「ミシュランガイドの店」誰の舌に美味いの?
ミシュランガイド東京版2009は、11月21日発売予定。2,415円。去年より高いんだぁ。2008は、発売日から4日間で初版12万部をほぼ完売。1冊、2,330円ですから 約2億8千万円の売り上げ!ミシュランの本業のタイヤは、4日間で2億円は売れんだろうなあ。書籍も、これほど売れることはない。はたして、今回はどのくらい売れるか。
北国暮らしのため、年に2回タイヤ交換をする。先日は、夏タイヤから、スタッドレスタイヤへ、来年の5月には、スタッドレスタイヤから夏タイヤへ。
交換してもらう間、待合室にいるのですが、その退屈なはずの時間が、なかなかいい時間なのです。安心安全のための待ち時間なので浪費感がない。これが大きな点でしょうがもう一つあるのです。
1900年のフランスでは、こうして車の修理等を待っている間、ミシュランガイドを見ていたんだろうなあ。と、田舎町の自動車修理工場の待合室にいる自分と、シャンゼリゼ通りのミシュランのタイヤ屋にいる自分がオーバーラップ…されるわけない。けど、そんな感じの時間です。
ミシュランガイドの起こりは…タイヤ会社のミシュランが、自動車修理等の待ち時間をタイヤの売れ行き向上のために使えないかと考えた。そこで、考え出されたのが、小雑誌「ミシュランガイド」を発行し無料で配布して読んでもらおうというものでした。その後、無料では、粗末に扱われるため、有料としました。無料のものは、粗末にする。どこの国も同じです。
発行当初の内容は…
1 市街地図…郵便局や電話の位置まで示した
2 ガソリンスタンドやホテルの一覧
3 自動車の整備方法
そして、初版から30年経って、レストランを星で格付けして掲載し始めた。丁度1年前、ミシュランガイド東京版が出版された。星の数は、パリの倍の191個。最高の三つ星が8店。(ただ、東京のレストラン総数16万店に対して、パリ1万3,000店ですから、パリの倍だと喜ぶ話でもない)
ミシュランに付けられた星一つで、客層、収益が激変する。そのため、事件が起きてしまう。大変な影響力を持っているということです。いずれもフランスで起こったことですが…
ミシュランの評価が下がったことを気にしたシェフが自殺。二つ星への降格が打診された店のシェフが自殺(打診だけで、モウダメダと思ったのでしょうね)。二つ星に降格されたオーナーが一時失踪(自殺しなくて良かった)。二つ星への降格を打診され、ミシュランガイドへの掲載を拒否(これって…開き直り?「降格にするなら、うちの店の名前を一切出すなよコラ」ってこと)
ミシュランガイドの星は、東京版の場合次の5点を評価する
1 素材の質
2 調理技術の高さと味付けの完成度
3 独創性
4 コストパフォーマンス
5 常に安定した料理全体の一貫性
上記のように、料理のカテゴリーや、店の雰囲気、接客態度ではなく、あくまで「皿に盛られたも」の、つまり料理そのもののみを評価する。トイレが汚いとか、テーブルの上をアリが歩いているとかは関係ない。アリが立ち止まって考えたりします、「アリ?」
「あの店の○○が美味い」このセリフ良く耳にします。私は、そのセリフを聞くたび、「それおかしいべ!」と思うのです。それを口にしたところでしょうがないので、穏和な表情うかべて黙っています。時折、「あの店美味しいのよ」などと言う人には、「あなた、店を食ったのか!」とツッコミを入れるようにしています。
なぜ「あの店の○○が美味しい」が、おかしいかといいますと…味覚自体が、人それぞれ皆違う。さらに同じ人が全く同じものを食べたとしても、そのときの体調やら運動前、運動後で、「美味い」と感じたり「まずい」と感じたりするはずです。その評判の店の「○○」だって、毎日味が全く同じなはずがありません。そんなわけで、「あの店の○○が美味い」は、成立しない。そんなにムキになる問題じゃないだろうって?そうです。だから、穏和な表情うかべて黙っているのです。私が心配するまでもないのですが、ミシュランガイドの調査員。どんな体調で調査に出かけるか?これって大きいですよ!
