会社の会議室や応接室のテーブルを拭くのは私の仕事の一つだ。
以前は、水に湿らせたクロスでささっと拭いて終わっていた。
でも、昨年の秋くらいから自分の拭いた跡がテーブルの上に見えるのが気になってきた。
拭いた跡があるということは、拭いたということはわかるのだが、果たしてそれで良いのか?
いや、拭いた形跡が見えるというのは、むしろ見苦しいではないか?
そこで、拭き跡のない拭き方というのを検索してみた。
すると、水拭きではなく乾拭きをするということである。
また、板面の上でぐるぐる回したりしないで、一方向に拭くのだそうだ。
しかし、水拭きをしないと汚れが取れないこともあるので、まずは湿ったクロスで拭いたあと、乾いた布で水分を全部吸い取るとともに、拭き跡も消すようにした。
木のテーブルは木目に沿って拭く。
奥行きのない白いテーブルは、長さの短い方向に拭くようにした。
で、斜めから板面を透かして見ると、拭き跡や手の跡が見えるので、そこを重点的に乾拭きして跡が残らないようにしている。
拭いたという事実よりも、結果がどうなっているかが重要だ。
そんなことをしているうちにわかったのは、テーブルのどこに人が座っていたかがわかるようになった。
人の手というのは脂分があるのだろう。
だから、クロスで拭くとそこで摩擦が起きて抵抗があるのである。
目で見ても手形や指のあとが残って見えることがある。
冬だからハンドクリームなどを付けている人もいるかもしれないし、もともと自然に脂があるものなのかもしれない。
以前は、消しゴムのかすなどが残っていたり、ボールペンの線がついていたり、髪の毛が落ちていたりして、その席を使ったのだということがはっきりしたが、今では何もなくても拭いたときの摩擦で判明するのである。
その摩擦がなくなるまで乾拭きで仕上げる。
そういうことをするようになったら、結構時間がかかるようになってしまったが、拭き跡も残っていないテーブルにするのはいいことだと思う。