頑固爺の言いたい放題

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理性を見失ったマンション管理組合 I

2014-06-23 15:00:36 | メモ帳

理不尽な茶番劇

マンション管理組合の共通する悩みは、役員のなり手がいないこと。ややこしい仕事でありながら無報酬であることが最大の理由である。管理会社に任せておけば済むことだという考えもあり、だれかにやってほしいと考えるのは人情だ。

私が住むマンションも同様で、その悩みを解決するために輪番制が提案されていた。しかし、たまたま当マンションは築後20年を経過し、第2回の大規模修繕の時期を迎えていることに加えて、機械式駐車場とエレベーターが老朽化していることもあり、次期の理事はビジネス感覚がある人物でないと務まらないという事情がある。輪番制で能力を超える仕事を押しつけられる組合員は困るだろうし、中途半端な仕事をされては組合が迷惑する。また、多忙な現役の人よりも時間的余裕がある引退者の方が望ましい。先々はともかく、今年6月に始まる2年の任期に関するかぎり輪番制は不適切と判断し、私は自分が理事に立候補しようと考えた。

当マンションの理事の定員は3名だから、志を同じくする人があと2名必要。私は入居後まだ日が浅いからマンション内に知己がいないが、たまたまM氏とK氏が同じことを考えていることを知った。ところが、管理規約によれば、理事の資格要件は≪区分所有者≫となっており、M氏の場合はご子息が名義人で、私の場合は家内が名義人である。

そこで、3人の連名で理事の資格要件を緩和し、配偶者と親子の関係は認めるよう理事長に文書で提案した。他の組合の規約を調べても、配偶者と親子を理事に認めているケースはいくらでもあり、決して異例のことではない。M氏と私だけではなく、同じ状況にある居住者がいる可能性もあるが、やる気があるならその人が理事になる結果になっても構わない。そして、今年6月からの任期を務める理事選任に当たっては、輪番制でなく応募制を採用することも3人の連名で提案した(1月)。

これらの提案に対し理事長からなんの連絡もないまま、3月になって理事長から組合員宛てに次期理事の立候補者を募る案内が来た。われわれの提案の一つは受け入れられたことになる。そこで、資格要件を満たすK氏と私の家内が立候補した。立候補者がこの2名だけでは1名不足するが、6月の通常総会までにさらに立候補者が現れるかも知れないし、どうしても不足するならその1名は輪番制によって選任されても構わない。

という状況で6月の通常総会の日を迎えた。総会の案内に添付された資料には、K氏と私の家内が次期理事として立候補していることが≪第8号議案 役員選任の件≫として記されている。私は家内の委任状により出席し、家内には理事選任の議事が始まる時刻に会場の近辺で待機するよう頼んだ。立候補するからには出席者に挨拶ぐらいすべきだと考えたからである。議事が次期理事を選任する議案になった時、私は家内を会場に呼び入れた。ところが、出席者の一人(A女史としておく)が立候補しているK氏と家内を否認すると発言し、それが出席者では11対2の圧倒的多数の賛同を得て、第8号議案は否決された。なおM氏は所用で欠席しK氏に委任、ほかに私に委任する委任状が一通あったが、欠席者の委任状はこの2件以外は白紙だから結果は変わりない。

理事に立候補した人をなんの根拠も示さず否認するとは、多数決による暴力である。事態が呑み込めないまま大勢順応で賛成したと思われる人がいたが、それは多くても3人。明らかに事前に仕組まれていた茶番である。私の家内はともかく、K氏は従業員数百人の中堅企業のオーナー社長を長らく務めて引退した方で、識見といいビジネス経験といい、申し分ない。さらに、ほかのマンションにも区分を所有しその管理組合の理事長を務めたことがあり、マンション運営の経験も豊か。そして、M氏と私とともに当マンションの運営改善案を語りあい、そして連名で何件かの提案を文書で理事長宛てに提出するなど、意欲は十分だった。健康上も問題ない。すなわち、K氏は組合理事としてこれ以上ない適任者だった。

こういう人物を否認するとは暴挙としか言いようがない。I氏は留任をほのめかしたが、理事として留任を望むだけであれば3人目の立候補者として名乗りを上げればいいことだ。しかし、理事長は理事の互選で選出されるから、どうしても理事長として留任したいために、常軌を逸した茶番劇を仕組んだと推測できる。この茶番劇に加担した人たちは、自分で後ろめたく感じないのだろうか。

K氏は「もうこの組合にはかかわりたくない」と憤慨しており、K氏の心中は察するに余りある。私も家内にピエロのような役割を課す結果になり、申し訳ないことをしたと悔いている。

この理不尽な出来事に関して友人の弁護士に相談したところ、「このケースは明らかに人格権の侵害であり、K氏と奥さんはA女史とその意見に賛成した人たちを相手に名誉棄損で訴えることができる。弁護士費用はかかるが、それをはるかに上回る慰謝料が期待できるから、十分引き合う」と言う。弁護士費用は私が負担してもいいが、法的措置を講じると事態はさらに悪化するだけであり、組合の円満な運営という究極の目標とは相容れない。とりあえずは今後の推移を見守ることにした。今にして思えば、理事の資格要件を緩和する提案が無視されたのは、邪魔な人間が理事になっては困るからだったに違いない。

