アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

アナログ文化は性善説

2008年11月23日 | Weblog
  アナログとデジタル 使い分けが大切

 「日本人、いいなあ!」と思える出来事がありました。
 還暦パパには、妻子がある。3人の子供達はそれぞれ親元を離れ、職に就いたり学生だったりと頑張ってくれている。よって、妻と二人暮らし。
 国民の義務…定年退職で勤労の義務については終わっているのでしょうが、額に汗して働いていないので、国民の皆様になんとも申し訳ない気持ちで毎日を過ごしている。妻は、働いている…よって、肩身が狭いので立派な「主夫」になるよう、言いつけられたことは素直に行うようにしている。

 妻が、乾さんから、「竹炭石けん」をいただいた。その石けん…「こんな石けん初めて!凄くいい!クレンジングクリームがいらない。顔のしみが薄くなってきた・・・」数週間使用した妻が、すっかりその「竹炭石けん」に惚れ込んだ。
 妻の性格は…「本日限り」と書いてあれば、必要でないものも急いで買い物かごへ入れる。「大特価」、「限定品」にすこぶる弱い。「目玉品」などと書いてあると、掴んで放さない。「よく効くよ」「おいしいよ」…明らかに購入モード!ステレオタイプの申し子か!性善説というテーマで絵を描いたら、間違いなく妻の顔になるでしょう。
 しかし、竹炭石けんについては、ステレオタイプではなかった。本人が言うような、「クレンジングクリームがいらない。顔のしみが薄くなる」等の情報なしで使っていた。つまり、本当に良いみたい。その石けんがアサリほどの大きさになってしまった。

 そこで、毎日休日の私に、「竹炭せっけん注文係」の白羽の矢が立った。
「いいよ!竹炭石けんの注文にかけては、日本では二番目に上手といわれた男だ!」と、引き受けた。一番上手いのはだれかって?誰でもいいのです。謙譲の美徳で、二番目と自称しているのです。注文の様子は次の通り。

 インターネットで注文しようとした。会社の住所、電話番号は分かったのですが、インターネットでの注文は受け付けていなかった。注文は、電話かFAXで。ということで…今時、デジタル化されていないなんて珍しい。
 電話した。市外局番0967…熊本県阿蘇郡小国町である。元気のよい、女性が出た。年齢はおそらく30~70歳ぐらい。どうしてそんなに幅があるかって?声では、年齢が解りませんので。この度の元厚生次官等刺殺事件の容疑者も、30~35歳ぐらいだったのですが、実際は46歳でした。別の不審者情報で、「容疑者は20歳代」だったのが、64歳だったという例もあります。まあ、目撃情報なんてそんなもんです。

 「ハイ、○○○工房です」
 「あ、あのう、竹炭石けんを注文したいのですが…」
 「あ、ありがと…ゴッホゴッホ…じ、住所は…ゴッホゴッホ、ゴ~ホゴッホ…スミマセ…ゴッホゴッホ…」
 一通り住所を伝えた・・・。

 「ゴッホゴッホ、ゴホゴッホ…も、もう一回はじめから…ゴッホゴッホ…お願いします」
 大丈夫かよ!客に何度も住所を言わせるなよ。と、思ったけどあまりにも素朴で真摯な応対なので高飛車に出るわけにはいかなかった。788円の竹炭石けんを注文するのに、騒ぎ立てる必要もないし。で、やりとりは、10分ほども続いた。もう笑うしかなかった。なんとか住所を伝えた。すると、復唱してくれるという。お!ようやく商売人らしくなってきたな!復唱してもらったが…何カ所か間違えていた…。あ~大丈夫かよ~。インターネットで注文できるようにしてくれー!

