デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



シラー(シルレル)作『群盗』久保栄訳(岩波文庫)読了。

シラーはゲーテと同じくらいの時代のドイツ作家で、『群盗』は彼の処女作である。
『群盗』は戯曲なのだが、内容は悲劇であり、登場人物の若くみずみずしい感じはデュマ・フィスの『椿姫』の勢いのようなものが感じられた。また、『群盗』にはアウトサイダーならではの心情のなかに、若者の戯言として済ますことの出来ないものがあり、それは人がいくつになっても心を打つようなものであろう。それは思考を発展させれば、少なくとも私にとっては映画の『地獄の黙示録』に至らせるようなものがあるように思う。
ところで、『群盗』は青年期のドストエフスキーに影響を与えた作品でもある。劇中に、『地下室の手記』の独白者や『罪と罰』のラスコーリニコフとスヴィドリガイロフ、『白痴』のなかの死刑囚が刑場に赴く場面や『悪霊』のキリーロフとスタヴローギン、『カラマーゾフの兄弟』のドミートリーに重ねてしまいたくなるようなセリフを発するキャラもいるし、またそういうキャラは境遇からしていかにもという感じで分かりやすかった。
昔、ドストエフスキー作品に精通し、ドストエフスキーが影響を受けたバルザックやホフマンやシラーまできちんと読んでいる人の言っていたことが、今なら少しは分かるような気がする。

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