ブリート
ブリート(スペイン語)またはブリトーは、小麦粉で作られたトルティーヤ(メキシコ料理で、トウモロコシ粉をこね、薄くのばして焼いたもの。タコスに用いる)に具材を乗せて巻いたメキシコ料理、テクス・メクス料理およびアメリカ料理。
「ブリトー」はスペイン語で「小さなロバ」を意味する。理由は細く巻いたトルティーヤがロバの耳に似ているからとも、ロバがよく背中に積んでいた毛布や荷物に似ているからともいわれている。
メキシコ北部と隣接するアメリカ合衆国南西部では、単品の具を細く巻くのが一般的である。アメリカ合衆国の他の地域では、米・インゲンマメ・レタス・トマト・サルサ・ワカモレ・チーズ・サワークリームなどをたっぷりと入れて巻いた、一つで十分食事になるぐらい大きなブリトーが一般的である。具を巻く前に小麦粉のトルティーヤを柔らかくするため、軽く火であぶったり蒸したりすることもある。
アメリカ合衆国で最も有名なブリトーは具が多い大型のブリトーで、メキシコではなく米国で生まれたと考えられている。よくみられるブリトーのバリエーションのひとつに、ブリトーにエンチラーダ風のソースをかけ、とろけるチーズをおろしてかけたウェット・ブリトーがあり、タコベルではエンチリートという商品名で売られている。メキシコ料理店やテクス・メクス料理店では、とろけたチーズに覆われたブリトーを特にブリート・スイソ(burrito suizo)と呼ぶ。スペイン語の「スイソ」とは「スイスの」という意味の形容詞で、料理用語ではチーズやクリームをかけた料理のことを指す。タコベルのブリトーは形はメキシコのものに近いが、中身は米国風である。
油で揚げたブリトーを米国ではチミチャンガと呼ぶ。
アメリカ合衆国には、独特のブリトーで有名な都市がいくつかある。中でも有名なものがサンフランシスコ風ブリトーである。
サンフランシスコ風ブリトーの起源は、1960年代のミッション地区(英語版)のタケリーア(タコス料理店)にあるとされるが、セントラルヴァレーの農業労働者の食事から始まったという説や19世紀に鉱夫の食事から始まったという説もある。サンフランシスコ風ブリトーのスタイルは1970年代から1980年代にかけて確立され、後にサンドイッチの具を小麦粉のトルティーヤで包んだラップ式サンドイッチ(英語版)を生んだ。サンフランシスコ風ブリトーは具の種類が多いため流れ作業で作られるのが特徴で、大きなトルティーヤでメキシコ風ライス、フリホレス、主要な具材(主に肉だが、ベジタリアン用の野菜の具のこともある)、甘口または辛口のサルサをたっぷりと包んでからアルミホイルでくるんで客に渡される。