デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
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葬式終了。
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/
2011-01-09 02:23:29
年が明けて1週間も経たずして、祖母が他界した。通夜と告別式はもう済んだのだが、
以前書いたこと
について、実際の葬儀を営むに当り、自分の主張がどれほどの効力を、実質的に与えることができたのか、記しておきたく思った次第である。
結果を言えば、主張など通らなかったといっていい。もちろん私は、祖母が他界した日に(喪主を務める立場ではないものの)「もし家族だけで直葬するなら、自分はその方がいいし、直葬でOKならばそのやり方は把握できている」と病院が死亡診断書を作成している最中に提案した。
私の提案はしりぞけられて、最近よくある会場を借りてのシステマチックな葬儀をすることに喪主が決めた。まぁ、それは決められたらどうしようもないな、と想定の範囲内である。
家は一応、寺の檀家であるので、寺に電話して祖母のことを伝えたのだが、電話に出たのが住職ではなく、留守を守っていた実質的に寺を取り仕切っている「女将」であった。電話の向うから「通例の葬儀の流れについて、葬儀業者と話したのであっても、寺には寺の都合がある、勝手に決められたら困る」と新年早々語気を強めた上から目線の返事がかえってきた。
もう、その時点で私はカチンときた。ただ葬儀業者と私を除く家族は、坊さんの予定が合わないと葬儀をやるのは無理、という結論に早々に達した。私は「結局は坊さん次第かよ」といったようなことを口に出す始末だった。
故人を自宅に安置し終わり、白木位牌(葬儀のとき祭壇の上に安置する)も葬儀業者から届けられた。そして電話でなくて家族そろって直接寺へ、あいさつをかねた住職の予定を訊ねに行った。
行ったら行ったで「女将」は電話の語気とはまるで違うほどの急変ぶりだった。人を引きとめる話術を存分に発揮し、祖母のことやお年寄りやその家族の苦労のことなどをぺちゃくちゃとやりだし、あいさつ程度が知らぬ間に葬儀と関係の無い長い世間話となって延々と続く。
世間話が終わりそうにないので、私は強引に「お邪魔したのは故人を安置している棺桶のドライアイスが2日分しかない。なので、住職の都合をお聞きしたいのだ」と口を挟んだ。すると「女将」は予定を記しているファイルをさっさと持ち出してくるのである。
およその住職の予定が把握できたところで、戒名の話が出そうな間を見計らい、私は「この寺では故人を俗名のまま位牌に書いて欲しいと要望したらやってくれますか?」と訊ねた。「女将」は間髪いれずに返事する。
「戒名と言われますが、寺では法名と申します。寺では故人様の生前を偲んだものを付けさせていただきます」
この返事に私は唖然となった。丁寧口調ながら教え諭すように上から目線で、戒名をつけないという考え方がある前提すら看過して、寺が戒名をつけることを信者はありがたがるのが当然といったものの言い方に、私の頭はヒートアップした。
それから話が枕経(まくらきょう、通夜の前にあげるお経)のことになった。そして「女将」は、にこやかな慣れた目をしつつこう言い放った。
「寺におこしいただくなら、この際白木位牌もお持ちいただいたらよかったのに」
私は即反応し口に出してしまった。
「いくらなんでもそれは罪というもんでしょう!?」
喪主がそれ以上余計なこと言うなと私に釘を刺した。私は頭の中で、電話で語気を強めて「寺の都合が第一」のような返事したのはどっちだ? 電話では無礼かもしれなかったから、直接足を運んで今後のためのせめてもの挨拶だけでもという心境で来、それを最初に言葉でも伝えたではないか。なにより「寺の都合によって発生している予定は未定状態」ではないか。なのに葬儀の順序に対して無知な我々のような者に対する返事がそれなのか?と不審が募っていった。
それから間もなくして、住職が帰ってきた。ひと通りあいさつがすみ、住職ご本人と話すと、「寺の都合もあるから勝手に決められたら困る」と「女将」が言い放ったあの峻厳さはどこへやら。住職ご自身のプライオリティーからすれば、我が家の要望と葬儀業者が調整した日に、最大限合わすのは当然で、枕経もこれからすぐあげにお宅へ伺いますと、話が一瞬で決まってしまった。住職の予定からすれば他の用件で忙しい日にあたっていたが、告別式が終わるまで、最大限、式が滞りなく進むようにしてくれた。私はこれこそ本当に有難い事だと思った。
しかしどっちにしろ戒名の問題がはねつけられたので、私の関心はあらかじめ見積もられたシステマチックに進む葬儀にかかる費用をいかに抑えるかに移った。安い祭壇にすること葬儀出席者に配るお礼を安いものにすること、もし仕上げ膳が必要ないのなら、葬儀業者が何を言おうが、仕上げ膳自体要りませんと抵抗すること…それぐらいだった。
通夜と告別式がタイムスケジュールに沿って進行し、そのなかで行われる演出や住職の説教の内容に対しては、前に書いた記事のごとく、どれも納得できるものではなかった。私が葬儀に対し主張できた度合いは、火葬場でお骨を拾うまでの待ち時間、出席者相手に私がこれまで調べてきたことを愚痴の形で延々と語らせてもらったという程度である。
ベストセラーにある葬儀費用の平均からすれば、少しは安くできたろう。だが適当に人様に愚痴を聞いてもらっても私の感情は納まらないようである。
待つこと、聞くこと、応対することさえしっかりこなせれば葬儀はなんなく終わる。
最後にやってきたのは葬儀後の説明として、葬儀業者の担当者による弁術巧みに冠婚葬祭の費用を積み立てる「互助会」の契約の延長と新規加入の案内をセールスだった。担当者はしっかりと聞き手に気持ちよく通るような、だがどこか少し甘えたネコなで声になり、体の姿勢を崩してまで訴える。
「私の仕事は葬儀ではなく本当はこっちなんですよぉ。これができないと給料が出ないんです」
さすがである。3日間、我々にほぼつきっきりで世話してきたのは、まさにこのためなのだ。今後も葬儀業者へ定期的にお金を払ってもらう契約を取るための下準備とその積み上げの最後の仕上げだ。だが私は、葬儀業者には世話になったし担当者も悪人とは思わないものの、今回世話になったのはあくまで葬儀全体にお金を払うからで、葬儀そのもののプロデュースと、今後業者に金を払い続けることは無関係であることを忘れなかった。そして言った。
「その話は今ここでないと駄目なのか?」
私の問いかけを巧くかわして、担当者は親から約款の頭金をせしめた。そして言った「今後もよろしくお願いいたします」。
この下手な文がどう映るかわからないが、今回の経験から、私が日本で亡くなるのなら即火葬場に直行し、自治体に処分(埋葬?)してもらいたいと改めて思った。
祖母のことを考えろ、喪主の気持ちを第一にしろ、という意見もあるだろう。その通りだ。だがその気持ちを大事にする方法は、このシステマチックな、それも多くの場合平日に強引に進めるこの方法でなくちゃいかんのか?と疑問を呈する。故人が骨になってから、故人を知る人が無理なく集まれる日を検討し「偲ぶ会」の案内を出してもいいではないか。改めてそう思う。
長々となったが、この長文を読んでくださった方に感謝します。
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