2002年
満を持して褐色のスピード王が舞台に上がる。「15日のシート打撃で投げさせる、良ければ公式戦にも投げさせる」定岡2軍監督はゴメスの初登板を名言。初の実戦マウンドの後、条件付きだが、公式戦初マウンドも視野に入れている。入団以来、ファームのブルペンで投げ込んできたが、MAX153㌔という触れ込みにうそはなかった。「試合では150㌔は出ると思う」と定岡2軍監督は自信たっぷりに太鼓判を押す。その速球もさることながら、抜群の身体能力と運動神経も魅力だ。投手陣の中では最も足が速いといわれる小椋が「初めて人の背中を見て走った」と舌を巻くスピード。チーム関係者は「野手に転向しても大丈夫」と話題にするほどだ。ゴメスも初のシート打撃登板にやる気満々。「サッカーを見て盛り上がったけど、やっぱり野球が好き。当日は頑張りたい」連日TVにかじり付いて応援した母国のW杯優勝からも大きな刺激を受けている。明るい性格ですぐにチームにとけ込んだ。「コンニチハ」「オツカレサマ」などの日常会話のほか、日本語のスラングもいち早く修得。周囲を笑いに誘いながら、元気な声を響かせている。
マウンドに上がった17歳のスピード王が、あらゆる常識を打ち破った。来日初となる打者との対戦。「バッターが立つと怖い。チームメートには、ぶつけられないから80%の力でパワーをセーブして投げた。でも気持ち良く投げたよ」シート打撃ではじき出したスピードはMAX146㌔、スライダー、カーブの変化球も含めて荒れていたコントロールが驚くほどにまとまっていた。あまりの落ち着きぶりに定岡2軍監督は「今月末にある社会人との練習試合に投げさせたい。様子を見て8月中にも2軍戦でデビューさせたいね。150キロは出るよ」とご機嫌。斉藤投手コーチも「手足の長さという特徴は消さないようにしたいと思っている。その範囲の中で投球フォームを教えているけど、きょうは安心させてもらった」と表情を崩した。その投球面でのレベルの高さ以上に、周囲は陽気なブラジリアンに目を奪われた。スタートから劇面のようなシーンの連続だ。「ゴメス!ゴ、メ、ス!」と呼ばれてやっと現れたかと思うと、キャップを忘れ、慌ててベンチに引返した。驚がくの光景はその直後だった。一塁ベンチ付近にファウルが上がった瞬間だ。一塁を守っていた川越バッテリーコーチを抜き去る影。瞬時に反応したゴメスが一気にフェンスの前まで達し、スタンドに落ちたボールに悔しそうな表情を浮かべた。ベンチは笑いに包まれた後、あまりの足の速さにあきれた。野球に対して今はまだ真っ白な状態。しかし、この日示した数字以上の体の柔軟さを含めた身体能力の高さは計り知れない。どのような形で完成に近づくか。ブラジル産のダイヤの原石が輝きを放つまで、それほど時間は必要なさそうだ。
満を持して褐色のスピード王が舞台に上がる。「15日のシート打撃で投げさせる、良ければ公式戦にも投げさせる」定岡2軍監督はゴメスの初登板を名言。初の実戦マウンドの後、条件付きだが、公式戦初マウンドも視野に入れている。入団以来、ファームのブルペンで投げ込んできたが、MAX153㌔という触れ込みにうそはなかった。「試合では150㌔は出ると思う」と定岡2軍監督は自信たっぷりに太鼓判を押す。その速球もさることながら、抜群の身体能力と運動神経も魅力だ。投手陣の中では最も足が速いといわれる小椋が「初めて人の背中を見て走った」と舌を巻くスピード。チーム関係者は「野手に転向しても大丈夫」と話題にするほどだ。ゴメスも初のシート打撃登板にやる気満々。「サッカーを見て盛り上がったけど、やっぱり野球が好き。当日は頑張りたい」連日TVにかじり付いて応援した母国のW杯優勝からも大きな刺激を受けている。明るい性格ですぐにチームにとけ込んだ。「コンニチハ」「オツカレサマ」などの日常会話のほか、日本語のスラングもいち早く修得。周囲を笑いに誘いながら、元気な声を響かせている。
マウンドに上がった17歳のスピード王が、あらゆる常識を打ち破った。来日初となる打者との対戦。「バッターが立つと怖い。チームメートには、ぶつけられないから80%の力でパワーをセーブして投げた。でも気持ち良く投げたよ」シート打撃ではじき出したスピードはMAX146㌔、スライダー、カーブの変化球も含めて荒れていたコントロールが驚くほどにまとまっていた。あまりの落ち着きぶりに定岡2軍監督は「今月末にある社会人との練習試合に投げさせたい。様子を見て8月中にも2軍戦でデビューさせたいね。150キロは出るよ」とご機嫌。斉藤投手コーチも「手足の長さという特徴は消さないようにしたいと思っている。その範囲の中で投球フォームを教えているけど、きょうは安心させてもらった」と表情を崩した。その投球面でのレベルの高さ以上に、周囲は陽気なブラジリアンに目を奪われた。スタートから劇面のようなシーンの連続だ。「ゴメス!ゴ、メ、ス!」と呼ばれてやっと現れたかと思うと、キャップを忘れ、慌ててベンチに引返した。驚がくの光景はその直後だった。一塁ベンチ付近にファウルが上がった瞬間だ。一塁を守っていた川越バッテリーコーチを抜き去る影。瞬時に反応したゴメスが一気にフェンスの前まで達し、スタンドに落ちたボールに悔しそうな表情を浮かべた。ベンチは笑いに包まれた後、あまりの足の速さにあきれた。野球に対して今はまだ真っ白な状態。しかし、この日示した数字以上の体の柔軟さを含めた身体能力の高さは計り知れない。どのような形で完成に近づくか。ブラジル産のダイヤの原石が輝きを放つまで、それほど時間は必要なさそうだ。