 妻に、注文の様子を話した。妻は、竹炭石けんの電話応対に出た女性について、「それは、NTTの回し者。咳をすることによって通話時間を稼ぎ、料金を高くするのだ」という見解を示した。「まさか?」と言ってはみたが、性善説女に、見解を曲げる気配はなかった。私は、NTTが阿蘇の竹炭屋と結託しているなんて聞いたこともなかった・・・
 
 注文から三日目。竹炭石けんが届いた。茶封筒に入って…茶封筒ってまだあったんだ!宛名はもちろん手書き。消印は、杖立温泉(つえたておんせん)郵便局、11月17日。
 封筒を開けた。ま、ま、参りました~!何と、手書きの手紙が添えられていました。その文面は…

 「御電話ありがとうございました。御電話いただいた時、セキばかりして何度も住所を繰り返していただき申し訳ありませんでした。そちらは、冬景色でしょうか?阿蘇の山中にある小国町は九州でも寒いところですが、今年は例年より遅くやっと山の紅葉が見ごろとなりました。(後略)」

 788円の竹炭石けん4個に、手書きで手紙をそえてくださった。こういうことに、暖かい心遣いを感じます。NTTと結託説を主張していた妻も、「石けんよし、価格よし、心よし!信用できます!」との感想。おそるおそる結託説を追及すると、「冗談に決まってるでしょ!」と、にべもない。そ~だよなあ。

 別に添えられていた、手書きの宣伝文をコピーしたものには…
 「この石けんは、全て手作りで、竹炭を挽き、粉にしてこね…頭髪から、顔、体と全身にお使いになれます…男性・女性を問わず、髪が増えた、白髪が減った、髪が太った…顔のシミがとれて化粧落としのクレンジングクリームがいらなくなった…アトピー、湿疹、ニキビ。日焼けヒリヒリ、かかとのガサガサ、水虫…」クレンジングクリームがいらないというのは、妻だけの感想ではなかったんだ。ちなみに妻は、「クレンジングクリームを買わなくなったので、支出が抑えられる」とも、言っております。

 これが、無機質に印刷してあるものなら、「ああそうかい」で終わるのですが、何しろ、「ゴッホゴッホ」+「手書きのお手紙」+「手書きをコピーした宣伝文」ですから、価値があります。金儲け本位ではないので、「本当に効く」と、思います。特に私は、「髪が増えた」に反応しました。気休めに、薬の量販店から買っている「医薬品の育毛剤」を使っていますが、何の効き目も感じない。日ごとに髪が軽量級になっていく。竹炭石けん!これは当たりかも知れません。育毛剤を買わなくなったら、支出が抑えられる。お金が貯まってしまいます。困っちゃったなあ、金庫にはもう隙間がない。

 それにしても…手紙は、アナログがいいか?デジタルがいいか?手書きは心が伝わり、ワープロ書きは伝わらない…と言う人もおりますが。心は、手紙を書く前に伝わっているのではないでしょうか。手紙は、相手と目的によって使い分ける必要があると思っています。伝えるのが主目的なら、汚い字の手書きより、きれいなワープロの方がいいです。ワープロ嫌いな人へは当然手書き。手書きの人への返信、これも手書きでしょうね。早い話、大同小異。

 竹炭屋さん…「手書きで顧客の心を掴む」そんなセコセコ作戦ではないですね。「ワープロ?そんなもの使わなくても手があるべ。手で書く労を厭(いと)うようなら商売なんかやめれ!」ってことです。そして、ありきたりの文面で嫌々ながら書いたのではなく、「あなた宛に書いていますよ」という心が伝わってくる。これも意図ではなく、普通に書いたらそうなった。

 「代金引換」でもないのです。竹炭石けんと一緒に、ゆうちょ銀行から代金を振り込む用紙が入っていました。顧客を信用しているのです。品物をもらって、代金を払わない人なんていないでしょうという考え…ありゃ?性善説!
 電話、茶封筒、手書きの手紙、振り込み用紙、性善説・・・みな、アナログ。性善説がアナログであることが、ここで解りました。竹炭石けんもアナログだ。
 アナログがごく普通に生きている日本!まだまだ大丈夫!私の髪も…