イチョウの落葉で埋まった道を
黒い毛皮のベイビーが、
お尻ふりふり歩いていく。
リズミカルに、太いあんよで
歩いていく。
ことばがいらない世界。
後ろ姿でも通じあえたよ。
にほん語もいらなかった。
いらなかったけれど、
わたしは君を亡くして
悲しみの渦は、にほん語でした。
どんなにふかく愛していたかを
たくさんの言葉を連ねて
君のいた空のなかへ
投げかけた。
そして、君の返事はにほん語。
やさしいにほん語だった。
ワンと最期に吠えた声音も
ここにいるよ、だったんだね。
ここにいるよ、ここにいるよ、
たくさんの想いがこもってた。
─────────
子どもに英語を修得させたがる親が
周囲にこんなにいたとは、な、と
やや驚いたこと。
なんのためなの?
と尋ねると、それ聞く?
そう言った人がいた。
聞くよ、何なの?
外国に行くときにいいから、
と返ってきた。
まさかの外国?
行くときって?
ネットを使わずに済まない日常で
英文を読まない日はないのである。
しゃべらないけど読む機会は多く
なった。
外国にはできるだけ行きたくないし
ここにいる。行かなくても英語は
要るだろう。スーパーに行っても
要るだろう。レストランでも、さ。
けれど英語とこどもの組み合わせ
それが解せないのである。
こどもにはまず母国語、にほんの
言葉をたくさん覚えて、たくさん
話して、たくさん考える人になって
もらいたい。それがあっての
外国語。
英語に限らないんだけど。
そうでないと、
愛に、めぐりあえないから。
ことばを知らないと、深く考える
ことはできない。
考えようとするとき、言葉を探し、
言葉に出会い、歌が生まれ、
声が生まれて、人は自分以外の
世界を獲得する。
そうやって神という名も
花という名も、
ずっとずっとずっと前から人の口に
のぼり、この世を照らしてきたわけ。
そんなことを省略して早口で言って
みたら、そうね、でもうちは
英語かな~、いいとこ就職するのに
いいからと言われてしもうた。
いいって何が?
金の話になっていきそうなので
話題を変えるべくお茶を入れた。
スマホに英語で金儲け。
情緒はいらない、ナイホウガイイ。
安倍政権文科省のおもうつぼであるな、
バカ親は御しやすいと。
言葉に魂を呼びこんで語る。
昔の人は言霊と言ったにほん語。
母国語の味は失って、懐かしむ
てなことになるのかもしれない。
黒い毛皮のベイビーが、
お尻ふりふり歩いていく。
リズミカルに、太いあんよで
歩いていく。
ことばがいらない世界。
後ろ姿でも通じあえたよ。
にほん語もいらなかった。
いらなかったけれど、
わたしは君を亡くして
悲しみの渦は、にほん語でした。
どんなにふかく愛していたかを
たくさんの言葉を連ねて
君のいた空のなかへ
投げかけた。
そして、君の返事はにほん語。
やさしいにほん語だった。
ワンと最期に吠えた声音も
ここにいるよ、だったんだね。
ここにいるよ、ここにいるよ、
たくさんの想いがこもってた。
─────────
子どもに英語を修得させたがる親が
周囲にこんなにいたとは、な、と
やや驚いたこと。
なんのためなの?
と尋ねると、それ聞く?
そう言った人がいた。
聞くよ、何なの?
外国に行くときにいいから、
と返ってきた。
まさかの外国?
行くときって?
ネットを使わずに済まない日常で
英文を読まない日はないのである。
しゃべらないけど読む機会は多く
なった。
外国にはできるだけ行きたくないし
ここにいる。行かなくても英語は
要るだろう。スーパーに行っても
要るだろう。レストランでも、さ。
けれど英語とこどもの組み合わせ
それが解せないのである。
こどもにはまず母国語、にほんの
言葉をたくさん覚えて、たくさん
話して、たくさん考える人になって
もらいたい。それがあっての
外国語。
英語に限らないんだけど。
そうでないと、
愛に、めぐりあえないから。
ことばを知らないと、深く考える
ことはできない。
考えようとするとき、言葉を探し、
言葉に出会い、歌が生まれ、
声が生まれて、人は自分以外の
世界を獲得する。
そうやって神という名も
花という名も、
ずっとずっとずっと前から人の口に
のぼり、この世を照らしてきたわけ。
そんなことを省略して早口で言って
みたら、そうね、でもうちは
英語かな~、いいとこ就職するのに
いいからと言われてしもうた。
いいって何が?
金の話になっていきそうなので
話題を変えるべくお茶を入れた。
スマホに英語で金儲け。
情緒はいらない、ナイホウガイイ。
安倍政権文科省のおもうつぼであるな、
バカ親は御しやすいと。
言葉に魂を呼びこんで語る。
昔の人は言霊と言ったにほん語。
母国語の味は失って、懐かしむ
てなことになるのかもしれない。