「雪」と「氷」に包まれた世界――
バンクーバー・オリンピックが開幕した。
注目されたセレモニー(開会式)では、その厳しい環境を前面に出しながら、
ネイティブを連想させる人々が登場したり、環境を考える演出が施されていたりして、
世界の中でも稀有な環境を持つ「カナダ」の特異性も感じることとなった。
極北カナダのヌナブト準州――
世界中で一番厳しい環境だと、私が思っている雪原で生まれるアザラシの赤ちゃん。
ホッキョクグマと同様、ワモンアザラシも、海氷がない場所では生存できない。
専門家によれば、地球温暖化によって (理由はこれだけではないかもしれないが)、
2040年頃には “夏期の北極海域から海氷が完全に姿を消す”という。
それは、彼らの「生きていく環境が、完全に奪われる」ということだ。
自然淘汰などという“大きなサイクルの中での営み”ではなく、人的環境変動によって
彼らの生きている環境を(強制的に)壊してしまうということに他ならない。
アザラシの赤ちゃんは、私が とても “特別な感情を抱いている動物”である。
単なる「センチメンタリズムだとは思いたくない」が・・・・
世界の中で、一番厳しい環境で生きながらえながらも、あまりにも 愛らしく、
ふさふさの毛皮で(一生懸命に)自分自身を守っている状況は、私の心を強く打つ。
まさに「生き抜いていく」という言葉が、顕著に連想される動物である。
それでいながら、とても可愛い!
汚れのない人間の赤ちゃんと同様に、とても純粋で、かよわいイメージなのに、
実はたくましいパワーを秘めているようで、見ているだけで 心が暖かくなる。
現在、世界の状態を考えると、極地動物の行く末は、誰も予想ができない状況だ。
それが分っていながら・・・何も対策が打てないというのであれば、ものすごく
切ない現実である。
動物園の温度設定された環境ではなく、やはり動物は(基本的に)生まれた場所で
伸びやかに生きながらえてほしい。
これは、本当に心が痛い問題である。
本来の自然のサイクルであれば、彼ら自身が変容を遂げて、生きながらえられるように
種を残すべく “何らかの対策”をしてきたのが、この地球上の動物達の生き方だった。
しかし、現在は、人的影響によるために、時間があまりにも無さすぎる。
それだけ恐るべきスピードで、極北地帯の環境が変わり、氷が溶けているということだ。
今後の行く末を見守っていきたい。