還暦パパ タイへ行く 第7話 詐欺師とタイ式九九
話しかけてきた男
午前11時ころ、還暦パパはバンコク中心部の南西にある、チャイナタウンへ向かって歩いていた。昼食は、フカヒレスープと燕の巣とアワビにしようと心に決めて!
「何処へ行くの?」とおじさんが話しかけてきた。国王を敬愛する意思表示である、黄色いポロシャツ(還暦パパタイへ行く第三話参照)を着ていて、ズボンも、新しいものだった。
「チャイナタウン」と答えると、並んで歩き出した。
「オラは、チェンマイの高校教師を退職したんだ。社会科教師だった。」と、自己紹介。
「私も、ラスト マーチに退職したんだ」
「オラは、ジス マーチの退職。おまえが年上だな!」
どうでもいいけど、私の英語で間違いないよね?いくら黄色いポロシャツでも、私より10歳は年長に見えたよ。
さらに・・・
「時間があるなら、本当のバンコクを案内するよ。」
「ああ…5時頃までなら」
彼は、アーティ ラタナシ(Artit Ratanasit)と名乗った。アーティは太陽の意味だという。どこかへ電話をかけた。自分の息子へかけたとのこと。
「じゃあ行こう」タクシーをつかまえて15分ほど移動。チャオプラヤー川を渡り、「旧バンコク ノイ駅跡」近くで下車。タクシーを降りて(タクシー代はアーティが払った)、バンコク ノイ運河の船着き場へ。ここで、ロングテイルボート(細長いボートで、船外機で走る)をチャーター。なぜか船頭ともう1人・・・つまり男が2人乗船していた(通常は、1人)。
アーティは、チェンマイから会議のために来ているのだそうだが、バンコクの古い地域(運河の周辺)にやたら詳しい。有能なガイドであった。ずいぶん色々なことを教えてもらった。ほらあそこの写真を撮れ!このことはメモしておけ!微に入り、細に入り慣れたもの!自分の説明が聞こえずらい時には、船頭にエンジン音を低く(スピードダウン)を、ジェスチャーで指示。
「どうして、そんなに英語が上手いの?」
「英語を使わなければならない機会が多かったのでね・・・」
「どうして、オールドバンコクに詳しいの」
「バンコクの大学を出たからさ。あ、この先のデパートで舟を降り、休憩して引き返そう。」
デパートに着いた。
「・・・・・・」運河で暮らす人々のデパート!早い話が、小さな小さな雑貨屋だった。従業員は、50歳代と思われる夫婦と婆ちゃんの3人。家屋は水没しそうな味を出していた。裏は果樹林で、コブラでも出そう。このデパートで、ビールを飲み・・・フカヒレも燕の巣もないので、チャーハンを食べた。アーティは、ビールのつまみの、「(日本の)トンガリコーン」だけしか食べなかった。ビールとチャーハンで、30バーツ(100円もしないのか!)。代金は、アーティが払った。微々たるものだが、気前がよい。1,000バーツ札で払ったらしく、おつりが結構な厚みだった。
そういうことかい!
さて、降り際・・・私だけ降りろという。そして・・・
「オレのサイフはカラなので、払ってくれないか!あとで、半分返すからさ。(カラのサイフをわざわざ見せた)」
「え?いくら?(おまえ、さっきお釣りをたくさんもらうのを見たぞ。…まあいいや)」
「****バーツ…」
聞き取れない。と、いうか、数回違う数字を言っている?とりあえず、1,000バーツ出した。
「足りない足りない。全部出せ。(サイフを覗き)おっと、日本円も入っているじゃないか。それも出せよ。4時半に、「ワット トライミット(黄金寺院)」で落ち合おう。お金はそのとき返すから。」
還暦パパのサイフもカラ。帰りのタクシー代と地下鉄代として、100バーツ返してもらった。4時半に、「ワット トライミット」へ行ったが、アーティは現れなかった。
「やられたー!」
気づくのが遅すぎたあ!よくよく最初から考えるとおかしいんだもの!
1 会議出席でチェンマイから来たのに、還暦パパを観光に誘う…ここで気づかなければ。
2 長男へ電話した。実は仲間の船頭へ電話。「今からカモを連れて行くから」
3 デパート(水没寸前家屋)の、母屋から裏の畑から、自由に出入り。コレも通常あり得ない。
4 ビールやチャーハンに睡眠薬を混入する機会をうかがっていた・・・かもしれない。タイでは、睡眠薬を使用する強盗が多い。
5 タクシー代から飲食代まで支払う・・・コレも良く考えるとおかしいよねぇ。
「タイでは、詐欺師に注意するようにとの警告記事」を熟読していたし、根拠は無いけど、「自分は騙されるはずない!」と、自信があった。
しかしbut!、コロリと騙された。実害としては、せいぜい5,000円程度だが、彼らにとっては良い商売。まあ、重りをつけられて運河に沈められなかっただけでも良かったと思わなければ。危なかったあ!
