想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

山本太郎の声

2011-09-22 09:50:23 | Weblog
(準備万端、2時間前から会場前方に陣取って日焼けしたぜ~アホども)

さよなら原発1000万人署名運動はまだ緒についたばかりだ。
十分の一の100万人分集まったという報告に正直がっかりした。
100万人だってすごいじゃないか、とこれまでだったら思えたが
実感として、足らない、遅いなあと肩が沈む感じだった。

集会の壇上で呼びかけ人の挨拶が進み、予定されていた山本太郎さんの
到着が遅れていると下手な司会者(ほんとに下手で困ったちゃんだった)
が言っている最中に、「ああ、おいでになったそうです」とまた言い換え
山本太郎はこのところテレビに映し出されているかっこうと同じ、黒い
ポロシャツとジーンズにハットの出で立ちで腰を低くしながら現れた。

声がデカイ。よく通る声がマイクの通してさらにひび割れんばかりに
張り上げられた。
「僕は生きていたい」山本太郎はそう言った。
生きていたい、だから抗議しているんです、だから活動してるんです、
それだけです、生きていたいと思ったんです。
でも一人で生きてもしょうがないんです、みんなと、周りのみんなと
いっしょに生きたいんです。
でも原発があったら生きていけません。みんなで原発を停めましょう、
すぐに停めましょう。
そう叫んで、最後に結んだ話がすごみがあった。他の誰も言わないこと
だった。彼は自分の俳優生命とか仕事とかおのれの利害は考えていない。
考えたら言えない話だ。


キレイ事にしか聞こえない「こどもが‥」「かわいそうなフクシマが」
という話にわたしはずいぶん前から飽き飽きしていた。
なぐさめられているようで上から目線の、活動してあげてる感じが伝わって、
活動する人の自己満足が乗っかった声にうんざりしているところへ、
山本太郎の声は飾りもなにもなく生々しく、厳しかった。

「デモも集会も、署名も、国会議員らにとって痛くはないんだそうですよ、
昨日直接話して聞いた話(河野太郎氏と)です、ちょっとかゆいくらいで、
影響はないと。
だからみなさん、地元の議員、地盤をもってるところで追求して下さい。
あなたは原発推進派か、反対か、と聞いてください。
彼らにとっては票がすべてなんです、そこが揺らぐようでないと彼らは
動きません、そこへ行かないとダメです、押し掛けて下さい、お願いします。」

そして壇上から「逆撮影させてもらいます、テレビで使ってもらう約束で
僕への密着取材のバーターで、それならこっちも流してくださいよと、
カメラを預かってきたんです、写しまーす」と大声で叫びカメラを向けた。
テレビでまだその映像を確認はしていないが、誰か山本太郎のコールに
応じた会場の怒濤の叫びが入ったビデオを見ただろうか。

自分のこととして原発廃止をとらえている人がどのくらいいるか。
発電所立地場所の周辺住民以外に、未来のためとか子どもの将来のため
とかよりも、今起きていることとして恐怖を抱きながら反対を叫ぶ。
そういう人がまだまだ少ないことを、デモを終え喉の渇きを癒しながら
痛感した。満足よりも落胆がからだを重くしていた。



246を行進中、歩道橋の上から「応援」と大書されたボードを振って
くれている集団を発見した。
表参道から原宿へ向かう途中の歩道橋にも、ガンガン手を振りながら
デモのコールに呼応する若者を見た。

わたしの周囲は主催者事務局の先導車スピーカーから聞こえるハンターイ
と間延びした声とは別に、ノリのいい、ラップ調の、巻き舌の兄さんが
「原発イラナイ」「原発トメロ」「東電イラナイ」に合わせて叫んだ。
ヒートアップして、「イワナを食いたい」「桃を食べたい」「梨を‥」
「ほうれん草もってこい」「深呼吸させろ」とさまざまに叫んだ。
すれ違う沿道の人は大笑いして拍手。調子に乗ってそのまま続けた。

自転車で伴走していた青年が、信号待ちでデモが停止していたときに
歌いだした。斉藤和義の「ずっと好きだった」の替え歌だった。
下手くそだけど、恥ずかしがりもせず、ひとり声を張り上げて歌う声
をみんなで聞いていた。パラパラと拍手もあがった。

それぞれの思い、それぞれのやり方、めざす目標は同じ原発廃止だ。
九電と北電のやらせ問題がこのところニュースになっているが、
関東東北だけでなく、今回は被害が及んでいない九州や北海道でも
反対運動の輪が広がることを願っている。
明日は我が身だ。産地など気にせず野菜を、魚を、米を、牛乳を
食べられる土地に住んでいる幸福を、いまだ幸福と実感していない
人々に、今すでにある悲しみを伝えなければならない。



夜遅くまで人々は歩いていた。なにせ6万人を会場から順々に送り
出す手はずがてんでなってなかった。主催者はほんとに大勢の人が
来ることを期待していたんだろうか‥と訝ったしだい。
ほんとに来たんだね、集まって、会場周辺で入りきれない人の渦。
人ごみに紛れて約束した友とも会えないくらいだった。
でも、まだ足りない。
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2 コメント

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おかあも行ったよ (柴犬三太)
2011-09-22 22:49:11
おかあ、五万人の一人になるんだ、って出かけた(※1)。おら、留守番。
近くの駅で落ち合ったのが10人、新宿駅で乗り換えるあいだにも迷子になりかける。
おかあ、プラカードを頭上高く掲げたけど、人、人、人、に埋もれちまう。
千駄ヶ谷駅、改札口をやっと出たところではぐれた。

ずいぶん早めに行ったんだが、明治公園はもう人がいっぱい。
とにかく沢山の人、人、人。ときたま、知ってる顔が見える。
何年ぶりに会う知り合いもある。
ご近所の母娘三世代と思いがけない出会いもした。
新しい知り合いもできる。
約束してたのに会えなかった人もある、この雑踏じゃあ無理ない。
山の家から、うさこオバサンも来てたんだ。黒ラブのベイビー親分は療養中(※2)だからもちろん留守番、こんな雑踏に犬猫を連れてくるのは虐待だ。

川柳師匠の乱鬼龍さんがいた。
乱鬼龍さん、でかーい旗掲げてる、ムシロ旗だ。
でも、ムシロにしちゃ上品だ。ほんとにムシロか?
乱鬼龍さん「ムシロで作ろうと思ったんだが、ホームセンターにゃ、ムシロ売ってねえんだよ。しょうがないから、ゴザ買ってきた、800円だよ」
おかあ、笑いながら「ムシロ代」ってカンパした。

※1「さようなら原発 5万人集会」2011.9.19@明治公園 http://sayonara-nukes.org/
※2 (218) 三太お見舞い
返信する
三太ちゃん (うさこ)
2011-10-11 09:03:29
おはようございます、三太ちゃん、ママさん。
19日は予想以上の人出でよかったですね。
久しぶりに都内を歩いて、トウキョー見物みたいな
行進でしたよ。秩父宮競技場裏手から青山通り、表参道から原宿、左折して渋谷めざして、途中でたくさん応援の拍手をいただいて、公園通り坂を登ってゴールでした。
みんな、すごく元気でした。
途中、大江先生に2度であって盛り上がったのも面白かった。ハイロハイロハイロ、廃炉までやるぞーとシュプレヒコールして解散。解散の後のアイスコーヒーがすごく美味しかったんだけど、まだまだ歩いている人がいて戻りたい気分だねってみんなで言ってました。
これまで体験したことのない、平和なデモ行進でしたから
あれはパレードと言ったほうがふさわしかったですね。
1000万人まで、諦めないで行きましょう。
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