ではI理事長はなぜこんな陰険かつ姑息な手段を取ってまで理事長を続けたいのかと思いをめぐらすと、大規模修繕に行き着く。10年前の最初の大規模修繕を受注したのは、管理会社の大成有楽不動産(株)とI理事長が要職にある静岡県三島の某建設会社だった。I氏は以前にも理事長を務めたことがあり、今回の理事長になる前も理事会の顧問だった。端的に言って、当組合の中心的存在である。

当マンションの大規模修繕は5千万円ほどの工事であり、I氏としてはなんとしてでも第2回大規模修繕も受注したいのだろう。しかし、それが動機では不可解なことがある。今回の大規模修繕は有力な設計事務所をコンサルタントとして起用して組合の立場を代行してもらうことになっており、I氏にとって最大関心事であるはずの業者選定は入札によって行われるから、基本的には裏工作を行う余地はないはずなのである。ちなみに、私はI氏が勤務する某建設会社が大規模修繕を受注してもいいと考えている。但し、それは正々堂々と入札で受注することが条件だが。

もう一つ不可解なことは、なぜA女史を始めとする組合員が、あえて人倫に悖る茶番劇を演じたかである。これについては次の項で説明する。

 続く (下へスクロールしてください)

 

 

 

 


理性を見失ったマンション管理組合 Ⅱ

2014-06-23 14:53:16 | メモ帳

多数決の限界

私は当マンションに入居した際(2013年4月)、管理費が法外に高いことに気付いた。同じような専有面積 (75 m2) の他のマンションと比較して、1万円(月額)以上高い。管理組合の収支報告書を見ると、管理費の内の最大の費用項目は委託業務費(定額管理費とも呼ばれる)であり、当マンションの場合これが三分の二以上 (67%) だから、ここに問題があることは明白(管理会社の主たる利益源は委託業務費である)。そこで6月に開催された管理組合の通常総会の席上で、「管理費がバカ高いが、その理由は大成有楽不動産(株)(以下大成)に支払う委託業務費が高いからだ」と発言した。

管理組合と大成は毎年7月1日に始まる管理委託契約を締結し、その契約書には委託業務費の明細が記されている。通常総会において次期予算は承認されたから、そこに含まれる委託業務費も承認されたことになる。しかし、議事録には私の発言を踏まえて「大成は管理委託契約を見直す」と明記された。

ところが、7月に行われた大規模修繕委員会において、私は委託業務費の≪見直し≫が進行していないことに気付いた。そこで、近くに存在する百件ほどのマンションの管理費を独自に調査し、さらにいくつかのマンションの委託業務費の明細を入手し、「管理費適正化の提案」と題した報告書をI理事長に手渡した。これは理事会が大成と交渉するための有力な武器になるはずだが、I理事長は即座にこの提案を却下し、「私の任期中は委託業務費の見直しを行わない」と明言した。この時、私は委託業務費の値下げ交渉の障害は大成ではなく、I理事長であることを悟った。

ここで委託業務費の一般動向を説明しておこう。バブル期にマンション分譲会社(建設・デベロッパー系)は法外な委託業務費を設定したために、独立系の管理会社(日本ハウズイング・合人社など)が現れ、安い(というより適正な)委託業務費を武器に建設・デベロッパー系の管理会社から顧客を奪うという事態がおきた。そこで、建設・デベロッパー系の管理会社は対抗策として委託業務費の大幅値下げに踏み切り、委託業務費の水準は大幅に下落した。

当組合においても、大成は≪顧客つなぎとめ策≫として、何年か前に委託業務費を2割ほど自発的に下げたらしい。その値下げがあっても当組合の管理費は一般水準の約2倍(日本一!!)だったから、当初の設定がいかに高かったかが窺えよう。その値下げがあった時に当組合は管理費の一般水準を調べればよかったが、値下げをそのまま受け入れた。端的に言って、管理会社を過度に信頼し、世の中の動きを知ろうとはしなかった過去の理事たちの無作為が法外な管理費を許す結果を招いたのである。

こうして考えてみると、なぜI理事長が委託業務費の値下げを拒否したのかが見えてくる。すなわち、建設業界の有識者として長い間、組合員の信頼をかち得てきた手前、素人の新参者に委託業務費が高いことを指摘されては面子丸つぶれなのである(私はI氏と大成との癒着かとも考えたが、そうではない。その根拠はあるが省略する)。さらに、私は2013年11月の臨時総会で大成を批判した際、過去の組合理事の無作為をそれとなくほのめかしたから、≪面子丸つぶれ≫はI氏だけのことではなく、程度の差こそあれ歴代の理事長たちにも言えることである。

