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<伝統野菜> 山形 藤沢かぶ

2021-09-11 05:52:36 | 伝統野菜

 「藤沢かぶ」

 【産地】庄内地域>鶴岡市藤沢地区

 【特徴】藤沢かぶは大根に似た細長い形のかぶで、長さ10〜13cm、直径2〜3.5cm程度の小型の長かぶ。地上部のみが赤く着色し、土中にある部分や内部は白色。丸尻になるのが特徴。焼畑で作られ、は種から一ヶ月半で収穫できる極早生種。

 【食味】皮が薄く、上品な甘みと辛みを持つ。パリッとした歯ごたえのある肉質で漬物に適している。みそと塩で漬け込むアバ漬け、甘酢漬け、たまり漬けなどで食される。【来歴】来歴は不明だが、「とうげのやま」「とうげかぶ」と呼ばれていたことから温海の峠ノ山から嫁が持ち込んだと言い伝えられている。

 【時期】11~4月頃。

*https://tradveggie.or.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E4%BC%9D%E7%B5%B1%E9%87%8E%E8%8F%9C%E2%80%9506-%E5%B1%B1%E5%BD%A2/#i-68 より

 

 作家・藤沢周平のペンネームの由来となった鶴岡市藤沢地区は、金峰山の麓に位置する静かな集落。この周辺の山中で希少な在来作物、藤沢カブが栽培されています。
 ここに暮らす後藤勝利さん清子さん夫妻は平成元年、近所の渡会さんという女性から「先祖から引継いできたかぶを、どうか絶やさないで」と、渡会さんがただひとり畑の片すみの一坪ほどで育てていた、絶滅寸前の藤沢カブの、盃一杯の種を託されました。以来、後藤さん夫婦はその種を育み、藤沢カブを守り続けてきたのです。
 藤沢カブがいつ頃からこの地で栽培されるようになったのかは不明ですが、明治時代にはすでにあったといわれて、以前は「とうげかぶ」「とうげのやま」と呼ばれていたそうです。
 カブといっても丸くはなくむしろ大根に似た形ですが、傾斜地で栽培されるため緩やかな「くの字」に曲がり、上は濃いピンクで下は白のとても愛らしい姿。薄皮でぱりっとした歯ごたえとみずみずしさをもち、柔らかな甘みと独特の辛みを備えています。多くは漬物用に出荷されますが、生もまた格別の味わいです。
 藤沢カブはもともと、山奥の水はけのよい傾斜地で、伝統的な焼畑農法によってつくられてきた作物です。焼畑は労力も時間もかかる大変な重労働ですが、後藤さん夫妻は10年以上も絶えていた藤沢カブの焼畑を復活させました。
 作業は森林管理のため計画伐採される山の区画探しから始まります。そして一年でいちばん暑いお盆の頃、延焼を防ぐため入念に下準備(ヤマハライ)をした後、明け方の薄暗いなか斜面の上部から火を放ちます。日の出を過ぎる頃まで、周囲の木に放水をするなど最新の注意を払いながら作業を進め、火がまだ燻っているうちに種を蒔きます。これは地面の熱で種の外皮を刺激して、発芽を促すため。こうして蒔かれた種はのびやかに芽を出して成長し、約2ヶ月後には収穫の時を迎えます。
 藤沢かぶの漬物
 焼畑はともすれば自然破壊と誤解されがちですが、実は熱によって土壌が改良され、除草・殺菌されるために無農薬・無肥料の栽培ができる有機農法。里山の保全のために伐採された跡地を利用しての藤沢カブの栽培は、昔人の知恵が生み出した合理的な循環型農業であり、貴重な農耕文化です。とはいえ酷暑の火入れ、急勾配の斜面での作業は実に過酷なもの。けれども後藤さんは「カブがめんごぐで(可愛くて)のぉ」と、だからずっと続けてきたのだと語ります。後藤さん夫妻の深い思いがあったからこそ、残されてきた藤沢カブです。

*https://syokunomiyakoshounai.com/ingredient/ingre-04/003.html より


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