プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

ケキッチ

2018-01-08 14:18:12 | 日記
1974年

子供のグラブほどもある大きな手でナインの手を次々に握りしめた。拍手で迎えた中西監督。三原球団社長はネット裏でホオをほころばせた。前期の新美につづいて日本ハムに新しいエースの誕生だ。「うれしい、ほら、体がまだこんなにふるえている。これからも登板がふえれば、もっと調子があがるはずだよ」来日初勝利は、大リーグ生活七年のベテラン、ケキッチにもまた新たな感激だったらしい。来日してまる十日。開幕戦にリリーフで二イニング、九日は先発で七イニングを無失点。そしてこの日は完投の初勝利だ。開幕以来の雨で三試合を流したせいもあるが、チームの四試合目で早くも三試合、十八イニングを投げた数字は、はっきり首脳陣の期待を物語っている。「まだ下半身がベストの状態でない。コントロールが乱れたから、力をかげんして投げていた。ベストになればもっと力が出るだろう。登板の数はそれだけ力があるということですな」と中西監督。三原球団社長は「きょうはグラウンド状態が悪かったから、本来の力が出ていなかったようです。アメリカで見た七、八分程度ですかな」と余裕たっぷり。完投で失点2。バント安打二本を含む五安打の内容が八分の出来だとすれば「あと二試合で」と本人が口にするベストになったら・・・。

太平洋ナインも初勝利の元大リーガーの力を一応の評価をした。「これまで日本に来たピッチャーじゃスタンカ(元南海)以来かな。まあいまの時点での話だがね」と稲尾監督。「適当に荒れていた。ストレートがシュート回転する」(竹之内)「シュートがいいんでマトがしぼりにくかった」(基)と主力たち。しかし「こわさはない」というのも一致した意見だった。ロッテ、南海とこれまで顔を合わせてきた相手チームのナインも同じように「この次は必ずつぶしてみせる」と口にしている。手ぐすねを引く各チームの打線が果たしてどんな攻略法をみつけ出すか。またケキッチの腕がどこまで上がるか。ケキッチはしかし自信たっぷりにいった。「日本のマウンドに慣れれば、もっとコントロールがよくなる。目標の15勝に向かって努力したい」すでにエースの貫禄をしのばせる落ち着いた口調だった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ディサ | トップ | 橋詰文男 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事