かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

正常債権をサービサーに譲渡する銀行

2010-07-24 | 事例
「貴方のお気持ちも十分にわかりますが、法律で許されたこと、当庁は注意すら
 難しいです。当事者同士が話し合いで解決するより他ないと思います。」
担当官がこう云った時、彼の張り詰めていた気が一気に崩れ落ちるのが
自分でもわかりました。

金融庁の「それは銀行と話しておきますよ。」と云うお声を期待して居たのです。

2ヶ月ほど前に、彼は銀行から自分に対する債権が、担保付で他に
譲渡されることを告げられました。耳を疑ったのです。
自分は今は確かにリスケを申し出て居ります。
しかし今でも条件通り返済をして居ります。
リスケに対する返事が正式に出ないうちに、譲渡すると決めて居るのは!

「私の債権って今不良債権ですか。期限の利益を失っているのですか。」
「違いますよ。全くの正常債権ですよ。でも今の条件でも常軌を逸した条件です。
 これ以上どうしても銀行では出ませんから、むしろ柔軟に富んだところに
 債権を譲渡して、そこで返済について協議して頂いた方が、みんながよいと
 考えて居るのです。」

理由はともかく、借りたばかりのときは、返済も一時的に滞っていた事も有るらしいです。
父親がやっていた頃です。
しかし、彼が引き継いでの、此処10年以上はきちんと約定通りの返済をして居ります。

ですから彼は、自分が不良債権なんて思った事はありません。
よしんば、10年以上前に何かがあっても、今は双方が正常債権として
認識していれば、全然問題はないと思っていました。

ただ過去に大分もめたらしく、それでも漸く、返済期間は50年。
金利はその間1.8%と云う約束を勝ち取ったと云う、父の自慢話を
絶えず聞かされて居りました。

彼に成ってからも、このメガバンクからは絶えず条件変更の申し出がありますが、
彼はその都度、何とか誤魔化して逃げております。
今回、他で予期しない資金の需要があったために、これ以上の借入を
増やすことも出来ず、返済のお金を一時回すことを考えたのです。

「譲渡する?そんなことが出来るのですか。うちは正常債権ですよ。」
「ええ、でも法律では認められて居ます。現に銀行の正常の貸付金も、
 良く譲渡はされて居ますよ。最も普通なのは、銀行破たんのときですがね。」
「破綻のときは、譲渡でなく、取引者の救済でしょう。いくら法律で
 許されていても、日本一のメガバンクの御行が正常の貸付金を譲渡するなんて、
 許される筈はありませんよ。ましてや銀行以外のところに。」

一旦言い出した銀行の意志は硬かったです。
「当方も申し込んだリスケを撤回しましょう。」と云っても変わらないのです。
この銀行にとって、彼のところの条件は屈辱的の条件だったかも知れません。
彼からリスケの申し込みがあったと同時、やがて不良債権に成ると決め付けたみたいです。

でも譲渡するとなれば、相手はサービサーしかないでしょう。
サービサーがこの債権を持てば、どんな手段でもしてビルを競売にもっていくでしょう。
彼はビルを守るために交渉をして居るのです。

思いついたのは金融庁でした。
「金融庁ならばこんな馬鹿な譲渡はさせないだろう。善良な取引者を守る筈だ。」
金融庁に出かけて行ったのです。

金融庁の係官は彼の話を良く聞いてくれました。
切々と訴えたのです。
しかし、金融庁の言葉は、彼の考えと正反対でした。全面的にメガバンクの
考えに同調したのです。彼の考えが入り込む余地はありません。

銀行は不良債権ではない、優良債権をサービサーに売ることは構わないというのです。
若しこれが日常茶飯事に行われて、今まで安心の出来る銀行と取引していたつもりが、
ある日、銀行の意思だけで、サービサーなどの債権譲渡されれば、どんなことに
成るのでしょうか。銀行を信頼する人など居なくなります。

目が銀行の担当者が云っても、金融庁の担当官が言っても彼には信じられません。

後の成り行きは彼の懸念した通りになりました。
サービサーに渡った債権は、サービサーはこの債権は15年前には不良債権に
なって居たと云うのです。銀行もそれを証言しました。
彼に正常債権が徒言った事は無いというのです。
これがメガバンクの社員教育の一環でしょう。
法廷で平気で嘘の証言が出来る社員を持たない企業は滅びていくかも知れません。
最高裁まで争いましたが敗訴、ビルは競売に成りました。

落札は暑い暑い日でした。


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