アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

助け合って帰ってきたハクチョウ

2008年11月12日 | Weblog
  助け合って帰ってきたハクチョウ

 4月から5月にかけて、我が家上空を、ハクチョウが繁殖地へ行った。北アメリカ大陸の北極圏(ツンドラ地帯)、ユーラシア大陸の高緯度地方(タイガ地帯)へ。そして、11月、逆のコースを、越冬のためにやって来た。

 半年ぶりに、甲高い「コォーコォー」を、聞いた。ハクチョウが来てくれた。コハクチョウは、体長120cm、オオハクチョウは、体長140cm。地上から見上げても、区別はつきません。
 オオハクチョウは、3,000kmを旅する。コハクチョウは、4,000km。中継地で休憩しながら、約2週間で渡ってきます。
 ハクチョウの飛行速度は、平均時速50km。追い風では70km。気流に乗ると100kmになるといわれています。驚くことばかりですが、ハクチョウは標高3,000mの山を越えられる。ちなみに、ガンは9,000m上空を飛ぶことができるという。渡り鳥って凄い力を持っているのですねえ!

「コォーコォー」が聞こえると、すぐに外へ出て迎えています。V字編隊、斜め編隊など、定規で引いたように見事な編隊を組んでいる。ラインから外れた、5~6羽もバラバラで必死に本隊に追いつこうとするのではなく、一列になって追いかけている。

 これは、よく知られていることですが、翼端渦(よくたんうず)で起こる気流に乗ったもの。飛行機も同じですが、翼に風が当たると、翼の後方に渦が生じる。発生した翼端渦の斜め後方には上向きの気流が発生する。そのため、斜め後ろを飛ぶ鳥はその気流に乗ることによって楽に飛ぶことが出来る。前を行く鳥が作る上昇気流に乗るので、きれいな直線になっていく。これがV字編隊や斜め一列につながって編隊飛行する理由。

 渡り鳥は長距離飛行で著しく体力を消耗する。鳥たちは、翼端渦から発生する上昇気流で体力を温存しながら旅をする。そこで問題なのは、上昇気流の恩恵を受けない、「先頭を飛ぶ鳥」。先頭は、当然疲れる。つまり…群れの犠牲になるのか?それが違う。群れは、大変なことをするのです。ハクチョウの素晴らしさ…3,000km~4,000kmの旅をしたり、3,000m上空を飛ぶ。これらも、驚異なのですが、最も素晴らしい力…。

 「先頭を飛ぶ鳥」は、ローティーションして交替するのです。助け合いです。人間社会では、「助け合い」という言葉はあるが、その真相は、「助け専門」または「助けられオンリー」と、一方的な営みになっている。助け合い、つまり「互助(助けたり助けられたり)」になっていないケースが多すぎ。ハクチョウの助け合い!うれしくなってしまいます。

 ハクチョウの助け合いも素晴らしいのですが、皇帝ペンギンも驚嘆に値する助け合いを見せてくれます。
 皇帝ペンギンの雄は、「-40℃の冬の南極で、卵を温めて、4か月間何
も食べずに」頑張ります。数百(数千?)の群れになって身体を寄せ合っ
て寒さをしのぐのですが、低温の上に強風なので群れの外側のペンギンは冷
えきってしまいます。そのため、群れ全体でローテーションして、外側で冷
えたペンギンを、内側へ入れて暖まることができるようにしています。感動してしまいます。ローテーションの最中に、1羽でも妙な動きをすると、群れ全体が命の危機にさらされます。一羽はみんなのために、みんなは、一羽のために!一糸乱れぬ整然とした行進(動き)をしています。

 一茶の句「今日からは日本の雁ぞ楽に寝よ」を、パクらせていただいて、ハクチョウ歓迎の句…
 「今日からは日本のハクチョウ楽に寝よ」