ふむ道,小道,数多く

趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

HoME8 2-I The Taming of Smeagol (5)

2006-06-06 21:46:55 | Tolkien・HoME
<本文>
次の瞬間,彼(サム)は悲鳴を上げてずるずる滑り落ち,少し下の出っ張りで止まりました。「ふう,また1段降りましただ,次は?」
フロドは下を覗き「わかんないなあ,暗くなってきた。しかし右へ行ければもう少しスペースがある。。」
サム,少し移動。しかしすぐ止まり息を切らしながら「無理ですだ! 目が回りますだ! 戻れねえでしょうか? もうつま先が痛くてたまりませんだ!」
フロドは身を乗り出し手を伸ばしますが,手が届きません。
「どうすればいいんでしょう? ハエ取り紙に捕まったハエみてえだ。ハエは落ちねえけど,おらは落ちるだ。」空は暗くなり,遠くで雷鳴が轟きます。
「待って,サム! 私がベルトを取るまでそこで待ってろ!」
</本文>

トールキンさんはここで,最初の下書きにあった余計なイベントを削除。サムはロープの事を思い出し,しかも,その日の朝,フロドがたまたま間違えてサムのリュックを背負い,そのままだったという事にします。

‥なんですが,ここまで書いておいて,トールキンさんはこの案をボツにします。(汗)あまりに複雑という事のようで。

(なんかどうしても現実の山の経験?をちょっと描きたかったようですね? でも結局抑えたのですね。(笑))

という事で,結局その日の朝まで逆戻り。彼らは崖を降り,その後の嵐の雲は,遠くのローハンの兵士達の目には,東の空に沸く暗雲として写ります。

さてここから,いよいよ,フロドとGoluumのご対面シーンの下書きがある,はずなのですが,‥あれれ?フロドがゴラムを捕まえる瞬間の下書きはスルーされてしまいました。(汗)(1発で決まったのかな?)

‥この後,フロドが何故ゴラムを殺さないかを説明するシーンについての説明が続いています。これはシャイアでの,ガンダルフの例のセリフを思い出すというものですが,どうやらトールキンさんは,このシーンを書いた時に,あの時のガンダルフのセリフをよく見直したようです。(なるほど,そういう順で書き進めたのですね)

ちなみに初期の下書きはこうなっています。

<本文>
「いや,我々は何をするにしても,すぐにゴラムを殺さなくてはならない。でも,それはできないんだ。ルールに反する。彼は我々には何もしてないのだから。」
「でも,きっとそのつもりでごぜえますよ」
「あえて言えば,だな。しかし,それとこれは別だ。」すると彼(フロド)は以前に聞いた事に答えるように,「たとえゴラムでも,最期までには何か成すべき事があると思うのじゃ」 「‥そうです,確かに。しかし,いずれにせよ,私はあの者に触る事はできないのです。治ればいいのに。彼はとても哀れなやつなんです。」
サムは,そこにいない誰かに話しかけるようにしているフロドをじっと見ていました。
</本文>

最後に,フロドがゴラムに,「いとしいしと」に誓わせたシーンでの超~びっくりエピソードです。何と,最初フロドは,ゴラムにこんな事を言っていたそうな。

<本文>
フロドはちょっと下がって「いとしいしと?。。。ああ! いとしいしとか! 。。。」あまりの直接的な言い方にサムはびっくりです。しかしゴラムはさらに驚きました。「"One Ring to rule them all and in the darkness bind them all." 君はこれに対して約束すると表明するのかい? ゴラム。」
</本文>

しかもこの文章,随分長い間,訂正されなかったそうで。。

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