アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

教員による選手輸送の悲劇を根絶させる方策

2011年06月08日 | Weblog
 2005年2月。釧路の北陽高校スケート部員を乗せたワゴン車がスリップして対向車線にはみ出し、大型トレーラーと衝突した。ワゴン車に乗っていた生徒一人が死亡した。他に軽症の生徒1名。運転していたのは、スケート部顧問だった。学校は教諭が生徒を乗せて車を運転することを認めていなかった。

2009年7月。大分の私立柳ケ浦高校の野球部員を乗せたバスが横転し、生徒の一人が亡くなった。重軽傷者は、37人。これも運転していたのは、同校教諭だった。

 部活動の生徒を教職員の車に乗せて事故に遭った例は多い。たまたま大きな事故ではないということでマスメディアに扱われないだけ。薄氷を踏んでいるのです。
 この、「部活動生徒を教職員が自家用車で輸送する…」これは、各都道府県の条例で規制されています。関係条例を一部抜粋してみると…

 第4条 自家用車等を引率業務に使用しようとする教職員は、あらかじめ当該自家用車等について学校長に届け出なければならない。
 第6条 学校長は、前条に規定する申出を受けたときは、次の各号のいずれかに該当する場合であって、公用車を使用することができないと認めるときは、これを承認することができる。
 (2) 引率業務の目的地に至るまでの交通機関が利用困難な場合又は不便である場合

 そして、この度の酒田工業高校山岳部の事故。生徒を乗せたワゴン車が、崖下へ約140メートルにわたって転がり落ちた。引率教諭は「10回転くらいした」と。生徒5人が足を骨折するなど重傷、他の生徒は軽傷だった(…死者が出なくて本当に良かった)

 林道を転げ落ちる前にすでにまずいことをしていました…
 1 8人乗りのワゴン車に12人乗っていた。
 2 通行禁止で封鎖されている林道の鉄柵を壊して通った。
 このようなことをしたのは、単に法律を甘く見たわけではなかった。この行為に及ぶまでの過程については、全く理解できないというものではない。しかし、生徒を乗せて法律違反は…ない!(生徒を乗せていなければ法律違反OKということではありませんので…)。情状酌量の余地はありません。

 では、自家用車を引率業務に使用したことについてはどうか?酒田工業高校では、「公共交通機関のない場所に行く山岳部に限り、保護者会の了解のうえ校長の専決事項として認めてきた。保護者に送迎や経済的負担をかけないようにと考えた」(校長の談話)

 酒田工業高校の場合は、山岳部は公共交通機関がないから教員の自家用車での生徒輸送を認めてきた。酒田市のような都市部ではないところ、つまり公共交通機関がないところにも高校がある。中学校も小学校も。部活動は大いにやらせたい。と、なれば教員が自家用車で児童生徒を輸送することになる。と、いうか実際そうしている現状がある。事故が起こったらどうする?!一生懸命に指導する教員の人生を変えてしまう。

 いい方法があるのかって?あります!以前にも主張しましたが、「学校と、部活動を完全に切り離す(早い話が、アメリカと同じにする)」。こうすれば、教員が自家用車で児童生徒を送迎することはなくなります。
 切り離した運動部の指導者が、教員の場合だってあるだろうって?ありません。学校の活動ではないのですから、その学校の教員が指導したとしても、「一個人」が指導していることになります。自家用車で引率しても、「教員」ではなく、「一人のオジサン(オバサン)」です。

 高校野球の甲子園大会はなくなるのかって?続けられます。但し、高校名ではなくクラブ名となります。東海大相模高校は、「東海大相模高校クラブ」。九州国際大学附属高校は、「九州国際大学附属高校クラブ」です。
 アルプスの応援は、高校単位で応援しても何の問題もありません。

 学校から部活動を切り離すと、選手輸送中の交通事故はなくなるのか?そういう質問は、もちろんありませんよね。