還暦で起業 見事な退き際
恩師が、JRを乗り継いで、「どんな暮らしをしているんだ?」と、訪ねてきてくださいました。もうすぐ79歳、男性。79歳の渋谷の女通り魔に関わる新聞記事を読んだばかりでしたので、同じ年齢でも随分違うなあと思いつつも、「79歳は、元気なんだ!」と、複雑な納得をしました。
79歳の渋谷の女通り魔・・・JR渋谷駅付近で、2人の女性を果物ナイフで刺し、殺人未遂の現行犯で逮捕された。犯人の女、同情は出来ないが実情を知ればやるせなくなってしまう。
新聞によると…見知らぬ土地で死のうと、自殺するために奈良から東京に来た。死に場に選ばれた東京もエライ迷惑。しかし、自殺は難しかった。所持金も底をつき、留置場に泊めてもらおうと万引き。施設に保護されたが、他の入居者と言い争いになり出た。「屋根の下で寝たい。警察に泊めてもらうには万引きではダメ。もっと大きなことをせなあかん」と、果物ナイフを買って渋谷へ向かった。悲鳴が響いた後も、刃物を手に街をさまよったという。
「自分が恐ろしうて。早く死んでおれば皆さんに御迷惑もかけなかった」
「命あって出所したら、どこに行けばいいのでしょう」
判決は、12月。どのくらいの刑になるか分からないが、もうじき80歳…。
4月の尾鷲市(三重県)の殺人事件の犯人は、77歳の女だった。懲役15年の実刑判決。裁判長は「被告に反省の態度が見られない。犯行に計画性がないことと、高齢であることを考慮しても刑事責任は重大」と述べた。金づちで頭を複数回殴ったり、包丁で胸を数カ所刺したりして、女性(73歳)を殺害したのだが、その前に、被害者の女性から、腕をたたかれたり足をけられたりしたので憎しみを募らせ殺害に至ったという。理屈と膏薬はどこにでもつく、しかし、被害者にも非があるなどとは間違っても言えない。それにしても、80歳近くになって、殺人犯になる…。刑期を終えて帰ってくるのは、92歳…。79歳の通り魔女と同様、「命あって出所したら、どこに行けばいいのでしょう」ということになります。
高齢化率を上回る勢いで高齢者犯罪が増えている。長寿の時代、諸手を挙げて歓迎…出来ません。何とかしなければ、刑務所が「老衰で亡くなる場所」になってしまいますよ。
恩師は、公務員を退職してから、会社を興した人。18年前も、今もそんな人っていないですよ。公務員を退職してから、社長さんになる人は。なかなか、そういう発想を持たないですよ。
オイルショックの時で、会社の倒産が相次いでいたときに起業。街角によく見られる、太い鉄の円柱の上にのっかっているカーディーラー等の大きな看板。その設計施工の会社。御本人は、一級建築士。
たった一人で、始めた会社。5年前に、13年が経過。売り上げが8億円、従業員およそ10人の会社になっていた。13年で、スパッと、社長を引退。会長にも顧問にも一切ならず、普通の年金生活者になった。
会社は、息子さんに譲った。どうしてそんなことを…。この度、御本人に直撃インタビューした。
「始めるより、退くのが難しい」人間は、どんなケースでも、退き際が難しいんだよ。このセリフは、重いです。桑田の退き際、清原の退き際、小泉元首相の退き際、福田前首相の退き際…麻生首相だって旗色が悪いです。人生色々、誰がどう退いていってもいいですが。潔くパーと散るのが、私の好きな退き際…小泉さん、良かったかも。
息子は、おっとりしたいい奴だが、人柄が良すぎる。自分が社長をしていると、息子は私に頼るだけ、会社経営の力は育たない。ライオンが、我が子を谷へ突き落とす(この例えも御本人談ですから)、その気持ちで一切を息子へ譲った。
そのづづきがまたいい話で、「向こう5年間は、親子関係を凍結。他人になる。電話も、手紙も、訪問もなし」・・・創作かなと思うような話。
その約束が守られ、2010年2月に晴れて5年経つので、親子にもどる。この5年間、息子さんからの連絡はなかった。2年前から情報が入るようになってきた。どこから?情報は、もっぱら業界紙。この御時世に、会社は売り上げを伸ばしているという。さらに、息子さんは、他の複数の会社の執行役員になっている。ライオンの子が、谷底から這い上がってきて、キリマ・ンジャロへ登ったというところでしょうか。キリマンジャロの区切りが違うって?いえいえ、「キリマ・ンジャロ」でいいのです。得意のスワヒリ語です。「キリマ(Kilima)」は「山」、「ンジャロ(njaro)」は「輝く」という意味です。世界には、「ン」で始まる言葉もあるのです。国際化の時代、日本のしりとりのルールも変えなければ。
80歳になろうとして、これから刑務所に入る人。これから、親子関係を再開する人。全ての人に、平等にやってくるであろう80歳。傘寿といいます。傘という字が八十と見えるということからです。よく見ると、傘には、人が仲良く4人入っています。ワイワイガヤガヤ、ホラ吹き大会…そんな80歳を迎えられたらいいです。
恩師は、「口(くち)以外は、全て病んでいる。ワッハッハ」と、JRで帰って行かれた。高級車が車庫にあるのですが、ほとんど乗っていないとのこと。長距離ドライブは億劫。市内も敬老パスがあり、自分で運転するより楽で便利とのことで。「明日は、加齢黄斑変性症の診察日だ」と。80歳近くなると、全ての病気に枕詞よろしく、「加齢」が付く。
加齢万引き、加齢通り魔、加齢殺人…御容赦いただきたいものです。