総会の討議を声高にリードするのは歴代の役員たちであり、状況が呑み込めない出席者は、なにが正論かよりも、優勢な方の肩を持つ方がコミュニティー内の人間関係維持にベターと判断するのだろう。また、なにかと組合執行部を批判する私は、一般組合員からすれば、コミュニティーの調和を乱す不届き者に見えるのだろう。私に対する反感のとばっちりを受けたK氏と私の家内は災難だった。これが理事立候補者を理由もなく多数決で否認するという暴挙の背景である。多数決は民主主義の基本原理だが、こうなると多数決は果たして民意を正しく反映するのかという疑問がわいてくる。

余談だが、毎年7月に役員の慰労会が近くの飲食店で開催されるが、元理事長たちも招待される(総会におけるI理事長の発言)。慰労会を否定はしないが、この慰労会はI氏の支持者固めの役割を果たしているように感じる。もちろん、その費用は組合の経費に計上される。

ところで、多数決の賛同者たちはその結果に対し、責任を取らなくてはならない。名誉を棄損されたK氏と私の家内が泣き寝入りしていれば無事で済むが、訴えられれば負けることが分っているのだろうか。

話を委託業務費の値下げ問題に戻す。粘り強く交渉した結果、ようやくI理事長が折れて大成と交渉した結果、大成は75万円(月額税前)の委託業務費を55万円に減額した。減額は年間で240万円(45戸の単純平均で各戸5.3万円)になる。ところが、I理事長は3月の臨時総会において、「この減額は2014年7月から適用される」と発表した。

大成は「見直す」と言いながら意図的怠慢により先送りしたのだから、減額は2013年7月に遡って適用されるべきである。昨年7月の支払いから新料金になっていれば、疑問の余地はなかった。それがI理事長の発表通り、2014年7月からの実施では筋が通らず、組合はみすみす240万円を失うことになる。

大成は「見直す」と約束したものの、その発言は管理委託契約が締結された後だったし、値下げに否定的だったのはI理事長なのだから、私は率直に言って、新料金の適用時期は半々(6ヶ月)程度で折れ合ってもやむなしと考えていた。最終的に理事長は3月の臨時総会のあとで大成と再度話し合い、新料金の適用を2014年4月以降にすることで合意したらしい。私として不満だが、I理事長としてはこのへんがベストの落とし所だったろう。これで組合は60万円ほど節約できたことは不幸中の幸いである。

なお、3月の臨時総会において、私は値下げの適用時期は別として減額幅には反対しなかったが、その理由は2014年3月に終わる決算に値下げを反映させるためだった(結果的に4月からに延びたが)。減額幅をさらに詰めると時間がかかり、決算に間に合わなくなると判断したのである。

さて、大幅に減額された委託業務費をベースにした管理費でも、一般水準よりも2~3割高い。2014年6月8日の通常総会において、私は当期の予算案に不服を唱え、月末まで再度大成と交渉するよう求めたが、これも原案通り多数決で可決された。I理事長は「3月末までに大成と管理委託契約を締結する必要があった」と反論したが、この主張は誤りである。

管理委託契約書によれば、「契約を更新する場合、契約が満了する日の3ヶ月前までに書面をもってその旨を申し出る」となっている。この書面とは契約書ではなく、「当該契約を更新する」ことを確認する覚書である。契約条件の細目はその後に煮詰めて、その案が6月の通常総会で承認されてから、管理委託契約が締結される手順になる。だから、契約期間が7月1日~6月30日になっているのだ。そして、管理委託契約書に署名するのは、もし通常総会を境に理事長が交代するのであれば、契約を実行することになる次期理事長であるべきだ。当組合の場合、I理事長の任期は6月の通常総会までだったから、この点からも3月に管理委託契約に署名したことは間違いだったことになる。

 しかし、I理事長は3月に管理委託契約書に署名したらしく(これは越権行為である)、どうしても当期予算案が原案通り承認される必要があったと思われる。契約書に署名する前に私に相談してくれていれば、組合は委託業務費を少なくとも百万円は削減できる可能性があった。明らかにI理事長の失策である。理事立候補者を理由もなく否認し、そして理事長の度重なる失策を是認したことから、このエッセイのタイトルを「理性を見失ったマンション管理組合」とした次第である。

今年6月の通常総会において、収支報告書および次期予算案の原案に賛成した出席者(半分は女性)は、私が何を言わんとしているのか理解できず(複雑だから当然だが)、多分「すでに出来上がっている公式文書にイチャモンつけるとは怪しからん奴だ」程度の認識だったのだろう

組合の運営改善に努力する私が悪人の烙印を押されるのは、間尺に合わぬ話である。しかし、私にも問題点がないとは言えない。それは私が半世紀にわたるビジネスライフの内の30年を米国で過ごしたために、すべて理詰めで押しまくるから、一般の日本人には感覚的に受け入れ難い面があることだ。しかし、コミュニティーとの融和を優先していてはいつまでたっても組合運営は改善されない。当分は悪役を務めざるをえないと覚悟している。