想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

泣く効果

2022-10-06 23:27:41 | Weblog
台風がいくつか来て、家の周りでは
倒木や、裏の沢が氾濫し山の小径が
崩壊したり、それらしく夏が過ぎ去り
もう秋の真ん中だ。




このところ、もう何日もだが
夜ごと泪があふれ、
時には声を出して泣き、
泣き終えて 眠ろうと努める。

言葉にしないことが泪になって
こぼれだしているのだ。
誰も見ていないところだし
心配して身体を寄せてくる者も
いないから 泣いていられる



ページをめくり幾篇かの詩を読み
他人の言葉を深く吸い込んだから
今夜は泣かないはずだった
ほんの数秒置いて、落ち着いて
泪はこぼれてきた
納得したようにしずかに泣けてくる
どうしても泣くのか……

わたしのことではないのだけれど
詩のなかの そのことにしみじみと
悲しみが湧いてきたようだ
しかたがない 詩のせいだ
凄腕の抒情詩人なのだから

悲しみは、奥深くに沈んでいる悲しみは
底までたどり着くと同じ色なのか
ああ、怒るより悲しむほうがいい
呪うより、恨むより、ずっといい
けれども一番底にあって
自分でも見えなかったりする
ほんとうのきもち
夜叉ヶ池の水のように深く
体内に滲み、潜むのだ

母をそばで看ていられないことが
とても辛い。
そういう境遇を選んできたことを
いいわけもできないことだから。
そのことを思い続けて
できることといえば祈ることしかない
というていたらく
祈りが尊いのではなく
尊い方へ祈るしかないだけだから

どのような境遇に身を置いたとしても
その魂が安らかであるように
その心がおだやかで明るく照らされて
あるようにと
かつて母がわたしにそうしてくれたように
祈る、それだけにすがりついて

涙はせきとめないほうがいい
氾濫しないように
しずかな場所でひとり泣くといい










コメント
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