このブログでこんなに長いこと、現行放送中の昼帯ドラマに言及しなかったのは初めてのような気がしますが、そうでもないかな。
先週2日(金)に絶賛最終回を迎えた(……)『娼婦と淑女』、紅子がメイド服着たり男装執事服になったりしている頃まではどうにか当日再生を続けていたのですが、つくづくわかったのは、自分は安達祐実さんにとことん興味がないらしいということだけでした。熱演、力演なのはわかるし、かつコスプレや名セリフ珍セリフ、セクシーシーンの数々などおかずの盛りもまずまずよかったんだけど、さっぱり続きが気にならなかった。
“おもしろそうな話だけれど、主役の役者さんが苦手なタイプ…”と思うドラマは、騙されたと思って、特に帯ドラマの場合、冒頭1週まず視聴してみると、ドラマそのものの筋立て、物語世界に引き込まれていくことによって、遠近法的に役者さんに抱いていた苦手さが徐々に遠のき、気にならなくなって、結局嵌まってしまうこともあります。
しかし、今作『娼婦~』の場合、とにかくドラマのおもしろさが“安達祐実さんがいろいろやってくれる、そのことを興がってください”によっかかっているので、安達さんに興味がないと、自動的にドラマにも興味が湧かない。
“苦手”“嫌い”よりも、“興味がない”は圧倒的に最強で、これを打ち崩す方法論は皆無だということを、再認識した今クールの昼帯でありました。後半半分以上、録画に溜めっぱなし手つかずで終わった昼帯は近来ありませんでしたからね。
さてと、気をとりなおして次クール、7月5日(月)からの『明日の光をつかめ』に目を向けてみましょうか。
道を踏みはずした問題少年、問題少女たちが更生のため共同生活をおくる農場。何不自由なく育った明朗な女子高生が、ふとしたことから農場で暮らす若者と接点を持ち、そうこうするうちに両親の不倫発覚、学校でもいじめに遭い…と、所謂青春ドラマ、学園もの、ホームドラマのたぐいがたいそう苦手な月河なら速攻「捨てクール」と断じてもいい前振りが掲げられていますが、タイトルからして濃厚に漂う“アナクロニズム”の臭いに、実は結構興味をひかれてもいます。
次の月9のタイトルも『夏の恋は虹色に輝く』なる、一聴、「いま自分がいるここは、2010年の日本だよな?」とカレンダーを確かめたくなるようなシロモノだったりもする。“アナクロ”“いまさら”は、ヒット作を出しあぐねる現在のドラマ界が辿り着いた、一種の最終兵器なのかもしれません。
農場の少年たちの中に、2008年のNHK朝ドラマ『瞳』の一本木家里子・明くん役だった吉武怜朗(れお)さん、『ゲゲゲの女房』での10歳布美枝ちゃん役での大泣き感動演技も記憶に新しい佐藤未来(みく)さんの顔も見えます。公式サイトの人物紹介図だと、吉武さんが大幅にイメージチェンジしてますなあ。『瞳』当時16歳、いま18歳。うーんいちばん上昇カーブの大きい時期だ。
見ないで拒否しては多くを損します。故きを温ねて新しき知る。まずは無心に“戦略としてのアナクロ”“いまさら加減”を賞味してみるとしましょうか。