1981年
二十九年ぶりの甲子園を目前にしながら敗れた愛知・浜田投手(三年)。敗戦が決まり、ウエーティングサークルからベンチに引き揚げてきたとたん、ガックリ腰を落とし、目を真っ赤にして「勝ちたかった」。今大会は、延長18回の引き分け再試合を含む8試合全部に登板、とくに延長戦からこの日の決勝までは6連投という厳しさだったが、全く疲れた顔を見せず投げ抜いた。この日も得意の速球とシュートで名電打線を抑えてきたが、九回につかまって押し出しとスクイズでついに敗戦投手に。「向かっていった結果だから仕方ありません」と言いながらも、この日までの熱投の日々を思い返していたのか、しばらくは立ち上がろうとしなかった。このあと、準優勝盾を手にした時も、口を一文字につぐんだまま。
愛知のエース浜田は、二十一日の二回戦で尾北打線を散発の5安打に抑えるなど好調なスタートを切った。180㌢の長身から投げおろす速球には威力がある。ただ浜田も工藤と同様前半戦は対戦相手に恵まれた感があり、真価が問われるのは四回戦以降。「球威は捨てがたいが、好不調の波があるのが心配」とスカウトの一人はみている。
愛知は打線の爆発とエース浜田の好投で、成章をねじ伏せた。1点先行された愛知は、三回一死から3連続安打で満塁とし、浜田の左犠飛で同点。続く稲川、桑原の連続長短打で3点追加の計4点を奪い、あっさり逆転した。五回にも1点追加した愛知は六回、浜田の本塁打を含む長短5安打を左腕・宮本に浴びせ、一挙6点を挙げてとどめを刺した。浜田は伸びのある直球と切れのいいカーブを内外角に決め、成章打線を寄せつけず散発の2安打に抑えた。成章は初回、スクイズで1点を先行したものの、エース宮本が前日の熱闘で疲れ、力尽きた。
「好機が来たら思い切り振ってやろうと決めていた」。日焼けした顔に流れる汗を光らせて話す浜田。延長十八回で水入り再試合となった成章ー愛知戦。六回、二死一塁に走者をおいた浜田の打球は、次の瞬間、大きなアーチを描いて中堅後方のスタンドへすい込まれた。浜田にとっては公式戦初の会心の本塁打だった。二日間、24イニングの死闘の最後を、この一打で飾った。投げても浜田は速球を武器に、猛打の成章を6安打に抑える好投。「打ち合いなら負けない。浜田にまかせるしかない」という鹿島田監督の期待にこたえ、二日間で272球を投げ抜いた。豊田市の高岡中では捕手。愛知へ入学後、肩の強さを買われて投手に転向したが、ともすれば「人に頼る精神的甘さ」(同監督)があった。しかし最後の夏を迎えたこの大会では、エースの自覚に燃えて監督の信頼も獲得。この成章戦もひとりでマウンドを守り、成章の宮本に投げ勝った。だが、浜田には前日、5打数1安打と宮本に抑えられ、引き分けに終ったのが、よほど悔しかったらしく前夜、名古屋市内の合宿所に帰ってから、なかなか寝つかれなかった。「よし、あすは打って勝とう」。布団の中で心に誓っての球場入りだった。
愛知の浜田は成章の再試合以来、絶好調だ。重いストレートを武器に、カーブも切れも抜群で安定している。「浜田がいつものように投げてくれれば・・・」と鹿島田監督。だが打線が連戦疲れで下降気味なのが気になる。
二十九年ぶりの甲子園を目前にしながら敗れた愛知・浜田投手(三年)。敗戦が決まり、ウエーティングサークルからベンチに引き揚げてきたとたん、ガックリ腰を落とし、目を真っ赤にして「勝ちたかった」。今大会は、延長18回の引き分け再試合を含む8試合全部に登板、とくに延長戦からこの日の決勝までは6連投という厳しさだったが、全く疲れた顔を見せず投げ抜いた。この日も得意の速球とシュートで名電打線を抑えてきたが、九回につかまって押し出しとスクイズでついに敗戦投手に。「向かっていった結果だから仕方ありません」と言いながらも、この日までの熱投の日々を思い返していたのか、しばらくは立ち上がろうとしなかった。このあと、準優勝盾を手にした時も、口を一文字につぐんだまま。
愛知のエース浜田は、二十一日の二回戦で尾北打線を散発の5安打に抑えるなど好調なスタートを切った。180㌢の長身から投げおろす速球には威力がある。ただ浜田も工藤と同様前半戦は対戦相手に恵まれた感があり、真価が問われるのは四回戦以降。「球威は捨てがたいが、好不調の波があるのが心配」とスカウトの一人はみている。
愛知は打線の爆発とエース浜田の好投で、成章をねじ伏せた。1点先行された愛知は、三回一死から3連続安打で満塁とし、浜田の左犠飛で同点。続く稲川、桑原の連続長短打で3点追加の計4点を奪い、あっさり逆転した。五回にも1点追加した愛知は六回、浜田の本塁打を含む長短5安打を左腕・宮本に浴びせ、一挙6点を挙げてとどめを刺した。浜田は伸びのある直球と切れのいいカーブを内外角に決め、成章打線を寄せつけず散発の2安打に抑えた。成章は初回、スクイズで1点を先行したものの、エース宮本が前日の熱闘で疲れ、力尽きた。
「好機が来たら思い切り振ってやろうと決めていた」。日焼けした顔に流れる汗を光らせて話す浜田。延長十八回で水入り再試合となった成章ー愛知戦。六回、二死一塁に走者をおいた浜田の打球は、次の瞬間、大きなアーチを描いて中堅後方のスタンドへすい込まれた。浜田にとっては公式戦初の会心の本塁打だった。二日間、24イニングの死闘の最後を、この一打で飾った。投げても浜田は速球を武器に、猛打の成章を6安打に抑える好投。「打ち合いなら負けない。浜田にまかせるしかない」という鹿島田監督の期待にこたえ、二日間で272球を投げ抜いた。豊田市の高岡中では捕手。愛知へ入学後、肩の強さを買われて投手に転向したが、ともすれば「人に頼る精神的甘さ」(同監督)があった。しかし最後の夏を迎えたこの大会では、エースの自覚に燃えて監督の信頼も獲得。この成章戦もひとりでマウンドを守り、成章の宮本に投げ勝った。だが、浜田には前日、5打数1安打と宮本に抑えられ、引き分けに終ったのが、よほど悔しかったらしく前夜、名古屋市内の合宿所に帰ってから、なかなか寝つかれなかった。「よし、あすは打って勝とう」。布団の中で心に誓っての球場入りだった。
愛知の浜田は成章の再試合以来、絶好調だ。重いストレートを武器に、カーブも切れも抜群で安定している。「浜田がいつものように投げてくれれば・・・」と鹿島田監督。だが打線が連戦疲れで下降気味なのが気になる。
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