かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

出したかった廃業挨拶

2009-12-19 | 事例
「ところで年末をもって廃業する旨を改めて関係するところに
 出したいのですが、どんな文句が良いでしょうかね。」

観光港町の一角、この地方の肴を珍味としてみやげ物・贈り物を
主として先代が戦後直ぐに始めた店です。
2代目の息子ももう60代の前半、今年の暮れをもって廃業を覚悟しております。

店もだんだん大きくなりましたが一方では其の代償として借金は、
何倍か残って居ります。そんな返済が滞ってもう10年、銀行には
何回頭を下げたか分かりません。

売上の減少は止むことなく、昨年からは特にすごいです。
懸命に協力した妻もうつ病になりました。
これが彼が廃業を覚悟した理由です。

銀行の借金を除いて綺麗に片つきます。
銀行は3行、億近く借りて居りますが、不動産をうまく任売すると
3-4千万に減りそうです。それも保証協会が殆どになります。
銀行の1行はまだ取引が浅く、保証も担保も無く、プロパーだけですが
残は300万程度です。

年内一杯のために11月から閉店セールもしました。
メイン銀行は気づいでしょうが、幸い何も言って来ません。
他の銀行は訪問すらありません。
12月に入ったら銀行には云うつもりでした。
売出しのほうは、特に12月になってから売れて、
彼は久しぶりにまとまった金を掴めたのです。
この分ならば300万の銀行は綺麗になりそうです。

此処で彼は思いついたのです。
「長年、商売をやってきた。此処で銀行を除きすべて綺麗に清算出来る。
 せめて正式に廃業の挨拶くらいは出すべきではなかろうか。」

この辺もシャッター店が増えて居ますが、廃業挨拶なんて、
同業者からも近所からも貰った事がありません。だからこそ、
彼は挨拶状を出したかったのです。

彼は妻の名義で古くから郊外に貸家を持っていました。
其処に住む予定です。同じ年の妻との年金も後3年です。
それをつなげる生活費さえ手にすれば後はすべて銀行に支払うつもりでした。
最終完全にはならなくとも、人にも自分にも納得できる廃業をしたかったのです。

300万の銀行の返済日は12月5日。来てもらい、閉店を告げて、年明けに
全部清算が出来ると思うから、12月の支払いも待ってくれるように
依頼しました。なぜかこんな簡単で当然と思われるようなことを其の銀行は
断ったのです。待つ代わりに、その間の担保を要求したのです。
この行員は支払い寸前に云った彼を信用できなかったのでしょう。
思わずかっとなって言い争い、もの別れで終わりました。

12月も9日、彼は1通の裁判所からの通知を受け取りました。
なんとお店が仮差押になったのです。
12月の支払いがない翌日に手配しております。
おそらく、物件は任意売却するだろうから其のときに仮差を抜く条件で
残額回収は可能と見たのでしょう。

彼の理性は吹っ飛びました。

「任売は止めて競売にする。300万銀行には1円も入らないようにする。
 それのみか、仮差の保証金だって簡単に返さないようにする。
 債務名義を取ってきたらこちらは逆に仮差の損害賠償をする。」
少し意地になった見たいです。

妻がうつ病になり、店を閉めなければならない。迷惑を掛けるのを最低に
しようとこぼす相手もなく、懸命にやってきた良心を裏切られた怒りです。

挨拶状は止めます。
少しおかしいが年賀状を利用して挨拶にします。

少し残ったお金、これを半分くらい銀行に戻して仮差銀行も綺麗に
するつもりでしたがこれも止めました。すべて自分のために貯蓄します。
残債?
出たとこ勝負で行くことにしました。





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