デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



11月上旬、大阪の国立国際美術館へ「クレオパトラとエジプトの王妃展」を鑑賞しに行ってきた。
見どころはたくさんあったが、個人的に一番印象に残ったのはユリウス・カエサルの胸像であった。
というのは、古代ローマ帝国を目的に行ったルーヴル美術館やカピトリーニ博物館、そしてメトロポリタン博物館でも、紀元前のカエサル像に出会えたことがほぼ無かったからである。大量に作られたアウグストゥスやハドリアヌス、アンティノの像はそれを目当てにしていけば出会える可能性が高いが、個人的にはローマでならまだしも、カエサル像にお目にかかれる可能性はぶっちゃけ低いし、クレオパトラ7世の肖像となるとさらに低くなるように思っているのである。実際、ヴァチカンのキアラモンティでも見つけるのが難しいと思うし、またヴァチカンとなると他にも見たいものがたくさんありすぎて、ついついローマ時代の彫像のことを忘れがちになることもあるのではないか。それに紀元前に制作されたものは公開されることが多くない気がするのである。
しかし、「クレオパトラとエジプトの王妃展」ではキアラモンティ所蔵の紀元前制作のカエサル像をじっくり見れて、プトレマイオス朝時代のクレオパトラ像も3つも見ることができ格別な想いであった。さらにアントニウスとオクタヴィアヌスの像も展示されていて、帝国を巡って争った物語を髣髴とさせた。
展示のテーマはエジプトの女王であって、主役はハトシェプスト、ティイ、ネフェルトイティ。とくに目を惹いたのはハトシェプスト治世のエジプトの繁栄の表す展示だった。また新王国・第18王朝時代アメンヘテプ2世治世の頃に作られた将軍サイシスの像には旧約聖書「創世記」でエジプトに売られたヨゼフはこんな風に偶像化されたのかもしれないと想像力をたくましくした。説明によれば将軍サイシスは上下エジプトの二つの穀倉の監督であったという。七年間もの豊作が続く間に周囲の目をひく作物を備蓄させるためのある種の崇拝の対象となるような奇妙な建造物を国中に建て続け糧秣大臣の威光が増していく、といったようなことを「創世記」を書いた人物が見聞きしていたとするならば、案外この展示に来ていた将軍サイシスのような人物の彫像も見たりして物語創作のヒントにしていたかもしれないと思うと、聖書も何ら根拠のない荒唐無稽話とは決めてかかれないなぁと改めて思った。

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