1955年
毎日で藪崎(藤枝東高)大工(桃山高)に伊藤(則)(津島高)が好投した。藪崎は左投手特有の内角低目の速球と大きなカーブのコントロールが よく、大工も重心の低いフォームから投げる重い速球が低目にきまり、伊藤(則)はやや荒れ気味ながら快速球をもつ。国鉄の深沢(甲府一高)はサイドからの速球、カーブ、それに最近マスターしたシュートと多彩な投球をみせた。巨人三浦(五戸高)はよく伸びる速球で前半四勝したが後半さっぱり、むしろ添島(熊本工)の低目の速球の方があざやかだがもう一息投球に変化がほしい。トンボの大庭(佐世保北)はマウンド度胸がよくシュート、カーブのコンビネーションもみごとだった。柴原(宇都宮高)もチェンジ・オブ・ベースに見どころがある。大映林(秀)(法大)はイースタン・リーグの投手としてあつかうのはおかしなくらいだが、カーブ、シュートに落ちる球がみごとで、調子のいいときは一軍戦でもめったに打たれない。体のないのは惜しいがよく投げた。大洋では川内(尾鷲高)がしばしば登板、シュートに進歩をみせたが、体がないためか球に伸びがなくなるのは惜しい。鈴木(滋)はこれといった特長はないが、両サイド低目に速球をコントロールし、ひざ元にくいこむカーブで巨人一軍を完封したこともある。東映の福島は球道の荒れがかえって幸いしたかっこうで得意のインシュートをきめ球に活躍し、後半は一軍戦に出場した。毎日の佃(早実)に巨人の森(岐阜商)山崎(辰野商)がいい。佃はすっかり昨年の不振を克服、3本塁打5二塁打を含む四割一分二厘の高打率はりっぱなもので、しかしインサイド・ワークでは森の方がいい。打撃は三割二分でベスト・テン五位だが一時は佃と並んで四割を打っていた。東映小野寺(宮城農高)の肩の強さは群をぬいている。一塁では毎日の大村(名古屋西高)巨人の井上(明大)に東映の高木(亨栄商)か。大村はスケールの大きなバッティングでベスト・テン二位。井上もつねに巨人の三・四番を打ちつづけた。一塁をのぞく内野では東映斎田(横浜日大高)が平均してよく打ち、とくに打点の22は群を抜いて光る。それに大映の丸山(熊谷商)喜吉(滝川高)八田(鳴門高)が後半腕をあげ、攻守に軽快なところをみせてきた。巨人工藤(北海高)の守備はいいがバッティングが振わない。いずれにせよ内野はスケールが小さかった。内野よりはるかに粒がそろった。なかでも毎日の橋本(函館西)水野(駒大)萱原(堺商)のトリオがよく働いた。シャープなバッティングでベスト・テン第三位の水野が右、一軍でも三番を打った萱原が中、3本塁打の橋本が左、そして毎日一の巨漢小田(天草農)に池田(榛原高)を控えにもとった外野陣が攻守とも毎日の優勝に大きく貢献した。一軍から落ちた国鉄初岡(専大)のシャープなバッティングはさすがに捨てがたい。大洋の友川(大宮高)は今シーズンの本塁打王が確定的。四月二十六日大映一回戦(川崎)に森口投手から第一号を奪ってからしばらく鳴りをひそめていたが、八月に入って当たりをとりもどし九日の対巨人戦に添島投手から第二号を奪い、つづく十日の対トンボ戦に大庭投手から連続二打席右翼本塁打を奪って一挙にホームラン・ダービーのチャンピオンになった。
毎日で藪崎(藤枝東高)大工(桃山高)に伊藤(則)(津島高)が好投した。藪崎は左投手特有の内角低目の速球と大きなカーブのコントロールが よく、大工も重心の低いフォームから投げる重い速球が低目にきまり、伊藤(則)はやや荒れ気味ながら快速球をもつ。国鉄の深沢(甲府一高)はサイドからの速球、カーブ、それに最近マスターしたシュートと多彩な投球をみせた。巨人三浦(五戸高)はよく伸びる速球で前半四勝したが後半さっぱり、むしろ添島(熊本工)の低目の速球の方があざやかだがもう一息投球に変化がほしい。トンボの大庭(佐世保北)はマウンド度胸がよくシュート、カーブのコンビネーションもみごとだった。柴原(宇都宮高)もチェンジ・オブ・ベースに見どころがある。大映林(秀)(法大)はイースタン・リーグの投手としてあつかうのはおかしなくらいだが、カーブ、シュートに落ちる球がみごとで、調子のいいときは一軍戦でもめったに打たれない。体のないのは惜しいがよく投げた。大洋では川内(尾鷲高)がしばしば登板、シュートに進歩をみせたが、体がないためか球に伸びがなくなるのは惜しい。鈴木(滋)はこれといった特長はないが、両サイド低目に速球をコントロールし、ひざ元にくいこむカーブで巨人一軍を完封したこともある。東映の福島は球道の荒れがかえって幸いしたかっこうで得意のインシュートをきめ球に活躍し、後半は一軍戦に出場した。毎日の佃(早実)に巨人の森(岐阜商)山崎(辰野商)がいい。佃はすっかり昨年の不振を克服、3本塁打5二塁打を含む四割一分二厘の高打率はりっぱなもので、しかしインサイド・ワークでは森の方がいい。打撃は三割二分でベスト・テン五位だが一時は佃と並んで四割を打っていた。東映小野寺(宮城農高)の肩の強さは群をぬいている。一塁では毎日の大村(名古屋西高)巨人の井上(明大)に東映の高木(亨栄商)か。大村はスケールの大きなバッティングでベスト・テン二位。井上もつねに巨人の三・四番を打ちつづけた。一塁をのぞく内野では東映斎田(横浜日大高)が平均してよく打ち、とくに打点の22は群を抜いて光る。それに大映の丸山(熊谷商)喜吉(滝川高)八田(鳴門高)が後半腕をあげ、攻守に軽快なところをみせてきた。巨人工藤(北海高)の守備はいいがバッティングが振わない。いずれにせよ内野はスケールが小さかった。内野よりはるかに粒がそろった。なかでも毎日の橋本(函館西)水野(駒大)萱原(堺商)のトリオがよく働いた。シャープなバッティングでベスト・テン第三位の水野が右、一軍でも三番を打った萱原が中、3本塁打の橋本が左、そして毎日一の巨漢小田(天草農)に池田(榛原高)を控えにもとった外野陣が攻守とも毎日の優勝に大きく貢献した。一軍から落ちた国鉄初岡(専大)のシャープなバッティングはさすがに捨てがたい。大洋の友川(大宮高)は今シーズンの本塁打王が確定的。四月二十六日大映一回戦(川崎)に森口投手から第一号を奪ってからしばらく鳴りをひそめていたが、八月に入って当たりをとりもどし九日の対巨人戦に添島投手から第二号を奪い、つづく十日の対トンボ戦に大庭投手から連続二打席右翼本塁打を奪って一挙にホームラン・ダービーのチャンピオンになった。