想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

地震のあと……夕暮れに

2021-03-02 20:22:44 | Weblog
13日の地震から七日、恐れていた余震は無かったが大低気圧の強風と雪が来た。
森庭に拵えた薔薇の越冬用のハウスが数メート離れた所に飛ばされていた。
ぐにゃりと萎んだビニールと金属パイプの支柱はひとかたまりになって椿の木に覆い被さって、はだかの薔薇たちが陽射しの下にいた。
災難に見舞われた彼女たちを春の萌を匂わせる陽気が包んでくれているのが、そのときに居なかった私への慰めだ。
ここはやはり厳しいところだ。
かつて人が暮らすのを諦めた場所だという事を忘れてはいない。作っては壊れ、壊れたら修理する繰り返し。繰り返しはさまざまにある。
季節ごとに繰り返す作業を怠れば、住むことは出来なくなる。「山を買って」キャンプするのとは違って、暮らすためにすることは多い。


それから1週間経ち、地面や木々の気配は春が遠くないと教えてくれるが、変わらず寒風が吹いている。
夜半に目覚め、庭に木の陰が長く伸びている。地面が白くて。雪が降ったのだ。
寒いけれど、寝間着に玄関に置いたウインドブレーカーをひっかけ、外へ出てみた。

月に照らされ、静まりかえる夜が華やいで見える。





裸足のサンダルが冷え切って、月を眺めている場合ではないと気づいた。
すぐに風邪をひくのだから。

老いて去るとき、一点に集中し、月を仰ぐときのような心のまま
いきたい。
この世のことを忘れていくのは罪ではない。



翌朝、コイツが来た。なついているのではなく
腹が減ったからである。一ヶ月ぶり以上か?
生きていて、なによりじゃ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする