「外内島きゅうり-とのじまきゅうり」
【産地】庄内地域>鶴岡市外内島地区
【特徴】長さは12~13cm、太さ3~4cmほど。一般的なきゅうりに比べ、短く楕円形に近い長楕円の半白系。果皮の半分が白い品種。イボは黒イボで密度は低い。果頂部は淡緑白色。成熟すると尻や肩部から褐変しやすい。
【食味】皮は薄く果肉が厚い。水分が多く、サクサクした食感で歯ざわりが良い。生食だと果梗付近にやや苦味がある。もともとは越冬用の漬物に使われていた。現在では昔ながらの味噌漬け、生の味わいを生かした浅漬け、ピクルスなどが販売されている。
【来歴】鶴岡市外内島地区で古くから栽培されてきた。弘法大師が出羽三山に向かう途中、外内島地区でごちそうになったきゅうりでのどの渇きを癒やしたという説もある。一時期は生産者が一軒だけという時期もあったが、現在は在来作物を使っての漬物づくりに力を入れる漬物店が材料として調達するようになり復活しつつある。
【時期】6月下旬~7月下旬
*https://tradveggie.or.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E4%BC%9D%E7%B5%B1%E9%87%8E%E8%8F%9C%E2%80%9506-%E5%B1%B1%E5%BD%A2/#i-87 より
庄内・山形の食材情報発信 [エル・ケッチァーノNo.3]
外内島きゅうり とのじまきゅうり
鶴岡市外内島地区で、わずかに栽培されている外内島きゅうり。
その由来は定かではありませんが、弘法大師が出羽三山に向かう途中、このきゅうりで咽喉の渇きを癒したという言い伝えをもちます。
鶴岡では、昔はごく当たり前に栽培されていたそうですが、手間がかかるわりには収穫量が少なく、日持ちもしないため、次第につくる人が減ってゆくなか、ただひとり上野武さんだけが「やっぱり美味しさが違うから」と守り続けてきました。
ぱりっとした食感の極めて薄い皮に、香気に溢れたみずみずしい果肉。
これまでのきゅうりの概念が覆される、格別の味わいです。
夏バテした身体には、昔ながらの苦味がいちばん
外内島きゅうりは、大変瑞々しく、昔の味そのままの苦味と渋み、丸い甘さも味わえる、香り豊かな在来野菜。
食が溢れている今の時代では、わざわざ苦いきゅうりを食べなくても…となってしまうかもしれませんが、はるか昔から今に至るまで作り続けられてきたのには訳があるはずです。現に、シェフはひどい夏バテの時、「外内島きゅうりを食べた瞬間、視界が拡がり元気になった」という、知るひとぞ知る逸話も持っています。
そこで、お店にも遊びに来てくれる、山大農学部 江頭先生(江頭准教授)に聞いてみました。
「外内島きゅうりには苦味成分のククルビタシンが豊富に含まれているんです」とのこと。抗酸化力に優れた栄養素で胃腸の消化吸収を助けるとともに消化液の分泌も促し、食欲を増進させてくれるだけでなく血糖値や血圧を正常に戻す働きもあるそうです。
まさに 夏バテした身体の救世主!!
夏に旬を迎えるということと、長い間作り続けられ、食べ続けられてきた意味が見えてきました。
アル・ケでは 「口細カレイをパサつかせて焼いた上に 瑞々しい外内島きゅうりのせ」 「お刺身ワラサに塩 オリーヴオイルとウリ香の外内島きゅうりのせ」など瑞々しく苦味のある、このきゅうりでしか楽しめないメニューも登場します。(期間限定です)
また、在来野菜の保存・継続に情熱を注いでいらっしゃる、お漬物の「本長」さんでは、この苦味を生かしたピクルスを開発されていたりと、昔ながらのきゅうりの味を現代風に楽しむこともできます!
ぜひ、今年は外内島きゅうりピクルスのタルタルソース、作ってみてください。夏にぴったりのさっぱり味で、おじいちゃん・おばあちゃんにはほんのり懐かしさが香り、家族みんなが楽しめる一品の出来上がり!おばあちゃんたちとほろ苦いきゅうりを食べてるうちに、色んな野菜の昔ながらの味、聞いてみたくなるかもしれませんね?
今回のエル・ケ誌を作りながら思ったこと。
貴重で、すばらしい在来野菜を大変な努力のもと作り続けて下さる数少ない生産者の方々、そのすばらしさを多くの方々へ伝えようとアイディアを考える商店や飲食店、そしてそれらを楽しんで食べてみようと思って下さる消費者の方々。この黄金のトライアングルの関係がくずれることなくちょっとずつ、ちょっとずつ、大きくなってゆけたら…すばらしいことだなぁと。
エル・ケは微力ながらも、そのトライアングルの小さな一員として今後も頑張って参ります。 by スタッフ小林
*http://www.alchecciano.com/el-checciano/003.html より
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