想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

雪虫が飛んだ、紅葉も最後の日

2022-11-16 00:30:27 | Weblog
更新しない日々に秋は過ぎていき
例年にもまして樹々は彩あざやかでした。

撮っておいた写真をいくつか上げます。



上の樹は事情があって枝を短く伐った。
切り口から出ていた新しい葉が紅葉して
元気ですよ、またまた伸びますよ、と
さやさやさやと秋風の中で歌うさま。
小川の向こう岸にたっている。

先月半ばだったか雨が降り続いた夜、
裏庭沿いに流れている小川は水嵩を増した。
裏山へ続く私道に水は溢れ、
土管を埋めて作った小道は壊れた。
あの道を通ってぷーちゃんとふたりで
いつも裏山の奥のほうまで歩いた。
冒険はふたりだったからできた。
今はしない。
熊に遭ってもたぶん逃げられなくて
困ったことになるだろうと思うから。
で、その道を私が直す理由もなくなった。



20数年かけて背丈が伸びた森庭の樹は
枝葉も大いに茂り、夏の陽を遮り
空があまり見えなくなっていた。
真夏、木陰は涼しくてよかったが‥‥。
そろそろ手入れ時であるということで
この秋は伐採作業をすることになった。
紅葉の美しい木を残した。



M氏とS君が先だって先生の指揮のもと
大活躍した。
もちろん猫の手以下のあたいはみていた。

M氏が玄人が使う木登りの道具を買い
長梯子が届かない高いところまで登った。
チェーンソーを持っているのでハラハラする。
わたしは下から凝視していた。心配でも
余計なことは言わない方がいい、気が散るから。

倒れた木がほかの樹々に当たらないよう
倒れる方角を計算して伐る、言うは易く
行いは難し、どんぐりの木も硬い。
下で見ていた時より木は大きく長かった。
音を立て、どーっと倒れる。
茂った枝葉を切り分けるのも大仕事だ。
二ヶ月近くかけ週末ごとに片づけた。



広い敷地に倒した木と切った丸太が散乱し、
落ち葉も積もる。
ふかふかの地面は一面黄色とうす茶色。
いい匂いがしている。
枯れ草の匂い、ぷーちゃんの匂い、
ああ、懐かしい匂いだ。



燃料高騰の折、有効活用したいものだが
とりあえずは焚き火で減量する。
雪が降りだし埋もれる前にかたづけたい。



こむらさきしきぶ、今は葉が落ちて
茶色の細い枝に濃い紫の実が生った
一枝を手折りガラスの花瓶に挿した。
この庭の美しさは、森に手を入れて
作ってきたものだが、もとよりの自然が
あってのことだ。
歳とるごとに美しさをより深く感じている。

若い頃からこの世に未練はない早死がいいと
思っていた。
だからこの世を去り難い気にするものに
出会うとは、なんという幸福だろう。
この場所の美しさ。
愛するものと過ごした時間。

昼過ぎの明るい光の中、雪虫が飛んでいた。
じきに霜柱が立って冬が降りてくる。










コメント
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