「希房」
■希房/きぼうとは?
●「田中」×「長崎早生」
希房は1991(平成3)年に千葉県暖地園芸試験場(現千葉県農業総合研究センター暖地園芸研究所、館山市)において、4倍体の「田中」に2倍体の「長崎早生」を交配し、そこから得られた実生の中から選抜育成された3倍体のものを「房光」に高接ぎし、育成選抜された品種で、種ができにくいことから、自然の状態では果実が肥大しにくいため、多くの種なしブドウの場合と同じように植物成長調整剤に花(果)房を浸漬処理することによって果実を大きく育て収穫されるものです。2003(平成7)年に登録出願され、2006(平成10)年に品種登録されました。
植物成長調整剤してはブドウにも用いられているジベレリン 200ppm とホルクロルフェニュロン(フルメッ ト液剤)20ppmを合わせて用いられているそうです。
●希房の特徴
品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『- - - - - - - 植物生育調節剤で着果・肥大させた果実の縦断面は長卵、横断面はやや角、果梗部の形は鈍、果実の大きさは大である。果皮の色は橙黄、果実の紫斑、緑斑及びそばかすは軽、果粉の多少は多である。果頂部の開孔はやや開、突出度はやや凸、がく片の長さはかなり長、基部及びがく筒果しん部の幅はかなり広、がく筒の深さはかなり深である。果皮の厚さはかなり厚、はく皮の難易はやや易、果肉の厚さはかなり厚、色は橙黄、粗密は中、硬度は軟、甘味は中、酸味は少、果汁の多少は多、香気は少である。種子数は極少である。発芽期は中、開花期は晩、成熟期はやや晩で育成地におけるハウス栽培では5月中旬、果房内の着色の揃いはやや不良である。- - - - - - - -』以上抜粋。
●実際に食べてみた食味
今回入手したのは千葉県産でJA安房温室びわ組合種なしビワ部会から出荷されたもので、伊勢丹にて3個で2000円という驚く価格で販売されていたものです。
果実は結構大きく、やや縦長で、写真の通り真ん中に種はなく、星形に空洞となっています。種がない分果肉は肉厚で、皮を剥いたら種を気にすることなく丸ごとかじることができます。
果肉はとてもジューシーでした。ただ、味はというと残念ながら甘くておいしい・・・とは言えず、甘味や旨みが頼りなく水っぽく感じられました。その辺りで手もかけず成りっぱなしにされている露地ものの方がよほどおいしいと感じるくらいです。
とはいうものの、この大きさと、種がないという希少性は他にはない価値を持っているのは間違いないでしょう。また、加温施設栽培+植物生育調節剤の手間などコストがかかるのも事実。この価格がその価値に見合うかどうかは人それぞれ。
■希房の主な産地と旬
●主な産地と生産量
希房は千葉県が開発したオリジナル品種として、現在県外への苗木販売は行われていません。千葉県内でのみ条件付きでの栽培が認められています。
千葉県のJA安房温室びわ組合が主な生産拠点として、2004年12月に種子なしビワ「希房」の許諾契約を締結し2006年から生産者に苗木の配布がはじまり、2008年に初出荷されています。
●希房の収穫時期と旬
収穫は5月中旬頃から6月中旬頃までとなっています。
*https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/fruit/Biwa-Kibou.html より
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