恩師が、JRを乗り継いで、「どんな暮らしをしているんだ?」と、訪ねてきてくださいました。もうすぐ79歳、男性。79歳の渋谷の女通り魔に関わる新聞記事を読んだばかりでしたので、同じ年齢でも随分違うなあと思いつつも、「79歳は、元気なんだ!」と、複雑な納得をしました。
79歳の渋谷の女通り魔・・・JR渋谷駅付近で、2人の女性を果物ナイフで刺し、殺人未遂の現行犯で逮捕された。犯人の女、同情は出来ないが実情を知ればやるせなくなってしまう。
新聞によると…見知らぬ土地で死のうと、自殺するために奈良から東京に来た。死に場に選ばれた東京もエライ迷惑。しかし、自殺は難しかった。所持金も底をつき、留置場に泊めてもらおうと万引き。施設に保護されたが、他の入居者と言い争いになり出た。「屋根の下で寝たい。警察に泊めてもらうには万引きではダメ。もっと大きなことをせなあかん」と、果物ナイフを買って渋谷へ向かった。悲鳴が響いた後も、刃物を手に街をさまよったという。
「自分が恐ろしうて。早く死んでおれば皆さんに御迷惑もかけなかった」
「命あって出所したら、どこに行けばいいのでしょう」
判決は、12月。どのくらいの刑になるか分からないが、もうじき80歳…。
4月の尾鷲市(三重県)の殺人事件の犯人は、77歳の女だった。懲役15年の実刑判決。裁判長は「被告に反省の態度が見られない。犯行に計画性がないことと、高齢であることを考慮しても刑事責任は重大」と述べた。金づちで頭を複数回殴ったり、包丁で胸を数カ所刺したりして、女性(73歳)を殺害したのだが、その前に、被害者の女性から、腕をたたかれたり足をけられたりしたので憎しみを募らせ殺害に至ったという。理屈と膏薬はどこにでもつく、しかし、被害者にも非があるなどとは間違っても言えない。それにしても、80歳近くになって、殺人犯になる…。刑期を終えて帰ってくるのは、92歳…。79歳の通り魔女と同様、「命あって出所したら、どこに行けばいいのでしょう」ということになります。
高齢化率を上回る勢いで高齢者犯罪が増えている。長寿の時代、諸手を挙げて歓迎…出来ません。何とかしなければ、刑務所が「老衰で亡くなる場所」になってしまいますよ。
恩師は、公務員を退職してから、会社を興した人。18年前も、今もそんな人っていないですよ。公務員を退職してから、社長さんになる人は。なかなか、そういう発想を持たないですよ。
オイルショックの時で、会社の倒産が相次いでいたときに起業。街角によく見られる、太い鉄の円柱の上にのっかっているカーディーラー等の大きな看板。その設計施工の会社。御本人は、一級建築士。
たった一人で、始めた会社。5年前に、13年が経過。売り上げが8億円、従業員およそ10人の会社になっていた。13年で、スパッと、社長を引退。会長にも顧問にも一切ならず、普通の年金生活者になった。
会社は、息子さんに譲った。どうしてそんなことを…。この度、御本人に直撃インタビューした。
「始めるより、退くのが難しい」人間は、どんなケースでも、退き際が難しいんだよ。このセリフは、重いです。桑田の退き際、清原の退き際、小泉元首相の退き際、福田前首相の退き際…麻生首相だって旗色が悪いです。人生色々、誰がどう退いていってもいいですが。潔くパーと散るのが、私の好きな退き際…小泉さん、良かったかも。
息子は、おっとりしたいい奴だが、人柄が良すぎる。自分が社長をしていると、息子は私に頼るだけ、会社経営の力は育たない。ライオンが、我が子を谷へ突き落とす(この例えも御本人談ですから)、その気持ちで一切を息子へ譲った。
そのづづきがまたいい話で、「向こう5年間は、親子関係を凍結。他人になる。電話も、手紙も、訪問もなし」・・・創作かなと思うような話。
その約束が守られ、2010年2月に晴れて5年経つので、親子にもどる。この5年間、息子さんからの連絡はなかった。2年前から情報が入るようになってきた。どこから?情報は、もっぱら業界紙。この御時世に、会社は売り上げを伸ばしているという。さらに、息子さんは、他の複数の会社の執行役員になっている。ライオンの子が、谷底から這い上がってきて、キリマ・ンジャロへ登ったというところでしょうか。キリマンジャロの区切りが違うって?いえいえ、「キリマ・ンジャロ」でいいのです。得意のスワヒリ語です。「キリマ(Kilima)」は「山」、「ンジャロ(njaro)」は「輝く」という意味です。世界には、「ン」で始まる言葉もあるのです。国際化の時代、日本のしりとりのルールも変えなければ。
80歳になろうとして、これから刑務所に入る人。これから、親子関係を再開する人。全ての人に、平等にやってくるであろう80歳。傘寿といいます。傘という字が八十と見えるということからです。よく見ると、傘には、人が仲良く4人入っています。ワイワイガヤガヤ、ホラ吹き大会…そんな80歳を迎えられたらいいです。
恩師は、「口(くち)以外は、全て病んでいる。ワッハッハ」と、JRで帰って行かれた。高級車が車庫にあるのですが、ほとんど乗っていないとのこと。長距離ドライブは億劫。市内も敬老パスがあり、自分で運転するより楽で便利とのことで。「明日は、加齢黄斑変性症の診察日だ」と。80歳近くなると、全ての病気に枕詞よろしく、「加齢」が付く。
加齢万引き、加齢通り魔、加齢殺人…御容赦いただきたいものです。