『あさイチ』の深い時間のコーナーゲストに深沢社長(@『ゲゲゲの女房』)役・村上弘明さん登場。『ゲゲゲ』公式サイトでゲストイン自体はあらかじめ知らされ済みではあったものの、あさイチごはんをさわやかに試食して終了くらいの軽いゲストだろうと思って、録画スタンバイもしていなかったのですが、来週放送分から“思い入れあるシーン”を先行Vつきで紹介してくれて、次コーナー(←例の巨大怪花ショクダイオオコンニャクの開花映像)へのジャンクションに「変身!」ポーズまでサービスしてくれました。いい人だ。
若き日に特撮ヒーローを演じ、のちにメジャードラマの主演クラスに出世した俳優さんの中には“その話はなかったことに”的態度を通す人も残念ながらいまだ散見される中、現在の村上さんは特撮専門誌でもたびたびスカイライダー時代のことを気持ちよく語ってくれています。
「“子供のおやつ”と漫画をバカにする人もまだ多いが、いつか漫画が世の中を動かす時代が必ず来る」「漫画出版は男子一生の仕事」と『ゲゲゲ』劇中でさわやかに熱弁をふるう深沢役に、実にナイスマッチな人をキャスティングしたものです。
ところで『ゲゲゲ』と言えば、毎週月曜放送分ではOPが主題歌1フレーズ分ロングヴァージョンになり、スタッフ・協力クレジットが載りますが、“出雲ことば指導”の広戸聡さんは、調布の喫茶“再会”のマスター役で顔出し出演中でもありますね。方言指導の先生が、方言使いではない東京人の役、というのもおもしろい。出演決定してからたかだか半年ちょっとの期間に、指導されて喋ってる俳優さんと、指導する先生とが方言のセリフでからんだら、ネイティヴと俄か仕立ての“落差”が歴然としてしまうから、あえて広戸さんを東京チームに配置したのかも。
“大阪ことば指導”はいまのところ大阪人設定が窪田正孝さん演じる倉田だけですから、神奈川県出身窪田さんはマンツーマンで舩阪裕貴さんに師事中なんでしょうね。ゼタの嵐星社で深沢、布美枝(松下奈緒さん)と初対面の場面や、村井家に来て、看板屋の徒弟をしながら独学で漫画修業していた経験を語る場面では“やっぱりネイティヴじゃない、演技の大阪弁”と苦笑ものでしたが、仕事するより仕事増やすほうが多い菅井(柄本佑さん)や、年齢の近いいずみ(朝倉えりかさん)とのくだけたやりとりなんかは、大阪的グルーヴに乗って来たというか、ずいぶん聞きやすくなりました。
昨年の昼帯ドラマ『Xmasの奇蹟』で“身体は体育会系大学生、中身が中年音楽プロデューサー兼ピアニスト”という超絶設定を演じ切った窪田さんですから、大阪弁ごときで役を台無しにする様なヤワじゃありますまい。
そう言えば“妊婦指導”ってクレジットもあったな。松下奈緒さんに妊婦らしい挙措を指導するのかな。時制の進行に合わせてお腹の詰め物の増やし方を指導するとか。大葉ナナコさんというお名前です。藍子ちゃんがお腹にいた第10週にもクレジットあったかな。録画を確認してみませんと。
今日(28日)の放送回は、TV版悪魔くん放映決定の吉報を持って来た豊川編集長(眞島秀和さん)と船山P(風間トオルさん)にお茶出し終えて台所に行こうとした布美枝をしげる(向井理さん)が「あ、おい(ちょっと)」と脇に座らせる仕草がよかった。“めでたい話だから苦労をかけた妻に聞かせて喜ばせたい”だけではなく、いろいろなニュアンスが含まれていると思うんです。話が始まっても、しげる自身まだ夢のような気がしていて、“証人を増やしときたい”とか。“勢いに乗る向こうさんがうまい話をぞくぞく持ちかけてくるかもしれん、うっかり安請け合いしないようにストッパーとして”とか。呼びかけは「おい」と関白チックだけど、どこか、布美枝が頼りなんですね。
「(『少年ランド』百万部突破なら)重ねて積んだら、富士山5つ積んだより高くなります」と豊川に言われて、「ふぅじさんいつつ~はぁーー」とシンクロして宙を見上げたり。見上げたって何もないっつうの。夫唱婦随の古き良きうるわしい夫婦愛ってことだけじゃなく、基本的にこの夫婦、生まれ育ちは違う他人ではあるけれど、感性とか根性の基本設計において“似たもの同志”っぽいところがあり、それが多話数視聴続けていても鼻につかない要因でしょう。
水木先生接客中に、仕事部屋でTV化の話題にはずむアシスタント諸君の中で、「奥さんも嬉しいやろねえ」とつぶやく倉田さんもよかった。昨日(27日)の、味噌汁をめぐる布美枝との会話の後だけにね。中卒で看板屋に弟子入りして、先輩たちと雑魚寝の寮の部屋で布団かぶって漫画の練習、ゼタの新人コンクールでようやく受賞、しげるにアシにと白羽の矢を立てられるまで7年とのこと。若いけれど、食えない苦労、食うための苦労を知っている人らしい、普通の表現だけど深い共感が感じられました。
しかし、不思議なのは、最初から“アニメではなく実写”前提で進んでいる話なのに、実現を報せに来た豊川も船山も、聞いているしげる夫婦も、又聞きのアシ諸君も、ミーハー精神旺盛そうなすずらん商店街キャンディーズも、深沢も郁子さん(桜田聖子さん)も、誰ひとり「演じる俳優さん、子役さんは何という名前?どんな人?」に引っかからず、話題にしないことです。当時の子供向け実写ドラマって、それくらい“聞いてわかるほどの名のある、あるいは写真なり見せられてオッと思うほどの役者が出るわけがない”ものだったということでしょうか。
いまの子供向け特撮番組なら、毎シーズン、タイトルやキャラの前情報が流れると、月河なんかは「主役がどんな新人さんでどのくらいカッコいいか、好みか」は興味のメインディッシュですけどね。