アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

マルチの女

2008年11月25日 | Weblog
 連鎖販売取引からお誘いが   

 その昔、「戸締まり用心、火の用心。地球は一家、人類は兄弟」という高見山が出てくるテレビのCMがありました。「地球は一家で人類は兄弟なら、戸締まり用心はいらないだろう!」と、テレビにツッコミを入れたものでした。

 玄関に鍵をかけるなんて、世間の皆様を疑るようで、凄く嫌なものです。ところが、世の中の趨勢から、留守にするときや、夜には、玄関に施錠するようになってしまいました。世間の皆様ゴメンナサイ。皆様がコソ泥だと言うことではないのです。「変な奴」が増えてきているのです。最近は、昼間でも玄関施錠。そして、数日前からは、玄関ドアの向こう側の人物が誰なのかを確認してから、ドアをあける…元厚生次官らの殺傷事件があったので…。

 ドアを開けずに相手を確認することの良い点は、ここのところ多い、宗教の勧誘を断るのに役立つというところでしょうか。名の通った宗教から、「霊××院」「××真理×」という初耳の宗教まで。良く来てくれるもので…。

 出身小学校の閉校式に誘われて行ってきました。元同級生が6人来ていました。翌日そのうちの一人から電話がかかってきた。
 「話したいことがあるので行きますから」
 …健康食品の販売か、宗教の勧誘だろうと、ピンと来た…
 「いいから、いいから、2時間もかけて来なくても…」
 一生懸命断ったのだが…押し切られて、来ていただけることとなった…。
 どう断ろうかなあ…「健康食品の摂りすぎで不健康になった人がいるので、私は買わないよ!」「ハレハレユカイ教の教徒なので、あなたの宗教には入らないから」…これで素直に引き下がるかなあ。

 市役所のロビーで落ち合った。元同級生と、もう一人東京から来たという女性が待っていた。
 健康食品の販売でも、宗教の勧誘でもなかった。それらより、格上(?)と思われる、連鎖販売取引へのお誘いであった。なんだそれって?早い話が、マルチ商法。無限連鎖講(いわゆるねずみ講)かもしれない。二人の女は、マルチの女ってわけ。マルサは宮本信子。マルハは(元)大洋漁業。

 幼なじみの元同級生が相手なので、邪険にも出来ない。かといって、期待をもたせてはならない。東京から来た38歳が、どうやら、マルチの偉い人らしい。皇室とのつながりとか、学者さんたちとのおつきあいとか、ユニクロで服を買うのは貧乏人だとか、果物は日本橋のデパートで買いますのよ…その他、別世界の方であることは良く分かった。

 マルチ商法と知っていれば、事前に調べてセリフも用意しておいたのだが…。
 私が、マルチと察知し、警戒しだしたことを、マルチの女たちが察知した。私は、全くとりつく島がない態度を取ったが、マルチの女は、なかなか長けていた。場数を踏んでいるもので言葉尻をつかまえては、「会員になれば幸せになれる」という方向へ話を持って行こうとする。
 「いいです。いいです。会員にはなりません」
 「不幸になりたいの?」
 「不幸になりたい人がどこにいますか。もう、十分生きてきたから、毎月5,000円の会費を払って幸福にならなくてもいいんです!」
 「死にたいの?」
 こんなやりとり、延々と。「うるせえ、この!」と、けつをまくって帰ってきたかったけど、逆恨みされてはたまらない。何をされるか分からない時代ですから。背後に、よくない組織があることも考えられる。なるべく穏便に済ませルのが得策。

 50分後、別の、「カモ」ではなくて、「お話を聞いていただく人」がいるのだそうで…私を解放してくれた。引き上げる際に、「2か月後、また来ます!」いやはやとんでもない連中に見込まれたものです。

 毎月の会費が、5,000円。会員には、「幸せになれる様々な特典」がある。会員になったら、2人の会員を勧誘しなければならない。このあたりは、無限連鎖講(いわゆるねずみ講)が入っている。
 会員は、幸せになれる特典のひとつである、「研修」を受けることが出来る。研修によって、位の高い会員になることができる…出世欲、金銭欲に巧妙につけ込んでいます。研修は、1回の受講料が、6,000円。年間20回受講しなければならない。12万円の出費…。
 大まかには以上ですが、研修、講習は細かな規定があり、全てにお金を出さなければならないようになっています。

 東京から来たマルチの女は…
 「月8万円の年金で一人暮らしているおばあちゃんが、喜んで会員になってくださったんですのよ」
 このセリフ、いかにも弱者の味方ということを強調している。勧誘の殺し文句として何度も使ったでしょう。しかし、稚拙な騙しのテクニックです。
 独居高齢者に、「幸せになりたくないの?」と、言葉巧みに誘ったら、「毎月5,000円なら何とかなる」と、入会するでしょう。そして、「研修会に出てくださいね。良いお話が聞けますよ。幸せになれますよ」と、6,000円出させる。月8万円の年金、うち、少なくても11,000円は、マルチ商法に持って行かれる。御本人が「幸せ」ならそれでいいのでしょうが、なけなしのお金をむしり取っている。その金で、日本橋のデパートで果物買うのかこら!
 結局、犠牲者は弱者というところが悲しいです。

 マルチ商法といい、各種宗教といい、どうして私に集(たか)ってくるんだ?カモリストに載っているのだろうか?カモリストって何だって?結構古くから存在するもので、特にアポイントメント商法、デート商法、内職商法、架空請求、振り込め詐欺、出会い系サイト、ワンクリック詐欺、原野商法・・・で騙された人の名簿のこと。「簡単に金を出すおいしいカモ」が語源。悪質業者間で高額で売買されているのだそう。カモリストの専門用語(?)に、「ベロベロ」や「サブ」がある。ベロベロは、いわば特上客。容易にだませる人のこと。サブとは、上客を意味する。カモリストに登録されてしまうと、二次勧誘のターゲットになり、しつこくつきまとわれることになるという・・・。

 玄関は戸締まりが出来るが、電話、FAX、電子メール、ダイレクトメール等は、戸締まり不能。一人暮らし、それに類する近所づきあいのない状況…これをなんとかできれば、悪徳商法の餌食になる人が減ると思いますが。