最近珍しくとても長い章です。8巻は注まで入れてだいたい平均10ページ程度なのですが,この章は本文だけで20ページあります。
さて,何がクリストファーさんを驚かせたって,5月4日「C.S.ルイスに読み聞かせた。今新しい章で忙しい」(65番)。5月6日「突然新しいキャラクタが沸いて出てきた(^^;)」(66番),5月11日「新しい章をC.S.ルイスに読み聞かせた」(67番)。このすごい展開です。(笑) これって,つまり,正式版で「The Window of the West」という章を,なんと,5月4日~11日までの,1週間以内に書き上げた事になります。
この辺りの話がどのように作られたのか,クリストファーさんはまとめるのが大変,と言っていますが,まずは,「Of Herbs and Stewed Rabbit」の最後の方から参ります。この時まだ大将の名はFalbornで,ボロミアの近親者ですが兄弟ではありません。
<本文>
彼(サム)はフロドを振り返り囁きます。「立ったまま寝てしまう所でしただ,フロド様。しかしこの人達は友達のようです。ボロミアの国から来た人達ですだ。我々を信用してねえようですが。しかし,ここは休んでいるのが1番いいですだ。」
「寝ていてもよいぞ。」とマブルング。「我々の主人Falborn様がお帰りになるまで,そなたとそなたの主人をお守りしよう。もし無事であったらであるが。しかしご主人様が帰られたら,すぐ移動するぞ。この騒ぎが周囲に知られない事はない。夜までにたくさんの追っ手が来るであろう。川まで急いで行かねばならぬ。」
(先生~,レンジャーさんの言葉難しいんですけど~。。(笑))
サムは数分寝ただけと思ったのですが,目を覚ました時,Falbornが帰ってきていて,数人の男達と一緒にフロドを取り囲んで話をしていました。サムはやがて,リーダーが,幾つかの点でフロドの説明に満足していない事に気付きます:彼は裂け谷から出発したメンバーの中でどういう役割を果たしていたのか,何故ボロミアから離れたのか,そして,どこへ行くのか。彼はイシルドゥアの禍に話を戻そうとするのですが,フロドは指輪については語りません。
「しかしその詩では『イシルドゥアの禍を手に』と言っておるぞ。おまえがそのHalfhighならばそれが何であろうと持っているはずだ。持っておらぬのか? それともお前の一存で隠しているのか?」
「ボロミアがここにいれば,あなたの質問に答えられるでしょう。ボロミアは随分前にラウロスにおりましたから,急いでミナス・ティリスに行けば答えがわかるはずです。私の役割については,ボロミアと旅の仲間,エルロンドが知ってます。私はその役割故にこの国に来ました。そして,冥王を敵とする者はそれを止めるのは賢明(?)ではありません。」
「わかった,思ったよりたくさんの事がありそうだ。しかし,私もイシリアンで見つかった者は,殺すか,理由によっては連行するようにと命じられている。そなたを殺す理由はない。」
</本文>
確か正式版では,イシリアンで見つかった者は『殺す』しか選択肢はありませんでしたよね。(汗) フロドのセリフを細かく観察した事ありませんでしたが,カッコいい事言ってるじゃん~。(こらっ,何を今頃‥‥) こうして見ると大将はやっぱり厳しいですねぇ。
このドラフトは大変読みにくかったそうですが(笑),まあでも,最初からいきなり正式版に近いですね。ここで突然,トールキンさんの一言メモ。
ボロミアの死は知られている
別の所に次のようなメモもあったそうですが,最初意味が全然わかりませんでした。
<メモ>
ボロミアの死は知られている? 流れるボートと光,そして声。彼の漂流について?
