橋大輔さん、「世界選手権」の初優勝、おめでとう!
怪我をして、苦労した時間を克服してから、彼の氷上の“表現力”は群を抜いた。
ある“心根の強さ”みたいなものが感じられて、今まで感じていなかった彼の存在が
突然(より一層)輝きを増して、魅力的に思うようになっていった。
私自身としては・・・・「フィギュアスケート」が、子供の頃から大好きだったので、
ずいぶん前から彼の演技をテレビ観戦してきたのだが・・・・
正確には、モロゾフコーチから離れた理由に、彼の男気を感じ、着実に気になり始めた。
その理由が非常に男らしく、潔く感じられ、「橋大輔」を注目するきっかけになった。
(大変な決断だったことは、離れた後の“彼の落胆ぶり”からも、容易に予想される)
その後の怪我で彼の選手生命が危ぶまれ、余計に応援したい気持ちが芽生えて来ていた。
プロレスラーじゃあるまいし、「膝のじん帯断裂」などという怪我は、大変なことである。
事実、こんな大怪我をして、手術をした後に、現役に復帰したスケーターはいないらしい。
(それも、こんな短期間の間にだ。驚くべき事実である!)
ひそかに、私はずっと、テレビ中継やニュースで、彼の動向を、常にチェックしていた。
というよりも、「ひそかに、応援し続けてきた」というのが適切かもしれない。
それまでの活躍を観ていたからこそ、「再び復活してほしい」という気持ちが強くなり、
(現役離脱の時に)より一層「応援する姿勢が強くなってしまった」ようだ。
だから、復活してくれたときは、とてもうれしかった。
バンクーバーオリンピックの前後は、特に注目していたのだが・・・・
五輪では(すばらしいことに期待通り)銅メダルを獲得してくれた。
※当時、仕事で地方に滞在していて、リアルに集中して演技を観ることができず、
周りのスタッフには、かなり「タカハシ話」をしていたものである(笑)。
だから、今回の優勝は、本当に嬉しい。
快挙である。
彼の名前は、歴史に残ることになった。
イタリアのトリノで行われているフィギュアスケートの「世界選手権」!
第3日(現地時間)25日、橋大輔さん(関大大学院)が、
ショートプログラム首位に続いて、フリーでも1位となった。
昨夜は帰宅するなり、ショートプログラムの録画映像にふけり、
深夜から今朝にかけての現地でのフリーの生放送に興じた!
結果として、彼は、「日本男子では初優勝」という快挙!
ショートプログラム「Eye」も、フリー「道」も、楽曲(選曲)と振付が素晴しくて、
彼の長所を(いかんなく)引き出しているように感じた。
指の先まで気を遣った“なめらかな身体の動き”と、華麗な自慢のステップ、
表情も豊かで柔らかく、リズムを刻みながら、身体全体で楽曲の世界を表現していた。
スケーターではなく、エンターティナーのような存在感がある。
本当に、素晴しかったと思う。
そして、何よりも、あのような大怪我からの短時間での復帰は、本当に考えられない。
賞賛する言葉が見つからない。
実際、モロゾフコーチによって引き出され、開花した彼の才能かもしれないが・・・
プログラムの振付などは、今年の方が彼にあっていたというのが、私個人の感想である。
明るく、華やかで、快活なイメージもあり・・・それでいて、美しいジャンプ!
身長の低さなどを感じさせない壮大な表現力! 柔軟な手足に、素晴しいリズム感!
音楽を身体でとらえた滑らかなスケーティングは、海外の硬い演技構成をしている選手を
はるかに飛び越えて、(彼自身が)全く違う次元へ行っている。
フリーでは、これまで誰も成功していない4回転フリップにも果敢に挑戦した。
(両足着氷で完全成功ではなかったが、手もつかず、転倒もなかったし・・・)
やはり、男気のある精神力の強いスケーターである。
引退など絶対に考えないで、もっともっと競技生活をしてほしい人物である。
まだまだ伸びそうな才能と個性を持っているし、あの華麗なステップと、
素晴しい表現力は、他の人には出せない華やかさである。
今しばらく注目して、密かに追いかけながら、見ていたい人だ。
今回は、彼から“清清しい勇気のようなもの”をもらえた! ありがとう!!
だから、身体は寝不足だが・・・気持ちは晴れやかである。
今期のショートプログラム「Eye」は、私が大好きなプログラムだ。
ラテン系の音楽(コパ)に、華麗なステップが、非常に絡み合って、とても素晴しい。
世界選手権では、表情も、演技も、なめらかで・・・総合的に見事だったと思う。
たった一つ残念だったのは、トリノのTV映像のスイッチングが気に入らず・・・・
私は彼の全身が観たいのに、エッジや半身のアップに(すぐ)スイッチされて、
ものすごく不完全燃焼だった。たとえば、音楽に乗って、全身でリズムを刻んで
いるような(何気ないけれど)素晴しいテクニックが垣間見えるシーンなどで・・・
下半身の足元アップが続くと、もう「悔しい~。全身が観たいのに」と思ってしまった!
同様に、肝心なところで、上半身のアップが続いて、納得のできない映像構成だった。
基本的には、映像を撮影して世界に発信した(トリノの)スタッフがいて、彼らとの
感性の違いだけはあるが・・・私は、相対的に演技全体(全身)を観たかったのだった。
愚痴みたいで恐縮だけど・・・・そういう映像構成に頻繁になってしまったために、
私個人としては、ほんの少し残念だった。
私は、ただ、全身で表現する彼の演技を、満喫したかっただけなのだぁ~。
●世界選手権 2010 SP 「Eye」 (ロシア版+イタリア版)
●世界選手権 2010 FP 「道」 (ロシア版+イタリア版+ドイツ版)
※今回の彼の総合得点は、バンクーバーオリンピックの金メダル受賞者よりも
高い得点だった。
※また、バンクーバーオリンピックで、プルシェンコが意義を唱えた現在の採点方法!
トリプルアクセルを「スーパーダブルアクセル」と解説しているように、採点では
三回転という価値を評価されていない。選手達のためにも、難易度の高いジャンプは
それ相当の評価をしていただけるように、世界基準を改定していただきたいと思う。
バンクーバーオリンピックのフリー演技「道」も、最初の4回転が失敗しなければ、
確実に「メダルの色は変わっていた」と言われた。4回転以外は、心のこもった演技で、
ジャンプも素晴しく・・・専門家や世界中の記者に、そう言われた理由は理解できる。
(事実、オリンピックでは、4回転を回避した選手が、金色のメダルを持ち帰った)
だからと言って、4回転を回避するような人ではないのだ、「橋大輔」という人は・・・
世界選手権では、その経緯を受けて、誰もが成し得ていなかった4回転フリップに挑戦!
芯の通った男気と、それに反比例するような優しい滑りが、彼の真骨頂だ。
大怪我からの復活と、これだけの結果・・・・・数々の困難を乗り越えてきた精神力!
完全に、魅せられている私がいる。