8月31日(金)~9月3日(月)、実家のある長野県に帰省しました。私の出身は長野県須坂市です。今回はここしか休みが取れずに自家用車で往復しました。高速道路を利用して、行くのにほぼ8時間かかります。帰省は年に1~2回ほどしていますが、自家用車で行ったときだけいろいろな方を訪問することにしています。電車で行くときはなかなかいろいろ訪問することは難しいです。
9月1日(土)には、須坂市・長野市の知人を何か所か訪問しました。写真は、須坂市を代表する観光施設である「豪商の家 田中本家博物館」です。住所は須坂市穀町476です。下記のサイトをご覧ください。
http://www.tanakahonke.org/
江戸時代中期、享保18年に田中家初代の新八が穀物・菜種油・タバコ・綿・酒造業などの商売をはじめ、代々須坂藩のご用達を務め、名字帯刀を許される大地主に成長、幕末には須坂藩を超える北信濃屈指の豪商となりました。
現在の館長さんの先代、田中太郎さんは、数十年前に須坂市の市長も務められました。その後に、屋敷を博物館にして公開を始め、長野県でも有名な観光スポットとなりました。豪商だけに、屋敷も庭も、書画骨董も一流のものばかりです。
9月10日(月)まで、所蔵の書画を展示する企画展を実施中です。3か月ほどまえに、小学校時代の恩師の青木廣安先生の仲介で、私にこれらの書画の解読依頼がきましたので、展示物の一部の解説をさせていただきました。すでに解説資料は2か月前にメールでお送りし、この日は、初めて展示内容を見に行きました。
館長の田中宏和さん、学芸課長の田中和仁さんと初めてお会いし、親しくお話しし、ご案内もいただきました。
私が今回解読した書作品は、藤原惺窩・藤田東湖・佐久間象山・伊藤博文などです。いずれも美しい書で、漢詩も味わい深いものでした。
近世の書作品は贋物も多いのですが、豪商は普段から良い作品を見る機会があって目利きですから、私が読ませていただいた作品は品格も高く、見ごたえがあるものです。時代の背景を考えながら鑑賞していただくと、面白いと思います。
なお、同時に展示されている画の方も珍品が多く、特に長崎にいた来舶清人の画2点はほかの博物館でもなかなか見ることができないと思います。下記の費漢源・張秋穀の画です。清国ではそれほど有名でなく生没年もはっきりしませんが、鎖国時代の日本の芸術家に与えた影響は大きいのです。
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享保5年(1720年)に伊孚九が来舶し、長崎に南宗画を伝えた。池大雅・桑山玉洲などの多くの画家が私淑した。続いて来日した費漢源(享保19年・1734年)・張秋穀(天明6年・1786年)・江稼圃(文化元年・1804年)と合わせて来舶四大家と呼ばれる。このほかにも宋紫岩・徐雨亭・陳逸舟など多くの清人が長崎に南宗画を伝えている。別系統で日本に伝わっていた南画と渾然一体となり全国に広まっていった。長崎の南宗画派からは幕末に鉄翁祖門・木下逸雲などの優れた文人画家を輩出した。
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お近くの方はぜひご覧ください。