Mは今月は何とか払えても、来月は無理だと判断しました。
手形は切って居ませんから、支払ぶりが特に重要視されます。
支払を狂わせると、噂が飛び、材料供給は現金引換えで無いと無理になります。
兄弟・弁護士みんなが破産を薦めました。
しかしMはどうしても破産は気が進みません。
破産をして資産が皆取られても良いです。どうせたいした物はありません。
しかし、仕事が出来なくなる事が弱ります。生活の為ばかりではありません。
48年間、耳にこびりついた機械の音が聴けなくなるなんて、死ねと云われるのと同じです。
工場の事以外は何にも解らず、且つ出来ないMは65歳です。
年金を貰い始めたばかりですが、之を返上しても工場は続けたいのです。
一人だけ変わったことを云いました。
「仕入先皆を集めて内整理しよう。若干払って、後は負けてもらうのさ。
その後の仕入れは現金になるが、必ず了承しますよ。
銀行は保証協会付は先ず代位弁済。毎月小額で勘弁して呉れるよ。
工場担保がプロパーならば其の金利だけを払おう。後はサービサーと和解さ。
これでいけるかも知れないよ。」
少し光明を持ったMに、第2会社のことを吹き込んだ人も居ります。
「会社は潰れない。儂は破産をしなくてよい。必ず生き延びる。」
Mは信念を持ったのです。
彼は自分が得た情報の中から自分の都合のよいところだけを選んで、取り上げたのです。
「先ず破産は絶対にしない。工場は誰にも渡さない。
債権者会議など儂にはできないから、先ず支払をストップして、1軒づつ口説く。
それで、1年後から支払を約束する。用紙だけはあるから、手形を切ってもよい。
それで材料供給にも協力して貰う。」
支払日の寸前、まともに之を仕入先にぶっつけたものですから、何処もびっくりしました。
現状説明もなく、今後の計画もなく、ただ「払えない。1年先に若干払う。」
と云われても協力のしようもありません。
膝詰めで、せめて事情の説明と計画ぐらい教えろと大騒ぎです。
そんな物、有りませんから出来ません。しかしMは大真面目です。
積極的に債権者と有って、自分はいかに払いたいか、説明して居ります。
2ヶ月くらい、大揉めに揉めましたが、納入業者たちは次第に静かになって行きました。
彼の工場の音は止まりません。相変わらず威勢よく動いて居ります。
材料の買い置きがあったのと、これだけ世間が騒いでも現金ならば入れる業者はあります。
彼は給料以外は全然払っていませんからお金を持って居ます。
従業員は会社は変わらないと一人も辞めて居ません。
しかもこの評判を聞いて納入先は逆に注文を出して居ります。
他に比して価格が安く、品質も劣らないからです。
潰れる前に買っておこうというわけです。
銀行だけは工場が取れれると不味いと、まだ何処にも金利は払って居ます。
銀行は何処も騒いで居りません。ただ仕入先だけが損をして居る形です。
この体制で2ヶ月間は平常と変わらない仕事を続けましたから大したものです。
しかし、ほころびは段々大きくなってきます。
買い置きの材料が途切れます。我慢して付いてきた従業員にも漸く動揺の色が見え、
辞める者が現れ始めました。
回収は殆ど手形で、割れません。仕入れに回すと裏判もありませんから、
馬鹿高い値増しを要求されます。採算どころでは有りません。
彼の手持ち現金は見る見る減って行きました。
税務署が動き出したのも不気味です。
此処でMは第2会社の方法を思い出したのです。
会社さえ違えば何処も材料は普通に入れ、銀行も手形を割って呉れると信じたのです。
差押えも心配無用になります。
早速会社をつくり、今までの工場の半分を賃貸契約をして、知り合いの老人を
社長に据えて一先ず安心です。
しかしこんなふざけた事が通る筈は有りません。
先ず従業員から反対です。
変な会社を作って何も知らないおじいちゃんが社長になっている、
自分達は全員其処に移籍だって。
承知するはずがなく、全員で退職金の要求です。
退職金などもう払えません。其の前に従業員失くしては工場は回りませんから、
第2会社の話は1ヶ月で消えました。
もうMの懐にはお金は殆ど残って居りません。
こんな騒ぎでも、工場は減ったとは言え、動いて居ましたから驚きです。
でも回収は大幅値引きで現金です。採算なんて知りません。
今後はどうやっても2ヶ月とは続きません。
現金でも仕入れることは難しくなりました。注文が少量になってきたかです。
しかしそれでもMは未だ工場は守る積もりです。
破産など見向きもしません。最も破産の費用もありませんが。
この後のMの生き方、また次の機会にご紹介いたします。