私が考える美味い料理を出す店は、オープンキッチンが第一条件です。なぜか?シェフが客を見ることができるからです。客が見えないところで、老若男女関係なくフリーサイズの指輪みたいな料理を作り、「うちは高級、オープンキッチン?そんな、お客様にキッチンの音をお聞かせするなんて失礼です。貧乏人は来なくていいよ」こういう店の料理、値段ばかり高くて、美味いはずがありません。
オープンキッチンでも、シェフの能力が低ければなにもなりません。シェフは、「この客は、朝から物置をかたづけて、午後タイヤ交換したな。最初の料理は、塩分を多くしよう」とか、「この客は、朝からだらだら過ごしていたな。最初は、甘みを強調させ、ここの料理は美味しいよと、前頭葉に訴えよう」など、客を見抜いて、客に合った味を提供する。こうでなければなりません。ラーメン屋など、せっかくオープンキッチンなのに、全然客を見ていないのって多いです。というより、100%客など見ていないかも。
昨年、三つ星の、「すきやばし次郎」。業界の人間国宝といわれる寿司職人小野次郎さん(御高齢なので、現在御存命かどうか分かりませんが)。私は、すきやばし次郎の店の前までは行くことが出来ますが、サイフの中身の都合で入ることはできません。よって、中を覗けませんが、オープンキッチンだと思います。そして、小野次郎さんは客を見て、どんな味が美味いと感じる客なのかを見抜いて握るのだと思います。そうでなければ、失礼ながらたかが寿司、ファストフードですよ。機械でも握れるのです。「寿司は料理なのか?」という議論まであったぐらいですから。「にぎりめしに、わさびを付けて魚の切り身を載せるだけ」なら、料理してません、作業しているだけです。寿司は、シャリを作る前からすでに始まっています。握るのも、御飯粒の方向で味が違います。中心に空間が出来るように握ると食感ががらりと変わります。ネタも、ただ切り身を作るのでは、味もヘッタクレもありません。イカの切り方が好例です。タテに切るかヨコに切るかで別の味になってしまう。切り身を作った後が問題で、職人さんは、切り身をそのまま握ることもあるが、素材の状態から一工夫することもある。塩紙を使う、酢を使うなど、「食べる人」が、「美味い!」と叫ぶ味付けをします。そう考えるので、私は寿司は料理だと思っています。
小野次郎さんの握りと、家内がスーパーで買ってきたネタの握り・・・目をつぶって食べたらどちらが美味いか?あなたの味覚に、人間国宝の味などわからんだろうって?ちょっと言い過ぎじゃないですか!私は、目隠ししても、牛の挽肉と、豚の内臓に血を混ぜて挽いたものの区別ができますから!
さて、ミシュランガイド東京版2009。どんなドラマが起こりますやら。
ミシュランガイド東京版2009は、11月21日発売予定。2,415円。去年より高いんだぁ。2008は、発売日から4日間で初版12万部をほぼ完売。1冊、2,330円ですから 約2億8千万円の売り上げ!ミシュランの本業のタイヤは、4日間で2億円は売れんだろうなあ。書籍も、これほど売れることはない。はたして、今回はどのくらい売れるか。
北国暮らしのため、年に2回タイヤ交換をする。先日は、夏タイヤから、スタッドレスタイヤへ、来年の5月には、スタッドレスタイヤから夏タイヤへ。
交換してもらう間、待合室にいるのですが、その退屈なはずの時間が、なかなかいい時間なのです。安心安全のための待ち時間なので浪費感がない。これが大きな点でしょうがもう一つあるのです。
1900年のフランスでは、こうして車の修理等を待っている間、ミシュランガイドを見ていたんだろうなあ。と、田舎町の自動車修理工場の待合室にいる自分と、シャンゼリゼ通りのミシュランのタイヤ屋にいる自分がオーバーラップ…されるわけない。けど、そんな感じの時間です。
ミシュランガイドの起こりは…タイヤ会社のミシュランが、自動車修理等の待ち時間をタイヤの売れ行き向上のために使えないかと考えた。そこで、考え出されたのが、小雑誌「ミシュランガイド」を発行し無料で配布して読んでもらおうというものでした。その後、無料では、粗末に扱われるため、有料としました。無料のものは、粗末にする。どこの国も同じです。
発行当初の内容は…
1 市街地図…郵便局や電話の位置まで示した
2 ガソリンスタンドやホテルの一覧
3 自動車の整備方法
そして、初版から30年経って、レストランを星で格付けして掲載し始めた。丁度1年前、ミシュランガイド東京版が出版された。星の数は、パリの倍の191個。最高の三つ星が8店。(ただ、東京のレストラン総数16万店に対して、パリ1万3,000店ですから、パリの倍だと喜ぶ話でもない)
