1986年
「原口の器は大きいよ。あとはその大きな器にふさわしい中身だね」というのは西二軍投手コーチ。なるほど、うまいことをいうものだ。原口の器の大きさは、その独特の球質にもうかがわれる。速球が、右打者の場合、内角はシュート回転、外角はスライドして、まことに打ちにくい。こういう球をシンでとらえるには相当の技術がいる。そう、第二の東尾なのだ。球質が素直では、揺さぶり型の投手にはなりにくい。その点、原口は大いに有望なのだ。この原口、肩、ヒジを高校時代に故障、プロでの将来性に疑問符をつけるスカウトが多かったが、西武は敢然と指名した。「私たちの仕事は、プロで活躍できる逸材を取ること。高校時代どうこうは関係ない」こう語るのは浦田チーフスカウト。故障があったって、治してから素質を開花させればいいじゃないか。スカウティングは長期的展望に立つべし、これが西武の基本方針なのだ。原口は、シーズンの3分の2は治療に専念。投げ始めてからまだ3ヶ月だ。「投げることがこんなに楽しいとは、思ってもみなかったですよ、ホント」と原口はうれしそうに語ってくれた。西武の試合を見に行くと、原口はいつもバットの片付け役。そんな辛い日々を送ったあとのピッチング解禁。そりゃ、うれしいはずだ。さて第二の東尾、球質以外ではどんな特長を持っているだろうか。まず、ヒジの使い方がうまい。つまり、ヒジの使い方がうまい。つまり、ヒジが柔らかいのだ。だから、腕がムチのようにしなり、打者の手元で伸びるボールが投げられる。ただ、このムチのようなシナリのフォームにビシッと決まるときはいいが、腕が棒のようになると、打ちごろの球になってしまう。「その点、まだまだ完全とはいえないんだな。それに、あんまり東尾、東尾っていわないでよ。東尾だって若いときは攻撃的なピッチャー。初めからかわすんじゃなく、攻めて打ち取る投球をしなくちゃ」というのも日野二軍監督。原口は今シーズン終盤に2試合だけ、投げた。「感触はいいです。やはり、打者がいて初めて野球なんですねえ」と原口。故障ー筋力トレーニング→投球練習を経て、やっとたどりついた実戦のマウンド。その気持ち、わかる、わかる。「速球、カーブ、シュート、スライダー、持ち球全部を投げましたよ」西コーチによれば、いくら怒鳴られても平気な平左の図太い神経の持ち主。大きな器に立派な中身を、早く盛ってほしいものだ。
「原口の器は大きいよ。あとはその大きな器にふさわしい中身だね」というのは西二軍投手コーチ。なるほど、うまいことをいうものだ。原口の器の大きさは、その独特の球質にもうかがわれる。速球が、右打者の場合、内角はシュート回転、外角はスライドして、まことに打ちにくい。こういう球をシンでとらえるには相当の技術がいる。そう、第二の東尾なのだ。球質が素直では、揺さぶり型の投手にはなりにくい。その点、原口は大いに有望なのだ。この原口、肩、ヒジを高校時代に故障、プロでの将来性に疑問符をつけるスカウトが多かったが、西武は敢然と指名した。「私たちの仕事は、プロで活躍できる逸材を取ること。高校時代どうこうは関係ない」こう語るのは浦田チーフスカウト。故障があったって、治してから素質を開花させればいいじゃないか。スカウティングは長期的展望に立つべし、これが西武の基本方針なのだ。原口は、シーズンの3分の2は治療に専念。投げ始めてからまだ3ヶ月だ。「投げることがこんなに楽しいとは、思ってもみなかったですよ、ホント」と原口はうれしそうに語ってくれた。西武の試合を見に行くと、原口はいつもバットの片付け役。そんな辛い日々を送ったあとのピッチング解禁。そりゃ、うれしいはずだ。さて第二の東尾、球質以外ではどんな特長を持っているだろうか。まず、ヒジの使い方がうまい。つまり、ヒジの使い方がうまい。つまり、ヒジが柔らかいのだ。だから、腕がムチのようにしなり、打者の手元で伸びるボールが投げられる。ただ、このムチのようなシナリのフォームにビシッと決まるときはいいが、腕が棒のようになると、打ちごろの球になってしまう。「その点、まだまだ完全とはいえないんだな。それに、あんまり東尾、東尾っていわないでよ。東尾だって若いときは攻撃的なピッチャー。初めからかわすんじゃなく、攻めて打ち取る投球をしなくちゃ」というのも日野二軍監督。原口は今シーズン終盤に2試合だけ、投げた。「感触はいいです。やはり、打者がいて初めて野球なんですねえ」と原口。故障ー筋力トレーニング→投球練習を経て、やっとたどりついた実戦のマウンド。その気持ち、わかる、わかる。「速球、カーブ、シュート、スライダー、持ち球全部を投げましたよ」西コーチによれば、いくら怒鳴られても平気な平左の図太い神経の持ち主。大きな器に立派な中身を、早く盛ってほしいものだ。