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手形は切って居ませんから、支払ぶりが特に重要視されます。
支払を狂わせると、噂が飛び、材料供給は現金引換えで無いと無理になります。
兄弟・弁護士みんなが破産を薦めました。
しかしMはどうしても破産は気が進みません。
破産をして資産が皆取られても良いです。どうせたいした物はありません。
しかし、仕事が出来なくなる事が弱ります。生活の為ばかりではありません。
48年間、耳にこびりついた機械の音が聴けなくなるなんて、死ねと云われるのと同じです。
工場の事以外は何にも解らず、且つ出来ないMは65歳です。
年金を貰い始めたばかりですが、之を返上しても工場は続けたいのです。
一人だけ変わったことを云いました。
「仕入先皆を集めて内整理しよう。若干払って、後は負けてもらうのさ。
その後の仕入れは現金になるが、必ず了承しますよ。
銀行は保証協会付は先ず代位弁済。毎月小額で勘弁して呉れるよ。
工場担保がプロパーならば其の金利だけを払おう。後はサービサーと和解さ。
これでいけるかも知れないよ。」
少し光明を持ったMに、第2会社のことを吹き込んだ人も居ります。
「会社は潰れない。儂は破産をしなくてよい。必ず生き延びる。」
Mは信念を持ったのです。
彼は自分が得た情報の中から自分の都合のよいところだけを選んで、取り上げたのです。
「先ず破産は絶対にしない。工場は誰にも渡さない。
債権者会議など儂にはできないから、先ず支払をストップして、1軒づつ口説く。
それで、1年後から支払を約束する。用紙だけはあるから、手形を切ってもよい。
それで材料供給にも協力して貰う。」
支払日の寸前、まともに之を仕入先にぶっつけたものですから、何処もびっくりしました。
現状説明もなく、今後の計画もなく、ただ「払えない。1年先に若干払う。」
と云われても協力のしようもありません。
膝詰めで、せめて事情の説明と計画ぐらい教えろと大騒ぎです。
そんな物、有りませんから出来ません。しかしMは大真面目です。
積極的に債権者と有って、自分はいかに払いたいか、説明して居ります。
2ヶ月くらい、大揉めに揉めましたが、納入業者たちは次第に静かになって行きました。
彼の工場の音は止まりません。相変わらず威勢よく動いて居ります。
材料の買い置きがあったのと、これだけ世間が騒いでも現金ならば入れる業者はあります。
彼は給料以外は全然払っていませんからお金を持って居ます。
従業員は会社は変わらないと一人も辞めて居ません。
しかもこの評判を聞いて納入先は逆に注文を出して居ります。
他に比して価格が安く、品質も劣らないからです。
潰れる前に買っておこうというわけです。
銀行だけは工場が取れれると不味いと、まだ何処にも金利は払って居ます。
銀行は何処も騒いで居りません。ただ仕入先だけが損をして居る形です。
この体制で2ヶ月間は平常と変わらない仕事を続けましたから大したものです。
しかし、ほころびは段々大きくなってきます。
買い置きの材料が途切れます。我慢して付いてきた従業員にも漸く動揺の色が見え、
辞める者が現れ始めました。
回収は殆ど手形で、割れません。仕入れに回すと裏判もありませんから、
馬鹿高い値増しを要求されます。採算どころでは有りません。
彼の手持ち現金は見る見る減って行きました。
税務署が動き出したのも不気味です。
此処でMは第2会社の方法を思い出したのです。
会社さえ違えば何処も材料は普通に入れ、銀行も手形を割って呉れると信じたのです。
差押えも心配無用になります。
早速会社をつくり、今までの工場の半分を賃貸契約をして、知り合いの老人を
社長に据えて一先ず安心です。
しかしこんなふざけた事が通る筈は有りません。
先ず従業員から反対です。
変な会社を作って何も知らないおじいちゃんが社長になっている、
自分達は全員其処に移籍だって。
承知するはずがなく、全員で退職金の要求です。
退職金などもう払えません。其の前に従業員失くしては工場は回りませんから、
第2会社の話は1ヶ月で消えました。
もうMの懐にはお金は殆ど残って居りません。
こんな騒ぎでも、工場は減ったとは言え、動いて居ましたから驚きです。
でも回収は大幅値引きで現金です。採算なんて知りません。
今後はどうやっても2ヶ月とは続きません。
現金でも仕入れることは難しくなりました。注文が少量になってきたかです。
しかしそれでもMは未だ工場は守る積もりです。
破産など見向きもしません。最も破産の費用もありませんが。
この後のMの生き方、また次の機会にご紹介いたします。
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