ミシュランに付けられた星一つで、客層、収益が激変する。そのため、事件が起きてしまう。大変な影響力を持っているということです。いずれもフランスで起こったことですが…
ミシュランの評価が下がったことを気にしたシェフが自殺。二つ星への降格が打診された店のシェフが自殺(打診だけで、モウダメダと思ったのでしょうね)。二つ星に降格されたオーナーが一時失踪(自殺しなくて良かった)。二つ星への降格を打診され、ミシュランガイドへの掲載を拒否(これって…開き直り?「降格にするなら、うちの店の名前を一切出すなよコラ」ってこと)
ミシュランガイドの星は、東京版の場合次の5点を評価する
1 素材の質
2 調理技術の高さと味付けの完成度
3 独創性
4 コストパフォーマンス
5 常に安定した料理全体の一貫性
上記のように、料理のカテゴリーや、店の雰囲気、接客態度ではなく、あくまで「皿に盛られたも」の、つまり料理そのもののみを評価する。トイレが汚いとか、テーブルの上をアリが歩いているとかは関係ない。アリが立ち止まって考えたりします、「アリ?」
「あの店の○○が美味い」このセリフ良く耳にします。私は、そのセリフを聞くたび、「それおかしいべ!」と思うのです。それを口にしたところでしょうがないので、穏和な表情うかべて黙っています。時折、「あの店美味しいのよ」などと言う人には、「あなた、店を食ったのか!」とツッコミを入れるようにしています。
なぜ「あの店の○○が美味しい」が、おかしいかといいますと…味覚自体が、人それぞれ皆違う。さらに同じ人が全く同じものを食べたとしても、そのときの体調やら運動前、運動後で、「美味い」と感じたり「まずい」と感じたりするはずです。その評判の店の「○○」だって、毎日味が全く同じなはずがありません。そんなわけで、「あの店の○○が美味い」は、成立しない。そんなにムキになる問題じゃないだろうって?そうです。だから、穏和な表情うかべて黙っているのです。私が心配するまでもないのですが、ミシュランガイドの調査員。どんな体調で調査に出かけるか?これって大きいですよ!
私が考える美味い料理を出す店は、オープンキッチンが第一条件です。なぜか?シェフが客を見ることができるからです。客が見えないところで、老若男女関係なくフリーサイズの指輪みたいな料理を作り、「うちは高級、オープンキッチン?そんな、お客様にキッチンの音をお聞かせするなんて失礼です。貧乏人は来なくていいよ」こういう店の料理、値段ばかり高くて、美味いはずがありません。
オープンキッチンでも、シェフの能力が低ければなにもなりません。シェフは、「この客は、朝から物置をかたづけて、午後タイヤ交換したな。最初の料理は、塩分を多くしよう」とか、「この客は、朝からだらだら過ごしていたな。最初は、甘みを強調させ、ここの料理は美味しいよと、前頭葉に訴えよう」など、客を見抜いて、客に合った味を提供する。こうでなければなりません。ラーメン屋など、せっかくオープンキッチンなのに、全然客を見ていないのって多いです。というより、100%客など見ていないかも。
昨年、三つ星の、「すきやばし次郎」。業界の人間国宝といわれる寿司職人小野次郎さん(御高齢なので、現在御存命かどうか分かりませんが)。私は、すきやばし次郎の店の前までは行くことが出来ますが、サイフの中身の都合で入ることはできません。よって、中を覗けませんが、オープンキッチンだと思います。そして、小野次郎さんは客を見て、どんな味が美味いと感じる客なのかを見抜いて握るのだと思います。そうでなければ、失礼ながらたかが寿司、ファストフードですよ。機械でも握れるのです。「寿司は料理なのか?」という議論まであったぐらいですから。「にぎりめしに、わさびを付けて魚の切り身を載せるだけ」なら、料理してません、作業しているだけです。寿司は、シャリを作る前からすでに始まっています。握るのも、御飯粒の方向で味が違います。中心に空間が出来るように握ると食感ががらりと変わります。ネタも、ただ切り身を作るのでは、味もヘッタクレもありません。イカの切り方が好例です。タテに切るかヨコに切るかで別の味になってしまう。切り身を作った後が問題で、職人さんは、切り身をそのまま握ることもあるが、素材の状態から一工夫することもある。塩紙を使う、酢を使うなど、「食べる人」が、「美味い!」と叫ぶ味付けをします。そう考えるので、私は寿司は料理だと思っています。
小野次郎さんの握りと、家内がスーパーで買ってきたネタの握り・・・目をつぶって食べたらどちらが美味いか?あなたの味覚に、人間国宝の味などわからんだろうって?ちょっと言い過ぎじゃないですか!私は、目隠ししても、牛の挽肉と、豚の内臓に血を混ぜて挽いたものの区別ができますから!
さて、ミシュランガイド東京版2009。どんなドラマが起こりますやら。