かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

粉飾いろいろ

2009-06-18 | 事例
「確か2年目くらいからだな。急にお客が増えたんだ。
 他所でやるより、点数がぐんとよいらしいんだ。
 不思議だな。我が家では変な細工して見つかれば資格にも関係する
 からやらないよ。出来合いのソフトに入力しているだけだが、他所より
 点数が良く出るらしいんだ。業者にとっては点数は致命線だものな。
 しかし使うソフトによって違うとは不思議だな。」

Sさんの奥さんは地方で行政書士を始めました。
土建業者に経審の申請代行を売り込んだのですが、最初はぱっとしませんでした。
しかし「あそこに頼むと点数が上がるよ。」と評判が立ち、今まで税理士などに
依頼していた人たちが切り替えてきてくれるようになったのです。

経審。経営事項審査とも言います。
特に土建業者間ですが、官庁の入札の資格と格付けのためにはどうしても
必要です。其の資格と入札格を得るためにはけ、此の経審の審査が義務付け
られています。其の点数が高いほど良い事は言うまでも有りません。

ホームページを覗いても、経審の作成代行で宣伝が飛び通っています。
しかしうたい文句に、「点数が良くなります。」とうたっているHPが
実に多いです。士業の方、法の目をくぐるようなことはしません。
書類の作り方で点数が上がると言うのです。

官庁に提出する重要な書類が、こんなことでよいものでしょうか。

税務は総収入から総支出を引いた物が基本となり税額が決まります。
仕分けの費目が違っても税額は変わりません。経審は違います。
仕分けの選択科目で違ってくるのです。
あらゆる人が同じ仕分けをしないかぎり点数には違いが出るという事です。

一寸心得のある人は点数を意識しながら仕分けをしますし、又振替も
するでしょう。帳簿をいじる意識が生まれます。日常の業務が己を
飾る粉飾になって居ます。

此の経審があるために土建業者の粉飾が増えました。
赤字ならば点数が減って格が下がります。
特に赤字になった業者が粉飾に走りました。
殆どが売掛金残・在庫などをの水増しです。

しかしこれは直ぐに不自然な数字となり、慣れた人は必ず見抜けます。

シビアな銀行ならば担当者は気が付き、貸出や回収に反映するでしょう。
しかし経審で粉飾で罰則が適用されたなんて私は聞いたことも有りません。
堅くて平等で公平な審査に見えますが、肝心の粉飾には手が抜けて居たのです。
ただ中小企業の場合、粉飾は経審の制度があるから始まったと言っても
過言では無いと思います。

最初は、こうした単純な粉飾から始まっていますが、行き過ぎすぎると、
眉を顰めるような粉飾をする処もあります。
銀行から借りるために粉飾をして居た企業がありました。
普通は売掛金や在庫の水増しですが、此の会社は6行ほどある銀行の
借入残を変えたのです。銀行ごとの決算書を作成していたのです。

不審に感じたのか、ある銀行が他行の残高証明書を要求しました。

提出できる筈が有りません。私は此れを聞いたときに、もう此処も
銀行に全てがわかり、其れ相当なお仕置きがあるのだなと同情したのです。

ところが彼はケロッとしてコピーでない本物の残高証明書を提出したのです。
びっくりしました。
証明書を発行する銀行が偽の証明書を発行してくれたと思ったくらいです。

書式。印字。そして捺印 疑うべきものは皆正しいのです。

実は偽者でした。
此の作成方法を彼から教わったとき、私は其の手口を本で発表しようかと
思いましたが、知人の弁護士からの強い制止で思いとどまりました。

しかし此処まで来ると本当に私文書偽造の犯罪でしょう。

こんな例は少ないとしても、粉飾をした方は、粉飾の罪に悩みます。

銀行借入が8行、計60億の会社の社長です。
赤字3億の決算書を逆に黒字の3億に粉飾して居ます。
此処も8行とも違う決算書を提出し、専務の息子が管理して居ます。

ところ其処まで頑張ったのですが此の会社も銀行返済が出来なくなりました。

此のときの社長のやつれようは見るに忍びなかったのです。
一番の悩みは、倒産より、倒産して表面に出る粉飾の事です。
金額も大きいし、そのために専門の決算書は作成するし、特に悪意の
粉飾と見られるでしょう。
今までの社会的地位がすっ飛ぶだけでなく、当然刑事問題にもなる。
痛ましいほど社長は悩んだのです。

此の場合、結果は社長の粉飾を責めた銀行は有りませんでした。
どの銀行も現実の自行の数字を減らすことに専心して、過去を
追いかけた銀行は無かったのです。
ほっとしたのでしょうか。社長の病院通いが急に増えました。
社長は充分に粉飾に対する社会的制裁を受けたと思います。

粉飾。やりたくてやって居る人は居ないでしょう。
自分が生きるための手段の一つです。

いけないこと、もっと違う方ほうがあったのに、など感じることも有りますが、
私は、粉飾をする人の肩をもちたくなります。




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