イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

電話に出んわ

2010-07-15 20:17:39 | 朝ドラマ

久々に盛大にやらかしてしまいました。腰痛ビリリ

SAPPORO生搾り24缶入りケースを宅配頼んでおいたら、届いたときアレ?なぜ二個口?と思ったのです。遠方の知人経由で、なんといま漁期真っ盛りの北海シマエビがはるばるオホーツクの海からクール宅急便でやってきて、偶然酒類スーパーからの生搾りケース自宅配送と“同じ便”になったのでした。

これは「カモがねぎしょってナベくわえて飛んで来たに等しいではないか!」と躍り上がった時点で、悲劇の幕は既に開いていた(愚)。

宅配のたくましいお兄さんが「(玄関の)中まで運びましょうか?重いすよ」と親切で言ってくれてるのに、「1ケースなら持てます、それ(←シマエビの発泡スチロール)も上に載せてください」せーのっ!と受け取った瞬間は、嬉しさでなんともなかったのですが、台所入口の床まで数歩歩いてドン置いたら………

………置いてかがんだ態勢のまま、伸びない伸びない(悲)。

こういうときは高齢者と同居の強み、それ系のグッズは家捜しすれば必ずひとつやふたつある。生ゴムの腰痛バンド二本立てで腰椎手巻き寿司状態にし日中はしのげましたが、やはり鎮痛剤のお世話になることに。

 しかーし!問題はそんなことではなぁい。

鎮痛剤を服んじゃうと、アルコールが飲めないのだ(最悲)。

 生搾りも届いた、キンキンに冷やした、あまつさえ北海シマエビもあるのに、いまいましい鎮痛剤野郎のおかげで手が出せないという。

いままで241ケースなら余裕で、家の端から端まで運べたのに。最後に食べたのがいつか思い出せない到来モノ・北海シマエビのおかげでアドレナリンが逆流し、ヘンなところにヘンなチカラが入ってしまったに違いない。かがまった状態から伸びなくなってしまったということはまさか、スタイル的にエビさんの呪いではあるまいね。「ノーリスクでオレを食えると思うなよ」みたいな。

……治ったらアタマから食ってやろっと。

さてとっ、気をとりなおして本日の村井家はどうなったでしょうか(@『ゲゲゲの女房』)。大手・雄玄社の豊川(眞島秀和さん)が惚れ込んで、自分が最年少編集長になった『少年ランド』に新作をとオファーくれてから一気に昇り調子になってきました。

昨日~今日(1415日)の放送回は、少し理屈っぽかったけれど、いい漫画、面白い漫画を世に送り出し、多くの人に味読され、楽しまれ、愛されて大きな風を起こすべく、陰ながら努力していた草分け出版人たちの存在を描いた好エピだったと思います。

無名の貸本漫画家時代からしげる(向井理さん)の才能を高く買い、結核が癒えるや新雑誌を創刊して、紛失した分の原稿料まで払ってくれた深沢(村上弘明さん)、自分ももともとは漫画家なのに水木漫画の熱烈なファンとして、零細出版社を興し資金難の中後援を続けてくれた戌井(梶原善さん)とその妻早苗さん(馬渕英俚可さん)、みんな「大手で書かせてもらえてよかったね」と我がことのように喜んでくれて、やっかみとか僻みとか、“おこぼれ、還元カモン”といったさもしい根性が微塵もないのが気持ちいい。戌井さんなんか、「ウチの連作は後回しでいいから、少年ランドでの鬼太郎に集中して下さい」としげるから頼みもしないのに提案してくれました。なんだか、皆“戦友”のようなのです。

今日登場した中では、深沢さん秘書兼『ゼタ』営業の郁子さん(桜田聖子さん)だけが「腑に落ちません」と社長に懸念を表明しました。「『墓場鬼太郎』は社長が手がけていたのに、大手に横取りされたよう」「稿料桁違いの大手で書かれては、もうウチで書いてくれなくなるのでは」「新人を育てても、人気が出た頃に大手にさらわれるのではウチには何も残らず赤字のまま」と、お行儀こそいいがかなりきつい言葉で食ってかかったのに、深沢さんは「水木さんはそんな(高い稿料目当てにウチへの寄稿を断るような)人じゃないよ」「たくさんの人に読んでもらえるのは素晴らしいことじゃないか、優先すべきは、いい漫画を出すことだ」とさわやかヒーロースマイル。

郁子さんは元・大手商社重役秘書ですから、商社マンたちの“前年比アップ”“増収増益”“ライバル社の商材奪った、奪られた”“業界首位の○○社に追いつけ、追い越せ”というたぐいの話題を年中耳にしていたはずです。

