔父とは云え、担保を提供したと言いました。
此れでGは勝ちを信じていたのです。

ところが判決は敗訴です。
「会社ナンバー2の専務が会社の本当の危機の時自分の妻に全然言わないと
 言う事は無い。又3000万の借金も、此れが直ぐ返却できるお金であるとは、
 借りるとき説明済みの筈だ。のみならず、3名とも事前から会社の危機は
 承知して居たことは関係者の証言からも確かである。被告は今まで返済に
 付いてのの話合いは1度もして居らず、そうした被告の態度から考えても
 詐害行為は歴然としている。」
と云う骨子だったのです。

そう言えば、裁判の始まる前に、登記を頼んだ司法書士が、わざわざGと
会って言ったことがあります。
「こんな狭い町のことだからあの登記はどの司法書士がしたか直ぐ
 解かるんだよ。私も銀行にいろいろ聞かれました。訴訟になるかも
 知れません。其の時は私も承認として要請されると思っています。
 私は証人では出廷しませんが、報告書くらいは出さないとまずいと
 思います。Gさん。悪いことは居ませんから銀行に顔を出してください。
 其れだけをお伝えしたかったです。」

依頼するとき、妻も叔父も行ったっけ。
その時につい「此れで不動産は誰にも取られえないな。」とつぶやいて
司法書士が「何のこと」と聞き返したことがあったがあれはまずかったかな。

一審は敗訴しました。
控訴はしません。しても先ず負けるだろうとそんな感がするのです。

家は競売になりました。
若し相手の呼び出しに正直に出かけて返済を出来なくても誠意を持って
話していれば、あるいはこんな様に為らなかったかなと時々思い出します。




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