これは2月6日。ガンダルフが到着するのは2月5日の夕暮れ。レンジャー達はそのずっと前に出発していなくてはならない。エドラスからの遣いは厳しい。(250マイルある)
1月31日の朝から2月3日まで3日半。レンジャー達は2月3日の夜に出発。
違う。
</メモ>
(ちなみに,日付は正式版の物とは違います。)
クリストファーさんによると,どうやら,お父さんは,最初,ボロミアの死を知らせるのを,ガンダルフ,あるいは,ローハン側から誰か遣いをよこす事にしようとして,エドラスから1日70マイル移動できるかとか,いろいろ計算していたようです。しかし(もちろん)その考えはボツとなりました。
へぇ~,先にボロミアのボートありき,ではなかったのですね。
さて,何がクリストファーさんを驚かせたって,5月4日「C.S.ルイスに読み聞かせた。今新しい章で忙しい」(65番)。5月6日「突然新しいキャラクタが沸いて出てきた(^^;)」(66番),5月11日「新しい章をC.S.ルイスに読み聞かせた」(67番)。このすごい展開です。(笑) これって,つまり,正式版で「The Window of the West」という章を,なんと,5月4日~11日までの,1週間以内に書き上げた事になります。
この辺りの話がどのように作られたのか,クリストファーさんはまとめるのが大変,と言っていますが,まずは,「Of Herbs and Stewed Rabbit」の最後の方から参ります。この時まだ大将の名はFalbornで,ボロミアの近親者ですが兄弟ではありません。
<本文>
彼(サム)はフロドを振り返り囁きます。「立ったまま寝てしまう所でしただ,フロド様。しかしこの人達は友達のようです。ボロミアの国から来た人達ですだ。我々を信用してねえようですが。しかし,ここは休んでいるのが1番いいですだ。」
「寝ていてもよいぞ。」とマブルング。「我々の主人Falborn様がお帰りになるまで,そなたとそなたの主人をお守りしよう。もし無事であったらであるが。しかしご主人様が帰られたら,すぐ移動するぞ。この騒ぎが周囲に知られない事はない。夜までにたくさんの追っ手が来るであろう。川まで急いで行かねばならぬ。」
(先生~,レンジャーさんの言葉難しいんですけど~。。(笑))
サムは数分寝ただけと思ったのですが,目を覚ました時,Falbornが帰ってきていて,数人の男達と一緒にフロドを取り囲んで話をしていました。サムはやがて,リーダーが,幾つかの点でフロドの説明に満足していない事に気付きます:彼は裂け谷から出発したメンバーの中でどういう役割を果たしていたのか,何故ボロミアから離れたのか,そして,どこへ行くのか。彼はイシルドゥアの禍に話を戻そうとするのですが,フロドは指輪については語りません。
「しかしその詩では『イシルドゥアの禍を手に』と言っておるぞ。おまえがそのHalfhighならばそれが何であろうと持っているはずだ。持っておらぬのか? それともお前の一存で隠しているのか?」
「ボロミアがここにいれば,あなたの質問に答えられるでしょう。ボロミアは随分前にラウロスにおりましたから,急いでミナス・ティリスに行けば答えがわかるはずです。私の役割については,ボロミアと旅の仲間,エルロンドが知ってます。私はその役割故にこの国に来ました。そして,冥王を敵とする者はそれを止めるのは賢明(?)ではありません。」
「わかった,思ったよりたくさんの事がありそうだ。しかし,私もイシリアンで見つかった者は,殺すか,理由によっては連行するようにと命じられている。そなたを殺す理由はない。」
</本文>
確か正式版では,イシリアンで見つかった者は『殺す』しか選択肢はありませんでしたよね。(汗) フロドのセリフを細かく観察した事ありませんでしたが,カッコいい事言ってるじゃん~。(こらっ,何を今頃‥‥) こうして見ると大将はやっぱり厳しいですねぇ。
このドラフトは大変読みにくかったそうですが(笑),まあでも,最初からいきなり正式版に近いですね。ここで突然,トールキンさんの一言メモ。
別の所に次のようなメモもあったそうですが,最初意味が全然わかりませんでした。
<メモ>
ボロミアの死は知られている? 流れるボートと光,そして声。彼の漂流について?
これは2月6日。ガンダルフが到着するのは2月5日の夕暮れ。レンジャー達はそのずっと前に出発していなくてはならない。エドラスからの遣いは厳しい。(250マイルある)
1月31日の朝から2月3日まで3日半。レンジャー達は2月3日の夜に出発。
違う。
</メモ>
(ちなみに,日付は正式版の物とは違います。)
クリストファーさんによると,どうやら,お父さんは,最初,ボロミアの死を知らせるのを,ガンダルフ,あるいは,ローハン側から誰か遣いをよこす事にしようとして,エドラスから1日70マイル移動できるかとか,いろいろ計算していたようです。しかし(もちろん)その考えはボツとなりました。
へぇ~,先にボロミアのボートありき,ではなかったのですね。