教訓
「話しかけてくる奴は、皆悪人」
黄色いポロシャツで信用しちゃったんだよなあ~。王様とか天皇とかに弱いんだよなあ~。え!おまえの世代で天皇に弱いのかって?確かに還暦パパは、団塊の世代。全共闘華やかなりしころの世代。ノンセクトであるが学生時代は、流れに乗り、昨日は、「全共闘」のヘルメット。今日は、「中核」のヘルメット。明日は、「革マル」のヘルメット。コレを読むと、「そんなわけないだろう。中核と革マルは・・・」という人もおられるだろう。その方は、還暦前の方ですね。還暦パパの時代は、中核も革マルも仲が良かったです。「思想はどうだったんだ?」って?「ゴメンナサイ。思想もへったくれも全くなし!(威張ることもないか)」単に、流行の袢纏を着ただけ。だから、ある日からデモに行くのをきっぱり止めました。だって、機動隊の皆さん重装備なのに足が速く、逃げているうちに靴が脱げてしまって・・・靴代がかさむんだもん。それに、帰りの電車で、「はだし」って目立つんだわ!まあ、こんな程度です。そうそう、「天皇」。外国のジャーナリストが、「日本が好きではなかったが、天皇がいるということを知ってから好きになりました。神秘的な国です。」と、言ったのをきいて・・・、「そうだよなあ!」と共感しています。日本人として日本を意識して大切にしたい。天皇は、日本の象徴ですから大切にしたいです。モンゴル出身の横綱が神聖な土俵上でにらみ合う、土俵の下には、昆布もスルメも埋められているんだぞ(これホント)。その土俵で、チンピラ(この表現って古い?)の喧嘩もどきとは…神様ゴメンナサイ。相撲と天皇は関係ないべって?大いに関係ありです。
タイの九九
前述の水没しかけのデパートの壁に、古びた、「かけ算の九九の表」が貼ってあるのを見つけた。1×1=1で始まり、12×25=300まであった。チェンマイの元高校社会科教師(ホントカヨ!)、「アーティ」によると、タイの子は、12×25まで暗記するのだという(コレハ、ホント!)。インドの九九は、19×19まで暗記。どっちが実用的かは言い切れないが、タイ!なかなかやるじゃないか!
話しかけてきた男
午前11時ころ、還暦パパはバンコク中心部の南西にある、チャイナタウンへ向かって歩いていた。昼食は、フカヒレスープと燕の巣とアワビにしようと心に決めて!
「何処へ行くの?」とおじさんが話しかけてきた。国王を敬愛する意思表示である、黄色いポロシャツ(還暦パパタイへ行く第三話参照)を着ていて、ズボンも、新しいものだった。
「チャイナタウン」と答えると、並んで歩き出した。
「オラは、チェンマイの高校教師を退職したんだ。社会科教師だった。」と、自己紹介。
「私も、ラスト マーチに退職したんだ」
「オラは、ジス マーチの退職。おまえが年上だな!」
どうでもいいけど、私の英語で間違いないよね?いくら黄色いポロシャツでも、私より10歳は年長に見えたよ。
さらに・・・
「時間があるなら、本当のバンコクを案内するよ。」
「ああ…5時頃までなら」
彼は、アーティ ラタナシ(Artit Ratanasit)と名乗った。アーティは太陽の意味だという。どこかへ電話をかけた。自分の息子へかけたとのこと。
「じゃあ行こう」タクシーをつかまえて15分ほど移動。チャオプラヤー川を渡り、「旧バンコク ノイ駅跡」近くで下車。タクシーを降りて(タクシー代はアーティが払った)、バンコク ノイ運河の船着き場へ。ここで、ロングテイルボート(細長いボートで、船外機で走る)をチャーター。なぜか船頭ともう1人・・・つまり男が2人乗船していた(通常は、1人)。
アーティは、チェンマイから会議のために来ているのだそうだが、バンコクの古い地域(運河の周辺)にやたら詳しい。有能なガイドであった。ずいぶん色々なことを教えてもらった。ほらあそこの写真を撮れ!このことはメモしておけ!微に入り、細に入り慣れたもの!自分の説明が聞こえずらい時には、船頭にエンジン音を低く(スピードダウン)を、ジェスチャーで指示。
「どうして、そんなに英語が上手いの?」
「英語を使わなければならない機会が多かったのでね・・・」
「どうして、オールドバンコクに詳しいの」
「バンコクの大学を出たからさ。あ、この先のデパートで舟を降り、休憩して引き返そう。」
デパートに着いた。
「・・・・・・」運河で暮らす人々のデパート!早い話が、小さな小さな雑貨屋だった。従業員は、50歳代と思われる夫婦と婆ちゃんの3人。家屋は水没しそうな味を出していた。裏は果樹林で、コブラでも出そう。このデパートで、ビールを飲み・・・フカヒレも燕の巣もないので、チャーハンを食べた。アーティは、ビールのつまみの、「(日本の)トンガリコーン」だけしか食べなかった。ビールとチャーハンで、30バーツ(100円もしないのか!)。代金は、アーティが払った。微々たるものだが、気前がよい。1,000バーツ札で払ったらしく、おつりが結構な厚みだった。
そういうことかい!
