1978年
エース矢田は一段とたくましくなった。暖かい天候にも恵まれ、一月後半から軽いピッチングを開始。現在では、「七ー八割の力」(矢田)ながら連日、百五十球あまりを投げ込んでいる。しかし、力を入れないわりには球に伸びがあり、フォームもすっかり安定。オフに早朝七㌔、部活動七ー八㌔の一日あたり十五㌔前後を走り込み、下半身を鍛え上げた成果が表れているようだ。先日の投球練習では、百五十球のうち七十球が直球で、カーブが三十球。残りの五十球は実戦さながらにカウントを取り、捕手のサイン通りに投げた。投球を受けた田中選手は、球が生きている。課題の制球力も、ちゃんと構えたところにボールが来ているから大丈夫。昨秋よりよくなっているみたいですよ」と太鼓判。矢田も「これから徐々に調子を上げて行く段階ですが、コントロールに不安はない。80%仕上がったので、あとはスピード、スタミナをつけるだけ。本番?もちろん自信あります」ときっぱり。予想以上の順調な仕上がりに、表情は底抜けに明るい。