ロマンスカーVSEは、白い車体に朱色のラインがついており、展望車があり鼻が長い形で、内装もきれいで、夢のあるデザインだった。
2005年3月にできたが、それから17年間使われ、先日、定期運行を終えた。
全部で2編成であり、600万kmくらい走ったそうだが、車両としてはEXEのほうが古くから使われているそうなので、意外に寿命が短かったとのことだ。
引退する理由は、小田急によれば、車両の経年劣化と主要機器の更新が困難になる見込みだからだそうである。
このこといついて、you tubeの動画から知ったことなどを参考に書いてみる。
まずは、小田急が言っているように、車両のメンテナンスの問題について
1 VSEはアルミ合金製でダブルスキン構造であり、EXEなどの鉄製車体とは異なるそうである。アルミは溶接などによる補修の難易度が高く、高度の技術や経験が必要だとのこと。
しかし、GSEや新幹線700形も同じなので、特に珍しいものではないそうである。
2 VSEは連接構造や車体傾斜制御等に特殊な構造を数多く採用している。それらは、小田急が開発した最新技術であるが、保守が難しく、汎用性が低いものとなっている。
しかし、作ったときからこのような特徴は承知の上で採用されていたはずであり、そのためか、この車両は2編成しかない。
1・2のことから、VSEの車両を維持していくには、手間がかかり、経済効率もよくないようである。
それでも、展望席があり、形も美しく、乗り心地もよく、リゾート特急として、それなりの価値があったはずである。
にもかかわらず、ここで廃止される理由としては、やはり新型コロナによる観光客利用の減少が大きいと考えられる。
特にここ2年は、インバウンド客がほとんどいなくなってしまった。
外国人観光客は、箱根に行く人が多く、しかも平日に利用する人も多かった。
日本人観光客の場合、休日や年末年始・ゴールデンウィーク等しか利用者が増えないが、外国人の場合は平日に観光で移動する。
しかし、新型コロナ禍になってからは、インバウンド客が居なくなり、しかも今後も復活する目途も立たない。
また、日本人観光客を考えても減少は続き、もしコロナが収束したにせよ、ライフスタイルが変化しており、電車による移動よりも自家用車を使う人が増えているとのことだ。
そのため、小田急では3月にダイヤ改正が行われロマンスカーの新宿・箱根間の運行も平日45便あったのが30便に、土日祝日51便あったのが39便に減ったのだそうだ。
VSEが無くなった分を展望車のあるGSEが代わって増えるわけでもない。
全体的に運行が縮小されるということである。
車両としては、GSEがVSEと似た機能を持ち、観光客にも向いているといえるが、ロマンスカー全体としては、ビジネス使用の特急としてEXEを活用していく方向性と言える。
EXEは、車両のデザインは、それほど目を惹くようなものではないが、指定席に座って快適に通勤できるし、もちろん観光の移動にも使えるため、EXEは汎用性があって利点が多いとのことだ。
以上のような理由で、VSEを無くすということになったのであろう。
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私の経験
以前、VSEに乗ったとき、新宿から小田原まで止まらない電車だったこともあったようだ。
そして、ロマンスカーは確かにコロナ前には、乗客の多くが外国人で、日本人よりも多いような印象だった。中国人や韓国人が特に多かった。
そのような人々が居なくなった今、この2年間は、車両が空いていることが本当に多い。
満席だったのは、唯一、今年のお正月休みの帰りだけだったと思う。
その他は、2つ並んだ隣の席に知らない人が座ることはなかったし、周辺の席も空いていることが多かった。
このような状況では、たくさんの便を運行しても無駄なエネルギーを使うだけで、収益が見合わないわけだ。
だから、VSEもなくなり、全体に減便されてしまうのも仕方がないのだろう。
駅も町田は必ず止まるが、その他にも途中所々停車して、乗り降り客に便利なものとなっている。
私は、以前は車内販売も楽しみで、コーヒーを飲んだりすることも多かったが、今は廃止され、駅のホームでセブンイレブンがコーヒーを売るようになってしまった。何もかもが合理的な形に移行している。
観光客については、いつかまた以前のような賑わいを取り戻すことがあるのだろうか?
利用者としては、座席が空いているのはゆったりしていて静かで嬉しいが、電鉄会社としては、これでは赤字になってしまうだろうし、やはり昔のような賑わいが戻ってほしいものである。
VSEが無くなったのは、やっぱりコロナの影響があるのだろうなと思う。
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VSEに乗ったときの過去記事