さて、降り際・・・私だけ降りろという。そして・・・
「オレのサイフはカラなので、払ってくれないか!あとで、半分返すからさ。(カラのサイフをわざわざ見せた)」
「え?いくら?(おまえ、さっきお釣りをたくさんもらうのを見たぞ。…まあいいや)」
「****バーツ…」
聞き取れない。と、いうか、数回違う数字を言っている?とりあえず、1,000バーツ出した。
「足りない足りない。全部出せ。(サイフを覗き)おっと、日本円も入っているじゃないか。それも出せよ。4時半に、「ワット トライミット(黄金寺院)」で落ち合おう。お金はそのとき返すから。」
還暦パパのサイフもカラ。帰りのタクシー代と地下鉄代として、100バーツ返してもらった。4時半に、「ワット トライミット」へ行ったが、アーティは現れなかった。
「やられたー!」
気づくのが遅すぎたあ!よくよく最初から考えるとおかしいんだもの!
1 会議出席でチェンマイから来たのに、還暦パパを観光に誘う…ここで気づかなければ。
2 長男へ電話した。実は仲間の船頭へ電話。「今からカモを連れて行くから」
3 デパート(水没寸前家屋)の、母屋から裏の畑から、自由に出入り。コレも通常あり得ない。
4 ビールやチャーハンに睡眠薬を混入する機会をうかがっていた・・・かもしれない。タイでは、睡眠薬を使用する強盗が多い。
5 タクシー代から飲食代まで支払う・・・コレも良く考えるとおかしいよねぇ。
「タイでは、詐欺師に注意するようにとの警告記事」を熟読していたし、根拠は無いけど、「自分は騙されるはずない!」と、自信があった。
しかしbut!、コロリと騙された。実害としては、せいぜい5,000円程度だが、彼らにとっては良い商売。まあ、重りをつけられて運河に沈められなかっただけでも良かったと思わなければ。危なかったあ!
教訓
「話しかけてくる奴は、皆悪人」
黄色いポロシャツで信用しちゃったんだよなあ~。王様とか天皇とかに弱いんだよなあ~。え!おまえの世代で天皇に弱いのかって?確かに還暦パパは、団塊の世代。全共闘華やかなりしころの世代。ノンセクトであるが学生時代は、流れに乗り、昨日は、「全共闘」のヘルメット。今日は、「中核」のヘルメット。明日は、「革マル」のヘルメット。コレを読むと、「そんなわけないだろう。中核と革マルは・・・」という人もおられるだろう。その方は、還暦前の方ですね。還暦パパの時代は、中核も革マルも仲が良かったです。「思想はどうだったんだ?」って?「ゴメンナサイ。思想もへったくれも全くなし!(威張ることもないか)」単に、流行の袢纏を着ただけ。だから、ある日からデモに行くのをきっぱり止めました。だって、機動隊の皆さん重装備なのに足が速く、逃げているうちに靴が脱げてしまって・・・靴代がかさむんだもん。それに、帰りの電車で、「はだし」って目立つんだわ!まあ、こんな程度です。そうそう、「天皇」。外国のジャーナリストが、「日本が好きではなかったが、天皇がいるということを知ってから好きになりました。神秘的な国です。」と、言ったのをきいて・・・、「そうだよなあ!」と共感しています。日本人として日本を意識して大切にしたい。天皇は、日本の象徴ですから大切にしたいです。モンゴル出身の横綱が神聖な土俵上でにらみ合う、土俵の下には、昆布もスルメも埋められているんだぞ(これホント)。その土俵で、チンピラ(この表現って古い?)の喧嘩もどきとは…神様ゴメンナサイ。相撲と天皇は関係ないべって?大いに関係ありです。
タイの九九
前述の水没しかけのデパートの壁に、古びた、「かけ算の九九の表」が貼ってあるのを見つけた。1×1=1で始まり、12×25=300まであった。チェンマイの元高校社会科教師(ホントカヨ!)、「アーティ」によると、タイの子は、12×25まで暗記するのだという(コレハ、ホント!)。インドの九九は、19×19まで暗記。どっちが実用的かは言い切れないが、タイ!なかなかやるじゃないか!