かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

守れるか この資産

2008-02-19 | 事例
SはR社の追及を受けています。
隠した財産が解かる事は万に一つも無いでしょうが、
現在の2000万の年収と眼の前の7000万の退職金、
此れをどうして逃げようか四苦八苦して居ます。

医療器具の製造販売1本でやってきたSは、
故郷では成功者の一人です。地元で発行している
経済誌の表紙の顔にもなった事があります。

しかしそんなSに知られざる傷が有りました。
Sは10年前に他に経営して居た小さな不動産会社を
自分で整理して居ます。其の会社は、更に10年前、
バブルで世間が狂っているときに、Sも本業の傍ら
自分も狂って作った不動産会社です。マンションの仕入・
販売の会社でした。そのために、債権者は銀行だけでした。
勿論不渡りも出して居らず、法的整理ではありませんから、
世間の噂すらなりませんでした。

今はR社を除いては全て片ついております。
一方では自分の体面を傷つけないように、一方では
少しでも資産を守るためには大変でした。知人の一人Gが
いろいろアドバイスしてくれたのが役立っています。

政府系の銀行が債権譲渡したR社には徹底的に
やられて居ます。自宅も任売しました。当時の
個人の預金も差し出しました。他のサービサーは
皆和解をしてくれましたが、R社だけは素知らぬ顔です。

大分差し出したから済んだと思っていたら、
4年前に急に預金を差押えられました。
当時差押は無いと言われた外国銀行です。其れも
身近な支店でなく少し離れた支店でしたが、
3000万やられました。何で解かったのか疑問です。
未だに、元金が1億5-6000万残って居る勘定です。

しかしそれ以後は梨の礫、Sは今度こそ放棄を
してくれただろうと思っていました。女の子が
Sの留守にR社から電話があったと告げた時は、
Sは血の気が下がるのを自分でも解かるくらいでした。

「もう、そろそろ決着をつけましょうや。生活を
犠牲にしてまで払ってくれとは言いません。
払えるだけ払って下さい。それで決着にしましょう。」
少し年配者です。結局はSの所得証明と現在の資産を明細、
其れと医療機器会社の決算書を見せて頂けませんかと
云う事で別れました。

もう76歳になるSは2年前から社長を倅に譲っています。
自分は会長になって居ますが今年の6月に引退することも
明言して居ます。ただそのために役員退職金も
7000万引き当ててあります。此れだけはどうしても守りたいです。

弁護士に相談するのは御免です。
今までの和解に、当初弁護士を依頼しましたが、
和解額も多いし、又その報酬もSが納得できるものでは
ありませんでした。今回も若し依頼をすれば、必ず正直に
全部を言って、退職金は全て払うことになるでしょう。
弁護士は御免です。

給料を下げよう。退職金は貰わないことにして、
一件落着してから貰おう。Sはこう考えて税理士に
自分のことでは無いような顔をして相談しました。
税理士は首を横に振ります。
「退職金は辞めた其の年に貰わないと、税法では
退職金として認められません。尚認められる計算額は、
年数のほかに退職時の報酬の額で計算しますから、
其れを低くすると甚だ不利になります。つまり、
嘘を付くようなことはしない方 が結局はお得です。
それに決算書の引当金もどう修正するのでしょうか。
普通の税理士はやりませんよ。」

知人のGだけには全てを打ち明けています。
Dは進言をします。
「R社に云えば必ず全て取れますよ。絶対に
云うべきではありません。そのくらいならば、
貰わない方がましです。あるいはほとぼりが
冷めてから貰いましょう。贈与税が掛かっても
全部取られるよりましです。其れまでに必要な
お金は仮払いをお願いしましょう。それに報酬も
今年になってから辞退したで通しましょうや。
問題になればなったでその時に考えましょう。」
しかしSには今回はGの言葉も危険の
ような気がして気乗りしません。

意外な展開となりました。
税理士につい打ち明けたのです。
「そんなことですか。是非私に任せてください。
私も以前顧問先が同じような問題で、R社と
交渉した経験があります。正直に言って腹を
割って頼めば必ず道が開けます。
費用だって殆ど要りません。」 
地獄に仏、Gは「腹芸なんてR社の場合ありません。
必ず全部取られます。」と反対しましたが結局は
税理士に依頼しました。

税理士は退職金のことなど全てを正直に
言って交渉を始めました。しかし直ぐに暗礁に
乗り上げてしまいました。少なくても、今から
退職までの給料の半分は払え、其れと退職金は
全額払ってもらわないと困りますというわけです。
税理士は仕方無いよと云うもののSにはどうしても
相槌が打てません。

以前債務名義は取られています。
ついに給料の差押になりました。退職金も付いて居ります。
税理士は引っ込み、又Sが対応しなければなりません。

医療機器会社は差押に対し、次の答弁をして居ます。
 Sには今年から給料を払わないことにして居ます。
 退職金は株主総会で決めますが、恐らく支払わないようになります。

Gの入れ知恵です。
しかし争いはこれからです。
R社がどの様な手段で来るか解かりません。

それにしてもSの今後、そろそろ安定させてやりたいものです。





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