ふむ道,小道,数多く

趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

The Story Foreseen from the Marshes? (笑)

2006-06-08 22:36:07 | Tolkien・HoME
ここ最近,にわかに気付いた事ですが,え,皆さんとっくにお気付きで?(^^;) トールキン息子は,HoMEの中で,順番はこうだろうとか,ここはこの単語が入るだろうという類の推測はたまにしていますが,トールキン父の心理に立ち入って「推測」する事は,決してありません。(せいぜい下書き用の紙をたくさんもらって嬉しそうだとか言う位で(笑)) 推論や私見は述べず,淡々と下書きを並べているだけなんですね。

彼にもひいきのキャラクタはあるだろうし,言いたい感想は一杯あるはずだと思うのですが,それを全く表に出しません。

よく考えてみると,このように,冷静に,公平に,ただただトールキン父の軌跡を辿らせてくれるだけという書物は,本,HP,全てのメディアに於いても,他に例がないのではないでしょうか?

そういう意味では,HoMEは大変貴重な資料なんだなあと改めて思いました。

さて,まだ「The Passage of the Marshes」の章が始まったばかりですが,次の章は,「The Black Gate is Closed」になっております。トールキンさんは,最初そのまま3人をモルドールに通すつもりだったのに,本格的に下書きに着手した時には,一旦門を閉じてしまい,別のルートから3人をモルドールに入れてます。しかし,これって,最初にHoME7巻で予定していた地理的な配置等,大きく変ってしまう事になるんですよね。

何がトールキンさんをそうさせたのか‥‥,もちろん,HoMEには「推測」はありません。。。という事で,私の邪推(笑)ですが,HoME7巻で「フロド,サム,ゴラムの3人が直接モルドールに入る編」を書いていた時代,ボロミアは,フロドから指輪を奪おうとした後,アラゴルン達に嘘をついて,うやむやのまま一緒にミナス・ティリスへ行ってしまうんですね。しかし,天才トールキンは,ある日突然,ボロミアを都へ返さず,殺してしまう事を決意するんですね。。。

‥これだ!

ボロミアの役割の変化は,その後のアラゴルンの行動,メリーとピピンの話と,ミナス・ティリスでの展開を全く変えてしまったわけですが,フロド達の行程にも大きな影響を与えたんですね。‥そしてもちろん,ゴンドールでボロミアの帰りを待ち侘びていたキャラの登場へつながるわけです!(どうも私見アリアリの私(爆))

こうして見ると,ボロミアの役割の変化が物語全体に与えた影響は,計り知れない程大きいんだなあ,とまた改めて思いました。が,こんな大きな変更にもかかわらず,やっぱり,HoMEには,お父さんがどういう心境の変化でボロミアの役割を変更したのかとか,クリストファーさんは一切推測はしておりませんので,一体何だったのだろうと読者が考えるしかありません。。そうそう,これがHoMEのスゴイ所なんですよ。

今日はおかげで読書が全然進みませんでした!(笑)

HoME8 2-II The Passage of the Marshes (1)

2006-06-08 07:48:39 | Tolkien・HoME
1944年4月,トールキンさんがクリストファーさんに送った手紙によると,彼はこの辺りの下書きを,C.S.ルイスとC.ウィリアムズに読み聞かせていたそうです。驚いた事に,ちゃんと彼らの承認をもらってから次に進んでいたようです。つまりC.S.ルイスは,1944年当時は,まだちゃんとトールキンさんと付き合っていたという事ですね。その辺については,手紙の60番~62番にあるそうですので,興味のある方はチェックしてみましょう。

ところで,最初この章はKirith Ungol(正式版:Cirith Ungol)と名づけられていたそう。最初はモルドールのメインの入口がキリス・ウンゴルだったという事。。しかし,この章の基本的なアイディアは,かなり前(HoME7巻,The Story Foreseen from Lorien)から出来上がっていたそうです。

<Outline>
ゴラムは許しを請う。そして助ける事,フロドの承認しない所へは行かない事を約束する。彼は死者の沼地からキリス・ウンゴルまで案内すると言う。(でも実は彼が彼らをそこに連れて行きたいんだとひそかにフフンとほくそえむ)

彼らは2人ずつ寝る。1人は必ず起きてゴラムの見張り。
ゴラムはずっとフロドを裏切る事を考えている。死者の沼地には緑の死人の顔。フロドは自分を探す「目」を感じる。
ある夜サムは寝たフリをしながら,ゴラムがフロドを呪い,指輪を欲しがる独り言を聞く。
3人はキリス・ウンゴルへ。ゴルゴロスへ抜ける恐ろしい谷。その意味は蜘蛛の谷。。。。
</Outline>

ほぼ完璧。1点,大将がいない事を除いては。

次は,トールキンさんがお話のヒントを書いたメモです。話順に書かれたものでもなく,同時に書かれた物でもないそうですが,いろいろヒントがあるそうです。

<メモ>
食物の問題。ゴラムはレンバスを喉に詰まらせる。どこかへ言って指をベタベタにして帰ってくる。ある時彼(フロド?サム?)は彼(ゴラム)が暗がりで何かをバリバリ(カリカリかな?)食ってる音を聞く(笑)

次の章


ゴラムは2人を溝の道へ連れていく。東へ向かう。沼地の真ん中。プールを覗くと自分の顔が緑の腐った死人のように映る。(湿原でよっぽど嫌な思い出があるんですねトールキンさん(笑))

ゴラム変貌。
モルドールに近づくにつれ,ゴラムの睡眠障害。サムは,良いスメアゴルと悪いゴラムが喧嘩しているのを見る。
門の近くの岩場から出入りを見る。
指輪が次第に重くなりフロドを蝕む。フロドは目を感じる。


また別の下書き。
<メモ>
彼らは沼地に降りてくる。通過に3日か4日。水の中の顔は恐ろしいものと,美しいもの。でも皆腐っている。ゴラムは昔ここで大きな戦いがあったと説明。モルドールから流れる川は化学物質に汚染されている為に緑に見えると説明する。

彼らは前衛の山から,モルドールにたくさんの人間やオークがが出入りしているのを見る。サウロンは密かに戦いの準備を進めている。色黒の人達,長い三つ編みの野人達,等々。

東にはミナス・モルグル(元ミナス・イシル)の白い塔。元々はゴンドールの人間が建てたものだが,サウロンの手に堕ちたもの。


‥‥それって,正式版のTeeth Towersの事でしょうかね? 当時は,随分いろいろな位置関係が違っていたのですね。しかもトールキンさんはこんなメモまで書いてます。
It is better for the later story that Minas Ithil (Morgul) should be actually at the Gates of Mordor on its East Side.
初期の,3人を死者の沼地から直接モルドールへ送る話,そこでの冒険談は,この記事の後半から追う事ができます。改めて正式版と比べてみるのも面白いですよ。

Run!Run!Run!