自分では何もクリエイトせず、誰かが作ったモノをアッチからコッチへ動かして口銭、手間賃とり、サヤ載せて稼いで、サヤの大きさを競うのが商社の仕事。そんな地合いの中でキャリアを積んできた郁子さんには、「赤字でもいい、大事なのはいいモノに日の目を見せること」という深沢さんの信念は、納得できなくて当たり前。

“いいモノ”と言っても、漫画は大量生産品ではなく、作品です。おもしろい漫画、受ける漫画が、初めから完成品で店先に正札つけて陳列してあるわけではない。

結局は“人育て”に尽きるのだということを、深沢さんも戌井さんも、豊川さんもわかっている。みずから描く、クリエイトするわけではない自分たち編集・出版者は、とにかくいい漫画を描ける人、描く才能のある人を見出して、発表する場と評価と、報酬を与えて、次にもっといい漫画を描ける状況を作ってあげるのが仕事。

ドラマ時制は昭和40年。約50年後の現在も、媒体こそ紙のコミック誌からゲームソフト、オンライン動画、iPadへと変遷しましたが、クリエイターとエディター、パブリッシャーの関係は基本、変わっていないのだろうと思うし、思いたい。

ただ、当時は漫画誌そのものが無人の野を行く新興産業で、すべてが生々しく若々しく、初夏の緑の草原のように、ピュアにキラキラハツラツとしていただろうと思う。最終的には営利が目的、“恐怖の人気投票”(←byイタチ)が実態だったにしても、基盤の“人育て”に血がかよい、人の呼吸や拍動のリズムで丁々発止していたような気がします。劇中の戌井さんや深沢さんの、現代視点からは「ほんとかぁ?あり得ない」と思うようなフトコロの広さ深さや人のよさ、遅咲きの描き手しげるを見守る視線の温かさ、NHKの朝ドラマだからこそとわかっていても「これもアリ、でいいだろう」と思ってしまうのですね。

今日はアバンタイトルで豊川から「電話を引く予定はありませんか?」とソフトにリクエストされた布美枝さん(松下奈緒さん)が、見送り後、家に戻って来たときの「電話かぁ…」となんとなく微笑みになるリアクションがよかったですね。“また出費、どげしよう”という困惑ではなく、“大手の人がお父ちゃんの漫画を買ってくれて、これから頻繁に仕事を頼みたい気満々なんだわ”という誇らしさが勝っている。

もとより豊川も、“我が社の稿料が振り込まれれば、電話敷設ぐらいの余裕はすぐできるし、仕事も増えるのだからお釣りが来ますよ”と奥さんを力づけてあげたい気持ちがあるからこそのリクエスト。貧乏漬けの売れない作家を、上から札束で顔引っぱたくのではなく、“才能のある人に、もっといい環境で描かせてあげたい、あげられてうれしい”という、大手編集者としての度量と自負が豊川にあるからいいシーンになりました。

貸本専業時代は、仕事の受注はもっぱらしげるみずからゲタをすり減らしての注文取り、完成原稿もみずからか、布美枝がお使いで版元に届けていました。依頼に足を運んでくれた戌井も、復帰後の深沢も、「駅から遠くて不便」なんてことはクチの端にものぼせませんでした。“遠い”を託つ発言をしたのは実は豊川が初めてなのですが、布美枝さんの立場になって聞いて、少しもカチンと来ないのは、彼のしげるへの敬意と、一生懸命にかつ明るく支えるその妻への、人としての思いやりが、ちゃんと感じられるように描写されているからでしょう。

今日のエピは電話が主役でもありましたね。藍子ちゃん(篠川桃音さん)と正座して電話を待つ布美枝さんもだけど、間違い電話への応対、隣で聞いてて「よしっ、冷し中華!」とヒザたたいてスタンバろうとするしげるに抱腹。何なんだ。何しようとしたんだ。“妖怪冷し中華”でも描こうとしたのかな。

昭和40年なら、月河実家は県庁所在地の結構人口密度高いところに住んでいましたが、電話は自宅にはまだなく、長屋方式の社宅の、管理人室からの呼び出しだったような。41年にはもう自宅固定電話があり、幼児月河も一生懸命自宅番号書いて覚えました。

今週に入ってから、劇中曲も新作増えました。猛暑の中の豊川の二度めの来訪場面(12日)でのプチ勇壮な出陣風の曲や、今日の電話待ちシーンでの口笛入りピアノエチュード風の明るい曲など、先月16日リリースただいま月河絶賛ヘビロテ中のオリジナル・サウンドトラックCDに未収録の新曲が、これからも増えそう。サントラ第2弾、やはり期待したいですね。

コメント
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