かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

返さなければ、ならなくなった1億円の敷金

2010-07-06 | 事例
彼はテナントに懸命に懇願しました。
「今、興している別件の訴訟が勝訴すれば、この競売も取り下げになります。
 敗訴するか、または別件の判決が延びた場合は、競売は実施されます。
 その場合私どもには買戻しの余力がありません。
 しかし御社が此処にずうっと居た場合は、恐らく敷金も引き継がれますし、
 此処を利用する権利も買受人より強いと思います。
 抵当権の登記日より、賃貸借契約の日付の方が早いからです。
 どうか私どもの手を離れても末永く此処のご利用願います。」

4階建ての賃貸ビル。2階から4階までを30年間借り切るという
1部上場のスポーツジムがあったからこそ、このビルを建てたのです。
高い家賃、1億の敷金、何も文句を言わない優良テナントでした。

バブルの頃、銀行が仕組んだ大家とテナントでした。
最初彼はこの銀行でなく他の銀行からの融資を決めていました。
しかしビルが完成するまでには融資も、100%肩代わりをしております。
そんなことがあって、このビルは賃貸借契約のほうが抵当権より早く結ばれていました。
物件明細書が出て之を認めてくれれば安心です。

「若し御社がどうしても立ち退く場合はせめて今供託している家賃だけでも
 敷金と相殺と云う名目で相手に払わないようにお願いしたいのですが。
 敷金分だけでも、先ず確保願えれば、今後安心ですが。」

総務部長は呟くように云っただけです。
「そうですよね、此処に居る限りは、私どもは安泰ですよね。
 1部上場のスポーツジムだから清廉と云うイメージは大切ですが、
 此処に居てもイメージが壊れるものではないし。」

競売開始決定になってから直ぐに、彼は この事を報告して、
今後も居ることをお願いして居ります。
それから、揉めたために評価書や物件明細書が出るまでに1年4ヶ月も係って居ます。
その間テナントは何も動いて居りません。落ち着いた見たいです。

漸く出た現状調査報告書、賃借人優先の見方が強いです。
やがて出た物件明細書は、はっきり謳っていました。
「賃借人は更新の権利は買受人に優先し、また買受人は賃借人に対する義務を継承する。」
これで彼はテナントに不義理をしないと安堵したのです。
テナントもまさか1億を不良債権にして、かつ高い経費を払い、
20年住み慣れたところを捨てて他に引っ越すことは無いでしょう。

彼の手がぶるぶる震えて居ます。電話です。テナントの総務部長からの電話です。
「本社からの命令で急に引っ越す方針が出ました。
 日取りは追って連絡します。」
こんな重要な事を電話です。
慌てて飛んで行ったが取り付く島もありません。
「契約書に競売になったら契約は破棄するとあります。
 うちはスポーツの企業。清潔さが必要です。」
を繰り返すだけ。

聞いてみると家賃と敷金の相殺は、何もしてないとのことです。
「供託金が残っているから是非相殺を願います。」
それだけ頼んで返ったのです。

後の望みは競売で売れないこと。
特別仕様で、テナントが居ない建物なんて先ず買う者は居ないでしょう。
建物が利用できないとなれば、競売価格は割高です。

テナントが立退き日を云ってきたのは競売日程が決まってからです。
入札日の10日ほど前です。

競売は実施されました。
落札価格は想像を遥かに超えて、競売価格の倍近い価格でした。
落札者はサービサーの系列会社です。
自分のものを、自分で落とすのですから、高くても安くても同じです。
自分で物件を確保しようとするときは高く入札すれば良いのです。

それを待っ居たようにスポーツジムから敷金の返還請求です。
取れない事が解って居るのに、保証人を立てろとか、云いたい事を云って居ます。

「テナントもがめついな。銀行やサービサーと同じではないか。」
この時に彼にに閃いた事ががあります。
このスポーツジムは代々社長がこの銀行に居た人で、
今の社長も元役員であったらしいです。
それにサービサーは銀行の系列とは聞いた居りませんが、
融資関係はこの銀行が1番と云うことを聞いた事があります。

銀行は別件訴訟で最高裁まで持ち込んでいる彼が憎くて堪らないでしょう。
彼がこの物件に固執し、敷金を心配して居る事も知って居ます。
テナントが1億の為に占有に固執しないでも、テナント・サービサー・
銀行の3つが揃えばなんでも出来ます。
何処も銀行の言うことは絶対に通る間柄です。

