1978年
ドラフト外選手やテスト生出身選手の評判がなかなかいい今年のキャンプで、早くも監督から、「先発要員で使ってみたい」と、大変な惚れられようなのが大洋のテスト生ルーキー池田茂投手(22)だ。「フォームが素直だし、実に回転のいいタマを投げる。ちょうど小野(大毎ー大洋ー中日ー退団)が入ってきたときの感じに似ている」と、別当監督や土井ヘッドコーチがつきっきりで目を光らせている。この池田、昨秋のテストでは外野手で合格した変わり種。首脳陣の目に止まったのも100メートルを運動グツで走って、11秒7の俊足だったから、というエピソードの持ち主。といっても投手もちゃんと経験している。福島・郡山工時代は投手で、福島県予選でベスト8進出。卒業時には、「10球団から誘いを受け、その中に大洋も入っていた」(池田)というから、まんざら大洋と縁がなかったわけでもない。早大を受験して失敗。一浪して今度は法大に入ったが、1年上には江川、金光、植松らそうそうたる連中がいて、練習も満足にできない状態。そこでたまたま誘いのあったノンプロのデュプロへ中退して入社したが、ここでもセールスの仕事が性に合わず、わずか3ヶ月で退社。そうなると、ますます野球がやりたくなるもの。「どうせなら…」と、高校時代に知っていた湊谷スカウトを頼ってテストを受けたというわけだ。大洋は現在、一軍が草薙、二軍は焼津でキャンプを張っているが、この池田はもちろん、一軍組。一軍には9新人のうち、6人が抜テキされているが、その中でもこの池田が一番の掘り出し物と評判である。「新人はいろいろなところをやらせて適性を見極めるのが普通だが、池田の左腕からくり出す速球は天性のもの。なんとかマンツーマンで大きく育て上げたい」と首脳陣。一軍の左投手といえば、非力な宮本と大川ぐらいで、いずれもワンポイントピッチャーでしかない。「ずいぶん回り道をしたけど、やはりプロへ入ってよかった。これをきっかけに早く一人前のプロのピッチャーになりたい」という池田だが、うまく育てばリーグ最低の投手陣にもカツが入ろうというもの。数多いテスト生の刺激剤としても、台頭が注目される。
ドラフト外選手やテスト生出身選手の評判がなかなかいい今年のキャンプで、早くも監督から、「先発要員で使ってみたい」と、大変な惚れられようなのが大洋のテスト生ルーキー池田茂投手(22)だ。「フォームが素直だし、実に回転のいいタマを投げる。ちょうど小野(大毎ー大洋ー中日ー退団)が入ってきたときの感じに似ている」と、別当監督や土井ヘッドコーチがつきっきりで目を光らせている。この池田、昨秋のテストでは外野手で合格した変わり種。首脳陣の目に止まったのも100メートルを運動グツで走って、11秒7の俊足だったから、というエピソードの持ち主。といっても投手もちゃんと経験している。福島・郡山工時代は投手で、福島県予選でベスト8進出。卒業時には、「10球団から誘いを受け、その中に大洋も入っていた」(池田)というから、まんざら大洋と縁がなかったわけでもない。早大を受験して失敗。一浪して今度は法大に入ったが、1年上には江川、金光、植松らそうそうたる連中がいて、練習も満足にできない状態。そこでたまたま誘いのあったノンプロのデュプロへ中退して入社したが、ここでもセールスの仕事が性に合わず、わずか3ヶ月で退社。そうなると、ますます野球がやりたくなるもの。「どうせなら…」と、高校時代に知っていた湊谷スカウトを頼ってテストを受けたというわけだ。大洋は現在、一軍が草薙、二軍は焼津でキャンプを張っているが、この池田はもちろん、一軍組。一軍には9新人のうち、6人が抜テキされているが、その中でもこの池田が一番の掘り出し物と評判である。「新人はいろいろなところをやらせて適性を見極めるのが普通だが、池田の左腕からくり出す速球は天性のもの。なんとかマンツーマンで大きく育て上げたい」と首脳陣。一軍の左投手といえば、非力な宮本と大川ぐらいで、いずれもワンポイントピッチャーでしかない。「ずいぶん回り道をしたけど、やはりプロへ入ってよかった。これをきっかけに早く一人前のプロのピッチャーになりたい」という池田だが、うまく育てばリーグ最低の投手陣にもカツが入ろうというもの。数多いテスト生の刺激剤としても、台頭が注目される。