何でテナントが1億を捨てたか、その手口も考え付きました。
しかし確証がつかめませから反撃も出来ません。

追いかけて来る支払い義務、彼には破産しかないでしょうか。


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思い込みの会社整理

2010-07-03 | 事例
「G先生も仰いました。私の場合、自己破産より、任意整理したほうが良いですって。」
「それは貴方、4年前の倒産騒ぎのときでしょう。今回は自己破産のほうがよいって、
 貴方に進言したと云って居ますよ。」
 
彼の会社は、今度こそ間違いなく倒産に成るでしょう。
手形こそ切ってありませんが、最近、支払日に支払わないと噂が直ぐに飛んで、
倒産と同じ騒ぎに成ります。
今度の支払い日、どうやっても払えそうもありません。

4年前に同じ様な騒ぎがありました。
紹介でコンサルタントのG先生と相談したことがあります。
「今はまだ体力もあります。
 資金が詰まって来ましたが、3-4ヶ月頑張るとまた復活する可能性が高ですね。
 仮に整理したところで、任意整理ならば仕入先にも従業員にも迷惑をかけなく、
 担保は保証協会が100%ですから、今の会社でも、第2会社でもやっていけますよ。
 自己破産は再生の芽を摘んでしまいますから、任意整理をお勧めします。」

しかしこの時は、G先生の指導の下に、銀行と大口のみに交渉して切り抜けたました。
彼にはこの時、「会社整理は自己破産より、任意整理」と云う言葉だけが鮮明に
残ったのです。

あの時より、周囲の事情が遥かに悪いのは解ります。
しかし彼は今後も仕事を続け、生活を守るならば、任意整理と決めて居ました。

お墨付きを貰うべく、またG先生と相談しました。
ところが案に相違し、今回は自己破産を薦めるのです。

「以前。先生は任意整理をすれば事業の再生は出来ると仰ったではありませんか。
 それが今回は自己破産なんて。配当だって任意整理ならば15%は堅く出来ますが、
 自己破産ならば恐らく無いでしょう。任意整理ならば将来の道もありますが、
 自己破産ならば絶望ですね。」

「前回の時、危機を乗り越えたら、直ぐに徹底したリストラをお薦めしましたが、
 何もやりませんでしたでしたね。残念ながら、この4年間にすっかり悪い会社の
 体質になって居ります。
 うまく行ったが為に安心して、今は黒字の仕事が一つとして見当たりません。
 今、何の仕事をしても、赤字で、それで生活費を稼ぐ事は不可能の話です。
 傷を深くするだけですが、今はお金が全然ありませんから、深くするどころか、
 やる事自体が出来ないでしょう。
 ですから「今、破産」これが唯一出来ることでしょう。」

今まで任意整理さえすれば、その後の生活は出来ると信じて居た彼にはショックでした。
しかし、どう考えても破産は直ちに生活も困るが、任意整理ならば、まだ若干の時間は
稼げそう。
その間に何とかできるのではないかと云うのが彼の心境です。

「破産に成ると印鑑から通帳まで弁護士に預け、自分はお金を一切いじる事が
 出来ないそうだ。自分の資産も20万以上のものは全部取られるそうだ。
 家も車もなくなって、勿論お金は全然無く、それで自分と家族はどうやって
 生活するのだろうか。

 その点任意整理ならば、当面自宅や車もあるし、お金も自由に扱えます。
 出来なく成るまでには時間があります。その間に手も打てます。
 15%の配当をすれば、部品を供給する仕入先も出るかも知れません。
 支払いのテクニックで暫く赤字でも回って行けます。
 その間に考えればよいです。」

理屈ではありません。生きるためには任意整理でないとやっていけません。

どうやろうが、彼には今まで資金の面倒を見てくれた身内には説明しないと成りません。
彼は著名なG先生に相談してその指導を仰いでいると、今回のアドバイスは内緒にして
4年前の説明をして居ります。
身内の中には、問題を残さぬように自己破産を主張する人もありましたが、
結局は「G先生の指導でもあり、第一、こんな重要な問題は、悔いを残さぬように
しなさい」と結局は彼の希望を認めたのです。

仕入先の債権者会議で、仕入先は配当のない自己破産より、15%の配当のある
任意整理を選びました。従業員も曲がりなりにも会社が続く任意整理は賛成です。
銀行も自分の自由に出来る任意整理のほうが破産よりよいみたいです。

こうして彼の思惑は当たったかに見えましたが、1ヵ月後業績が全然無くそれに
耐えうる資金も欠乏しておりました。
至近の利益計画すら組まなかった杜撰な整理は、たちまち破綻したのです。

思い込みの会社整理、でも計画だけはしっかりと組んでから取り掛かりたいものです。


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